マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【ライブメモ】「Juice=Juice Concert 2021 ~FAMILIA~ 金澤朋子ファイナル ライブビューイング」

横浜ブルク13
最初の『イジ抱き』から最高潮。最高のライブだった。
うえむーの余裕。
れいれい、まなかん、るるちゃんの安定感。
ゆめりあいの気迫。
新メン3人も頑張っていた。
最初から最後までかなともが美しかった。
MoLで高木紗友希ちゃんを想って涙。段原瑠々ちゃんも凄いけど、それでも届かない紗友希ちゃんはレベチだったんだなと再認識。
新体制も期待。名曲、良曲を歌い継いでいって欲しい。
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写真は前座のBEYOOOOONDS。途中から観たけど『Now Now Ningen』すごく良かった。

セトリ
01. イジワルしないで 抱きしめてよ
02. Future Smile
03. ロマンスの途中
04. DOWN TOWN
05. Va-Va-Voom
06. 好きって言ってよ
07. 素直に甘えて
08. ポツリと
09. プラスティック・ラブ
10. DANCE NUMBER
11. 如雨露
12. プラトニック・プラネット
13. TOKYOグライダー
14. Wonderful World
15. シンクロ。
16. 「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
17. 私が言う前に抱きしめなきゃね
18. Fiesta! Fiesta!
19. CHOICE & CHANCE
20. Magic of Love
21. Familia
22. Goal~明日はあっちだよ~
<アンコール>
23. あなたを想う帰り道
24. 続いていくSTORY
25. 未来へ、さあ走り出せ!

【読書メモ】ウィリアム・アーウィン編著、松浦俊輔/小野木明恵訳『マトリックスの哲学』(白夜書房 2003年)

目次

序論――『マトリックス』に関する省察

・キングス・カレッジ
・赤と青のピル、どちらをとるか
・『マトリックス』はロールシャッハ・テスト
ウォシャウスキー兄弟、大学中退のコミック作家
★大衆文化は時代の共通語

シーン1 どうしてわかる?

1.コンピュータ、洞窟、お告げ―ネオとソクラテス ウィリアム・アーウィン

・聖書とソクラテスの物語
デルポイの神託 アポロンの神殿 アテネの人々の「目をさます」こと。
・馬と虻
・「汝自身を知れ」「吟味されない人生は、生きるに値しない」
・洞窟の比喩
・教育エデュケーション=引き出す

2.懐疑論、道徳、『マトリックス』 ジェラルド・J・エリオン

懐疑論 懐疑派
デカルト省察』 絶対に確実に信じられることは何か
・モーフィアス「現実としか思えないような夢を見たことはあるか。その夢から覚めることができなかったとしたらどうなる?夢の世界と現実の世界との違いが、どうしてわかる?」
デカルト「高い能力と狡知にたけた悪魔がその力を尽くして、私を騙している」
・ピーター・アンガー『無知』(1975)悪い科学者、電気信号、脳神経
・ヒラリー・パトナム『理性・真理・歴史』(1981)水槽の脳
サイファー=快楽主義(ヘドニズム)
・ロバート・ノージックアナーキー・国家・ユートピア』(1974)水槽に浮かぶ身体 体験機のような機械
サイファー/ネオ 不道徳/道徳
ジョン・スチュアート・ミル「満足した豚でいるよりも、不満を抱えた人間でいる方がいい。満足した馬鹿でいるよりも、不満を抱えたソクラテスでいる方がいい」

3.マトリックスかも デーヴィッド・ミツオ・ニクソン

・大事なのは、そういうこともありうるではなくて、おそらくこうだである。
・夢(マトリックス)から目覚めた本物の世界が夢とほとんど同じなのが不自然 言葉も同じ英語 自分の姿も同じ
・認識方法が同じ

4.見る、信じる、触れる、真実 キャロリン・コースマイヤー

・母体(マトリックス)=コンピュータによって生み出された夢の世界
・人間の感覚受容体(レセプター)味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚
・実は視覚は感覚ではなく知覚
サイファー「このステーキが存在しないことはわかっている。こいつを口に放り込めば、マトリックスが脳に、ジューシーでうまいと教えてくれる。9年かけて、何がわかったか教えてやろうか。無知は幸福だということだ。」
・水槽の脳だけでは無理。腸や皮膚もふくめての脳
触れることで愛情や信頼、友情など感情を伝達する
・「百聞は一見にしかず。しかし触れるは真実なり。」

シーン2 砂漠の現実世界

5.『マトリックス』の形而上学 ホルヘ・J・E・グラシア

形而上学(メタフィジックス)=概念、カテゴリーの学問
VR。グラフィックも音も元々はプログラム(デジタル信号)だとしても、それを出力するデバイスと受取るデバイス(脳)が必要
・心は脳にあるのか?それとも心臓にあるのか?

6.機械製の幽霊 ジェイソン・ホルト

・心=脳
・人工「痛み感知器」
・想像力、創造力

7.新唯物主義と主体の死 ダニエル・バーウィック

唯物論=思考や感情も物質/二元論=世界には、何らかの「非物質的」成分がある
デイヴィッド・ヒューム 自己とは何か?知覚する存在とは何か?
ジャン・ポール・サルトル 意識とは志向性

8.運命、自由、予知 セオドア・シック

ボエティウス 全知と自由意志の対立
カルヴァン 予定説=全て運命
ピエール=シモン・ラプラス ラプラスの悪魔決定論

シーン3 倫理と宗教の兎穴

9.スプーンはないんだ マイケル・ブラニガン

・仏教 無我 無心 全ては煮込みまくったスープのように溶け込んでいる 全ては全体の一部
・仏教の四諦 苦諦、集諦(煩悩)、滅諦(無我)、道諦(八正道、悟り)

10.『マトリックス』の宗教と多元主義の問題点 グレゴリー・バッシャム

・ネオ=キリスト≒仏陀
・トリニティ=三位一体
・ネブカドザネル=聖書 バビロンの王
ウォシャウスキー兄弟

11.幸福とサイファーの選択 チャールズ・L・グリスウォルド

・「幸福」の問題 幸福は幸福か?不幸は不幸か?男塾 男は幸せを求めるな。死ね。
・「幸福」を得れるドラッグ

12.みんなでひとつ ジェームズ・ローラー

・人間=家畜 資本主義のメタファー
マトリックス 初めは理想社会=人の見る夢の社会 2回目は近代の競争社会
・カントの啓蒙の哲学 世界市民
・奴隷からの解放=自己解放=内なる神
ザイオン=シオン
・カントの幸福=苦痛、苦労を経て勝ち取る自由
・カントはこの第二の要請を、神の要請と呼ぶ。古い文明につながる伝統的な宗教の信仰では、神は正義を広める外部的な存在と見られている。神は善き人には幸福を、悪しき人には罰を下される。この世、この地上でなければ、死後の世界でそうする。この考え方には、ふつうの人間には正義という目標が達成できないという含みがある。
・現実=恐怖が支配する社会

シーン4 バーチャルなテーマ

13.地下生活者の手記 トマス・S・ヒッブス

ドストエフスキー『地下生活者の手記』
・N・G・チェルヌイシェフスキー『何をなすべきか』=レーニンに影響=空想社会主義 ユートピア思想
ヤマギシ
・正しさに従わない自由
・グリードの集合、ニヒリズムの集合
・「安易な超越」批判
・人間=ウイルス

14.苦い薬を飲む ジェニファー・L・マクマホン

実存主義哲学 誠実か無知か 真実か幻想か 本物の自分(オーセンティック)/まやかしの自分(イノーセンティック)
アルベール・カミュ マルティン・ハイデガー ジャン・ポール・サルトル
実存主義文学の主人公は常に苦悩にさいなまれている
・『嘔吐』ロカンタン 浜辺で小石を拾う
サルトル存在と無』 意識が構造を与えなければ、世界は区分されていない漠然とした恐るべき総体でしかない。栗の木のもとで、「この世界、むきだしの世界が突如として実態を露わにする」のをロカンタンは感じ取る。それまでの経験に後押しされて、ロカンタンはついに、実存の本質を正しく認識するにいたる。現実そのものだと思っていた秩序や目的は、実際には、意識が現実のうえに重ねる構築物だったのだ、と悟る。
・見たくないもの、見えづらいものを見るかどうか
★こうした心理的な抵抗と同じく、社会による教化も、本物の自分を抑えつける大きな力となっている。ほとんどの人は、世の中は、こう見るべきだと教えられたとおりであると信じるように徹底してしむけられているために、ほかのどのような見方も受け付けない。実存主義ではこう説明されている。人はこのように教化され、変化を拒むように吹き込まれる。そのために、本物の自分が敬遠され、狂気への兆候ではないかと言われて、本物の自分にいたることがいっそう困難になっているのだ。
・世界にはそもそも秩序や目的が内在していない
・→どうせ死ぬのだから
・モーフィアス「心に何か破片がひっかかっている」
・『リアリティ・バイツ』イーサン・ホーク存在と時間
・まやかしの人生、逃亡生活
・まやかしの生き方をすれば、責任から逃れて、安楽にすごすことができる。しかし、その陰では、その人の主体性が犠牲にされているのだ。
・ロカンタンは、実存の本質を受け入れると、ようやく逃走をやめ、生きることを始める。小説の大半を占めてきた悪夢のような体験は終わりを告げ、ロカンタンは、「正当化することも言い訳をすることもなく」日々実存するという、困難でもありふれた務めに励む。
★本物の自分は、従来の幸福の定義にそぐわないかもしれないが、まやかしの自分につきものの、みずからの存在から狂ったように逃走することをやめさせ、独特な静けさを与えてくれる。その静謐のなかでは、そこにあるものすべてが見え、受け入れることができる。実存の本当のすがたを目のあたりにすると愕然とするかもしれないが、わたしたちが手にしているのはそれだけだし、わたしたちはそういうものであるほかない。実存が魅力的かどうかは別として、もしもハイデガーが正しくて、私たちの存在は時間で、その時間が有限ならば、まやかしの生き方をして、自分の時間――ひいては自分の存在――をむだにするのはばかげている。いずれにしても、ネオが言うように、未来はわたしたち自身にかかっているのだ。さあ、赤いピルを飲もう。

15.ネオ-フィクションへのリアルな反応というパラドックス セイラ・E・ワース

・『マトリックス』『ファイト・クラブ』『イグジステンス』『13F』すべて1999年公開のハリウッド映画。
・『未来世紀ブラジル』『トータル・リコール』『バーチャル・ウォーズ』『バーチャル・ウォーズ2』『トゥルーマン・ショー』(1998)
・『スター・トレック』のホロデッキ
・映画や小説など、フィクションに入り込むこと=感情で反応する
・『不思議の国のアリス
・イエローブリックロード『オズの魔法使い

16.リアルなジャンルとバーチャルな哲学 デボラ・ナイト

・傑作のほとんどがジャンル映画
ノースロップ・フライ『批評の解剖』 悲劇/ロマン/喜劇/風刺

シーン5 『マトリックス』の解体

17.キアヌを貫いて シンシア・フリーランド

・『イグジステンズジュード・ロウ
・男性・知性/女性・感情
マトリックスにはどうして女の監視官がいないのか?機械でさえも男女差別している。

18.マトリックスマルクス、そして乾電池の人生 マーティン・A・ダナヘイ

・自分の位置や配達ごとの時間を知らせる携帯端末をもつ宅配業者の運転手、1分に何回キーを叩いたかが数えられるデータ入力の事務員、電話一回あたりの成績が監視される顧客サービス窓口担当者など、アメリカの労働者はどんどんテクノロジーの監視下に置かれるようになっている。これは百年前からの流れで、マルクスは、その流れへ反対する文章をあれこれと書いていた。19世紀には、資本主義の抑圧のしるしといえば仕事場の入り口にある旧式の時計だったが、今日、オフィス内外で従業員のあらゆる動きを追跡する管理ソフトも、程度の違いでしかない。マルクス主義者は長年、機械による労働者の管理が強まることを懸念しており、『マトリックス』は、うち続くこの流れの恐怖社会(ディストピア)的な含みを表現している。
・「マトリックスとは何か。支配だ。マトリックスは、われわれを支配下に置き続けるために作られた、コンピュータが生み出す夢の世界だ。人間をこいつに変えるために。」モーフィアスが示すのは、デュラセル製の乾電池である。銅色頭(カバートップ)。
・疎外、鬱=システム(資本主義)の産物=個人的な心の問題ではない。
・労働力は商品であって、砂糖と何ら変わりない。労働力は時計で計られるが、砂糖は秤で量られるだけのことである。
・ネオの弁証法的成長
・商品の呪物崇拝
・「呪物化」=本体から切り離された部分そのものに価値がそなわると思い込むこと
マトリックスサッカリン人工甘味料
・現実の世界でも労働者の目は曇らされている

19.『マトリックス』のシミュレーションとポストモダン時代 デーヴィッド・ウェバーマン

ポストモダン 恒常的にテレビを見て「育て」られた子どもの最初の世代
・メディア化されつくした世界
ボードリヤールシミュラークルとシミュレーション』
ギー・ドゥボール『スペクタルの社会』
・「近代的な生産条件が優勢な社会では、生活すべてがスペクタルの巨大な集積に見えてくる。かつては直接に生きていたことがすべて、それに代わる再現に移行してしまった。生活のあらゆる面から乖離したイメージが、この生活の統一性がもはや立て直せないような日常の流れの中に融合している。部分的に考えられた現実が、別の疑似世界としての一般的統一性をもって、ただの思考の対象として、展開される。……スペクタルはイメージの集合ではなく、イメージに媒介された人々どうしの社会的関係である。」
メタバースVR)=快楽の楽園
・快楽/真実と自由
・現実が砂漠世界、環境破壊後の世界はどうなるか?

20.マトリックス、あるいは倒錯の二面 スラヴォイ・ジジェク

VR、メディア=イメージの世界、想像界
スローターダイク「スフィア」(球)=言語をはじめとする、人間が直接外界と触れないようにしている保護膜のような仕組
・『トゥルーマン・ショー』の「ハッピー」なエンディングこそがイデオロギーとしたらどうか?
・『トゥルーマン・ショー』=フィリップ・K・ディック『時は乱れて』
★『時は乱れて』と『トゥルーマン・ショー』との根底にある経験は、後期資本主義のカリフォルニア的消費者天国は、まさに現実的すぎるほどの現実(ハイパーリアリティ)という点で、ある意味で非現実的で、実質がなく、物質的抵抗感を奪われているということだ。ハリウッドが物質の重みや抵抗感を奪われた現実生活の外面を上演しただけのことではない。後期資本主義消費者社会では、「本当の社会生活」そのものが演じられた偽物で、隣人たちはどこかしら、舞台の役者やエキストラとして「現実の」生活を装っている――そんな性格を帯びてくるのだ。資本主義の功利主義的で魂を奪われた宇宙の究極の真実は、「現実生活」そのものが非物質化し、影絵芝居に逆転されていることだ。
マトリックスラカンの言う「大文字の<他者>」=仮想の象徴体制であり、われわれにとっての現実に構造を与えているネットワーク
・「大文字の<他者>」という次元は、象徴体制にある主体を構成する異化(エイリアネーション)の次元である。大文字の<他社>が糸を引いていて、主体は語らず、象徴的な構造によって「語られる」。
・異化の次は、「大文字の<他者>」からの分離。大文字の<他者>がそれ自体ではいかにもつじつまが合わず、純然たる仮想で、「取消線が引かれて」おり、<物>を奪われているということに主体が気づくとき、分離が生じる――そして空想とは、大文字の<他者>の不整合を(再)構成すべく、主体ではなく、<他者>の側の欠如を埋めてしまおうとする試みである。
・すべての象徴的マトリックスの機能は、この不整合を隠すこと。=現実の背後に真実の世界があるとする陰謀論もその一つ。
・科学が大企業や国家機関に経済的に依存して堕落していること
・「陰謀論」=フレドリック・ジェイムソンの言う「認知的マッピング」を最小限でも回復しようとする試み。
陰謀論批判=「大文字の<他者>」経由の「正常の」認識モデルに依拠していて、今日においてはこの現実概念そのものが成り立っていない点が、考慮に入っていない。
★問題は、UFO研究家や陰謀説の人々が、(社会的)現実を受け入れられない偏執的姿勢に退行していることではなく、この現実そのものが偏執的になりつつあることの方だ。
・何が通常の認められている真実かを決め、与えられた社会で意味の地平となるものを決める「大文字の<他者>」が、現実の中での科学的「知識」によって示されるような「事実」に直接には根ざしていない
・社会(その社会象徴的場、大文字の<他者>)は、それが事実としては誤りだとわかっても、「健全」で「正常」である。後期ラカンが自分のことを「精神病者」と呼んだのも、そういう意味でのことかもしれない。
レヴィ=ストロース マナ=「ゼロ制度」=意味が存在しないのではなく、ちゃんと存在していることのみを意味しているため、決まった意味がない(したがって、どうとでも解せる)空虚なシニフィアンに、制度的に対応するもの
・=社会的制度の存在と現実性そのものを、その不在、社会以前のカオスに対する対義語として指示するという、純粋に否定的な機能。
現実界は現実ではない 現実を歪めるトラウマの核
カジミール・マレーヴィチ「白い地に黒い正方形」
・神=<大文字の他者
・ニコラ・ド・マルブランシュ 機会原因論的な神
・古代アステカ文明 人身御供
・エレベーターの閉じるボタンとポストモダンな政治過程への個人の関与
・『未来惑星ザルドス』『2300年未来への旅』コンピュータによる支配
★なぜ機械は、人間を電池にするという一見繁雑にみえる方法をとるのか→筋の通る答えは、マトリックスが人間の享楽をエネルギー源にしているということだけだ。
ミュンヘン ヒトラーと姪ゲリ・ラウバルとの関係
 
1/4読了
◆要約:映画『マトリックス』を色々な角度から哲学的に考察する。
◆感想:さらっと読むつもりが時間がかかってしまった。
新作を見る前にと、最近メタバースなどが流行っているので、その関連で。
基本はデカルトの『省察』。そしてヒラリー・パトナム「水槽の脳」。ピーター・アンガーとロバート・ノージックにも同じような考察がある。
そしてプラトンの洞窟の比喩。
唯物論=思考や感情も物質/二元論=世界には、何らかの「非物質的」成分がある。
ラプラスの悪魔、マルブランシュの機会原因論は運命論、決定論
⑭のサルトル『嘔吐』の実存主義哲学が面白かった。一周経て、また地味に生きる。
⑱でやっとマルクス主義が出てきた。自分は『マトリックス』は資本主義批判としかとれない。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが音楽だし。
作中に出てくるのに、ボードリヤールとの関連の章が内容が薄かったのは残念。
最後のジジェクはさすがで、「大文字の<他者>」が現実の起点であるという話は面白かった。イデオロギーの話。
マトリックスから目覚めた、「現実の世界」にも大文字の<他者>はあるし、そこを揺るがすことが大事。
その意味で『マトリックス』はそこを気づかせるから映画として成功している。

【読書メモ】マルクス・ガブリエル、イマニュエル・ウォーラーステイン他『資本主義と危機――世界の知識人からの警告』(岩波書店 2021年)

ナンシー・フレイザー、アクセル・ホネット、ジョン・ベラミー・フォスター、大河内泰樹、斎藤幸平、ガエル・カーティ 雑誌『思想』のインタビュー集
 
目次

はじめに  大河内泰樹

・資本主義=初めて地球上を庇った経済システム
・私たちの生活は、すべてこの資本主義の構造と動向に左右されている

第1章 資本主義の本質としてのショー――錯覚【マルクス・ガブリエル/聞き手=大河内泰樹・斎藤幸平/訳=瀬川真吾】

・資本主義とはあたかも人間が「それ」を欲していたかのような錯覚を作り出し、物質的資源に依存し、自己増殖し続けるシステム
・資本主義の本質はショー
・資本主義の本質は、本来そこには存在しない何かを見せること。資本主義とは本質的に錯覚を作り出すシステム。
・錯覚はどんどん再帰的になっている。
・錯覚は端的に商品のなかに現れる=マルクスの物神性
・商品の物神性=商品そのものが錯覚であり、ある人に何かが、しかもそれが欲しいと思わせるような仕方で提示されること
・例えばコカ・コーラが存在する前には、誰もコカ・コーラを欲しがることはできませんでした。
・欲望を生み出して売る。資本主義は欲望を生み出さなければなりません。
・錯覚を生み出す、誰かにそれをずっと欲しがっていたかのような印象を与えることが資本主義の本質。

貨幣

・本来そこには何もなかったわけなので、こうした方法で生み出された価値はすぐに消えてなくなる
・度量単位
・貨幣はそれ自身が再帰的商品
・貨幣=メタ価値、商品を測るもうひとつの商品
ヘーゲル 本質について「それは何もないところから何もないところへの運動であり、そのことによって自分自身に戻ってくる」
★何もない、何もない、何もないと言って私が中身のないジェスチャーを繰り返すことによって、それが何かであるかのような印象を生み出します。これはショーです。何もなかったところに何かを示し、中身のないジェスチャーをし、そのことによってそこに何かがあったかのような印象が生み出されます。これをどんどん増やしていけば、全体は構造を有することになります。それが資本主義社会の構造です。

デジタル化

・=エネルギー問題。デジタル化は省エネになる。しかしそれでもサーバーなどに大量に電気を使う。

マルクス

・資本主義はすでに農耕時代に存在していた。
・ハラリ 100人規模の人間がひとつの空間で生活する時点から資本主義が始まる。

ドナルド・トランプ

・資本主義の再帰性
不動産市場の虚構構造
・政治=純粋なショー
アメリカ=ショー トランプの商品はアメリ
・商品=欲望の対象、欲望を生み出すもの 本当は何もない

ポストモダン批判 「指示(Referenz)はなくならない」

・完全に非物質ではない。そこがポストモダンボードリヤール)との違い。→アフリカ、バングラデシュ 
・=限界が来る=19世紀からSFが出てきた意味。地球の限界、宇宙が問題になる。

デジタル化によるデモクラシーの危機

・将来的にはデジタル化によって、赤信号で道路を渡ったか、どの程度頻繁に両親に会っているか、社会ネットワークで政府を批判しているか、クレジットカードで何を買ったかといったように、すべてのことが測定される可能性

サイバー独裁制と抵抗の拠点

資本主義は遅かれ早かれグローバルなサイバー独裁制となります
・民主主義はそれを妨げる役割を担っていて、いまのところ比較的強い民主主義的抵抗がある。
・問題となるのは、私たちが自分たちの権利を売るようになるとき
・ドイツあるいはヨーロッパは、インターネットを20世紀前半の道路交通であるかのように考えています。規則がなければいつか全員が轢かれてしまいます。だからインターネットは隅々に至るまで規制されなければなりません。これがドイツやヨーロッパの考えです。

哲学者の役割

フレーゲヘーゲルの論理学

承認

・承認論(フランクフルト学派)は楽観的すぎる
シェリング 自由とは「善と悪の能力」善と悪の2つの方向に向かうことができる能力
シェリング 人間はつねに悪へと向かう=エントロピー(熱力学、外に拡がっていく) それのボトルネック、抵抗する構造としての善

難民問題、外国人差別

・なぜニュースはつねに悲劇的なのか?→悲劇は売れるから。ショー。

哲学の使命

・思想を準備することが現実を動かすことにもなる。

ラディカル・デモクラシー

・ ラディカル・デモクラシー=民主主義に代わるすべてのものを完全に無条件に、絶対的に受け入れ不可能なものとして締め出すこと
・民主主義と人権はセット

ラディカル・デモクラシーを求める理由

・20㎡以上の清潔な部屋。

第2章 資本主義、批判、社会的自由【アクセル・ホネット/聞き手=ガエル・カーティ/訳= 徳地真弥】

資本主義、市場、内在的批判

・市場社会=市場における相互交換という方法によって、ニーズを友好的で強制なく完全に満足させることをすべての参加者に約束するもの。
・そして参加者は対等であること
・カントの構築主義ヘーゲル 「精神」は自らの内在的な力によって現実のなかに自らを実現する
・倫理=よき生/道徳=自由、平等(お題目、綺麗事)

資本主義批判――規範性、診断、解決

・政治が資本に乗っ取られている
・あらゆる人に利用可能な良質な公立学校

否定的、反省的、社会的自由

第3章 資本主義、危機、批判を再考する【ナンシー・フレイザー/聞き手= ガエル・カーティ/訳=斎藤幸平】

資本主義概念の拡張のために

・資本主義の4つの特徴
①生産手段を所有する人々と、生産手段から切り離され、したがって生活手段を獲得するために、唯一持っている労働能力を商品として労働市場で販売しなくてはならない人々のあいだの階級分裂がおこること。
②労働力の商品化。その連結手段としての労働力市場
③資本主義がはてしない蓄積に向けられていること。資本主義経済に固有の「推進力」。
④資本の「ジャガナート」たる市場メカニズムヒンドゥー教ヴィシュヌ神の8番目の化身クリシュナの異名。この山車に喜んで轢かれる。
・資本主義が依存しているもの。背景。
①社会的再生産。家事、出産、育児、介護。主に女性。≒ジェンダー分離は資本主義の構造的な特徴。
②自然(環境、エコロジー、生態系、資源)
③公的権力≒法、秩序、教育、軍事力、貨幣創造権
世界システム論=経済と政体の分離
・カール・ポランニー 人類学→経済学 土着的な経済

資本主義の規範性と境界闘争

・前景(たる資本主義)と背景の境界闘争
・この3つの背景はそれぞれに前景とは異なった規範がある。
・「ロマンティックな反資本主義の卵」e.x. エコ原理主義的な見方、文化的フェミニズムマルチチュードの実践など → これらの見方は本来的に反資本主義的なものではない。むしろ「経済外的であるが、資本主義内的なもの」。

資本主義の危機

・前景が背景を蝕む傾向。依存しているだけでなく、不安定化する。

幾重にも織りなされた資本主義批判

マルクスの3つの資本主義批判
①資本主義の危機傾向をめぐるシステム批判
②支配をめぐる規範的批判―階級、植民地
③不自由をめぐる政治的批判―疎外
★『資本論』における不自由への批判は、資本が歴史と社会の主体になり、人間はその人質になるという考え方です。このことは労働者階級や被支配者集団だけに当てはまるのではありません。資本家自身も、資本そのものが自己増殖する価値の論理を行使する際の代理人にすぎないのです。
私たちが資本主義経済を作り出すのですが、私たち「人間」がその召使いなのです。
・どのように生きたいかという問題をめぐる政治的な決定権が私たちの手から強奪され、取り上げられてしまい、市場の事柄と経済的問題に変えられる
・資本主義批判の規範的土台=支配に対する異議表明 あるいは私たちに対してそびえ立つ(資本という)マクロな主体の人質になっていることへの異議表明 「非支配」や「自由」といったより強い規範的な理念がそのような批判を支えています。
・カントの義務論
・世界規模での社会運動の連帯、団結が必要。
世界社会フォーラム ATTAC 2001年ー ブラジルのポルト・アレグレ アルテルモンディアリスム(フランス語: Altermondialisme、 英語: Alter-globalization)「もう一つの世界主義」 合い言葉は「もう一つの世界は可能だ」(Another world is possible) 反グローバリズムではない
・深い形の闘争をコーディネートするための語彙
・ポスト資本主義でも、より良い資本主義でも構わない

第4章 資本主義、構造的危機、現代社会運動【イマニュエル・ウォーラーステイン/聞き手=ガエル・カーティ/訳=佐藤圭一】

資本主義的世界経済

・影響 マルクス、ファノン、ポランニー、ブローデルイリヤ・プリゴジンエントロピー理論)
世界システム分析の主な特徴
①国家の代わりに「世界システム」こそが適切な分析単位であるとすること
②長期的な視点の分析を必要とすること
③あらゆるシステムと同じく寿命があること(歴史の一部)
・「近代世界システム」とは、「長い16世紀」に始まった「資本主義的世界経済」
・唯一生き延びたシステム
・ほんの一握りの場所から始まり、世界中を覆い尽くすほど強力に成長した
・決定的特異性は、絶えざる資本蓄積
・この特徴は資本主義的世界経済の主要な動因であると同時に、もっとも非合理的な特徴でもあるのです。資本を蓄積するために、資本を蓄積する。そのための資本を蓄積するためにさらに資本を蓄積する。実際、資本主義は自ら設定した(資本蓄積という)目的を遂行するうえでは、非常に成功したシステムだったのです。
・近代世界システム=「国家間システム」のなかに「諸国家」が存在するという構造
・時間という側面から見ると、「循環的リズム」=「コンドラチェフの波(技術革新の波)」「ジオポリティクスの波(ヘゲモニー)」
中核周辺は互いに分離できるものではありません。これらは相互に関連し合った現象です。もしも生産過程が相対的に独占的なものであれば中核的なものになりますし、相対的に非独占的なものであれば周辺的なものとなります。
独占抜きには、生産者がそこから充分な利潤を得ることは不可能です。資本主義イデオロギーが仮説的に捉えている「自由市場」は、生産者の観点から見れば実際には、(彼らの活動の)根本的否定になります
・生産者が生産活動から最大限の収益を得るためには、独占に近い状況が必要だからです。独占の有無が、中核的・周辺的分業の区別を決定づけるのです。
★中核国家、周辺国家という用語は誤り。どのような国家の内部にも、あるグループと別のグループの間に中核ー周辺関係があるという根本的なプロセスを、覆い隠してしまいます。現実には、(中核ー周辺という)関係性は常に存在するのです。
・「半周辺」→これは国家。中核を増進させて、周辺を他の国に押し付けようとする。
自由主義イデオロギー → 国家は自由市場を守る審判のような役割
世界システム論では、国家は独占が成立するための必要条件
国家は独占を創り出し、保障する制度です。もっとも(国家が創り出し、保障するのは)実際には疑似独占です。なぜなら私たちが普段目にするのは完全な独占というよりも寡占だからです。しかし、両者は同じような現象。独占は国家の介入なしには成立しません
金融商品化=場所xですでに蓄積していた資本を手に取り、それを場所yに移転させること
・「コンドラチェフの波」=何らかの技術的イノベーション 50年周期
・「ジオポリティクスの波」=ヘゲモニーの循環 150年くらい オランダ→イギリス→アメリ
覇権国家→世界秩序を維持する役割→軍事的負担増大で衰退
・陸(世界帝国)→海→海と空 なるべくコストをかけずに上手に間接統治する

「一九六八年の世界革命」と資本主義の構造的危機

・反システム運動の波 社会運動と民族運動「国家奪取派」
・初めに国家権力を奪取し、その上で世界を変革するという二段階戦略
・1945-1970 この時期、反システム運動に対するジオポリティカルな妥協が相当行われた。→せっかくの成長の減速を恐れたため
・収益性がだんだん低下していく→危機→システム分岐のタイミング

現代社会運動

★2つのグループ「ダヴォスの精神」と「ポルト・アレグレの精神」
世界経済フォーラム(1971-)は非平等主義的なシステムを求める人々の一部が協働して意思決定するための機構
・主要な資本主義事業家、主要な政治家、メディア関係者、さらには個々の知識人といった各界のエリートたちが、彼らにとって好都合なこの会議に参加する
世界社会フォーラム(2001-)はこの世界経済フォーラムの立場に対抗するために生まれた。
・それぞれの陣営にも2つのグループがある 垂直主義/水平主義
エドワード・ローレンツバタフライ効果」蝶が羽ばたくたび、地球の反対側の天気がわずかに影響される
・どちらにも転びえる
・どんな小さな努力も事態を変えることができるのですから、私たち一人ひとりが、自分自身を「小さな蝶」であると考えるべきでしょう。私たちはシステムのバランスや力加減に影響を与えられるのです。
・システムが通常作動するポイントにおいては決定論が優勢である一方、システムが構造的危機にある場合には「自由意志」がより大きな力を持つ。
・勝つ可能性は五分五分。この数字は決して小さくない。
・2014年のインタビュー

第5章 自然の回帰は何をもたらすか――コロナ禍から気候危機へ【ジョン・ベラミー・フォスター/聞き手=斎藤幸平/訳=山﨑亮介】

物質代謝の亀裂

・土壌の養分サイクルの破壊

エコ社会主義とグローバルな危機

・なぜ二酸化炭素排出量が下がらずにむしろ増加しているのか→その理由は単純で、資本主義が資本蓄積システムの略称だからです。そこには1組の指標、言い換えれば、蓄積しかないのです。そのシステムから見れば、世界全体の気候を破壊すること、エコシステムを破壊することは、その計算から締め出されたほんのひとつの大きな外部性にすぎないのです。
都留重人の公害研究
・資本主義は誰にも手綱がとれない無計画なシステム
史的唯物論唯物史観はまさに環境問題

「廉価な自然」――ムーア、ラトゥール、ジジェク

・ブルーノ・ラトゥール ニュー・マテリアリズム エピクロス派 ルクレティウス 集合体理論

パンデミックから見えた危機の本質

エンゲルス イギリス労働者階級の衛生状態 
・フランス パリ パスツール研究所
・イェニー・マルクス 天然痘
エンゲルスは、資本主義によってもたらされた疫学的問題を、「社会的殺人」の一形態だとみなしました。
・ワンヘルス → 人間と家畜、野生動物の健康は密接に繋がっている 動物を虐待し、人間だけ健康になることは不可能
・「定常経済」「脱成長」
・資本主義システムは浪費によって成長する→要らないものを、要らない量買わせること→資源、エネルギー、自然環境、労働力(人間の時間)の浪費
量的な発展から質的な発展へ
マルクス 誰も地球を所有できず、人類はよき家長として未来の世代のために一時それを預かっているだけ

補論1 資本主義からの脱植民地化に向けて……………斎藤幸平

・「資本主義の終わりを想像するより世界の終わりを想像する方が簡単だ」フレドリック・ジェイムソン
・オカシオ=コルテス アメリカ民主社会主義者 グレタ・トゥーンべリ 未来のための金曜日
ハーバーマス 生活世界の植民地化=「貨幣」という行為の制御メディアが、その本来の領域を超えて、コミュニケーション領域に干渉するようになること
・ホルクハイマー&アドルノ啓蒙の弁証法』無制限の帝国主義 オデュッセウス巨人族
ナオミ・クライン グリーン・ニューディールもいいが、人々の消費主義的なライフスタイルが変わらないと意味がない
・資本主義リアリズム/脱成長コミュニズム
GDPという指標から脱却する
・「脱植民地的脱成長は、再定着化と再コモン化による、本質的に物質的な、回復、再生、抵抗(再起)の戦略なのだ」
・自然の支配から自然のケアへ、収奪から修繕へ
・理性と合理性を取り戻す 資本蓄積の狂気から目覚めて正気に戻る

補論2 資本の質料形相論……………大河内泰樹

資本の「形相と質料」

・生体と資本いずれのシステムも「代謝」を行うシステム
・資本が増殖するためには、原理的にその外部がなければならないのであり、その外部をひたすら取り込んでゆく=資本の自己運動
・資本の質料的包摂=生産関係それ自体(労働者の労働と生活のあり方それ自体)を呑み込んでしまう

資本の物質的条件としての身体と自然

・「再生産」(家事、恋愛、結婚、出産、育児、健康管理、精神のメンテナンス)は資本の外にありながら、資本の条件をなしている。
・「後は野となれ山となれ」フランスの慣用句「わが亡き後に洪水よ来たれ」

資本主義批判と規範

・ホネットの承認論 規範的再構成「パーソナルな領域」「市場経済的行為の領域」「民主的意思決定の領域」
マルクス「自由・平等・所有・ベンサム」社会的不平等を隠蔽するイデオロギーとしての自由と平等
・ホネットは批判されるべきだが、規範をもっと深く考えることも大事 フレイザーや斎藤はその部分が弱い 人類が生き延びなければならない理由

批判理論へ

新自由主義=資本の自己増殖過程を可能な限り円滑に進める体制
・さらに、それ以外のシステムへの想像力の剥奪。
★さらにさらに、科学・学問がまさに体制化しつつある
・資本主義が世界を空間的に蔽っているだけではなく、わたしたちの生活や社会制度のあらゆる領域に入り込んでいる
・それぞれの専門領域から批判的な視点をもつ研究者が知を共有する、新しい「批判理論」の樹立がいま求められる。
11/23読了
 
◆要約:資本主義の危機について、5人の知識人に聞く。
◆感想:マルクス・ガブリエルのインタビューは面白かった。資本主義は「ショー」であると。
ショーが欲望を生み出す。思弁的実在論とはそれ自体だと、「だから何?」となるが、資本主義との関連で話すとよく分かる。
ボードリヤールの消費社会論、記号論と近いと感じた。
 
アクセル・ホネットのインタビューは、インタビュアーが悪いのか、訳者がわるいのか、何を聞きたいのか、言いたいのか意味がわからなかった。
つまり、市場社会でも、そんなにドライではなく、承認や人間関係が大事ということか?
 
ナンシー・フレイザーの議論はわかりやすかった。資本主義は前景であり、その背景に依存している。それは①社会的再生産②自然③国家。
それらとの境界闘争が大事ということ。資本の「ジャガナート」とはすごい言葉を知った。
 
ウォーラーステインのインタビューを読みたくてこの本を読んだが面白かった。世界システム論の基本のわかりやすい説明。
世界システム論の一番の肝は、市場原理、自由競争イデオロギーは嘘であると見抜いた点だと思った。中核ではかならず独占が存在する。
「ダヴォスの精神」と「ポルト・アレグレの精神」の闘いの議論は面白かった。人間一人の行動がバタフライエフェクト
 
ジョン・ベラミー・フォスターと斎藤幸平はマルクスの環境論の話だが、自分は環境問題はあまり響かない。
CO2と地球温暖化と気候変動の話は、自分に知識がないので、どれほど深刻なものなのかわからない。
温暖化論は核エネルギーの正当化に使われた歴史があるので、眉唾で聞いている。
環境問題(特に温暖化論)やっている人は余裕のある優等生的な、「丁寧なくらし」系の感じがして、自分には関心が遠い。というか余裕がない。
環境問題を第一に考えると、人間がもっと大幅に減ればかなり解決するので、逆方向のファシズムみたいな感じになりそうとうっすら考えている。
 
この本を読んでも、資本主義の強さ、ヤバさを再確認し、未来への希望はほとんど感じなかったが、もっと勉強していくしかない。
最後の科学・学問の体制化がいまいちばん怖いことだと感じた。

【映画メモ】ギンツ・ジルバロディス監督『Away』、堀貴秀監督『JUNK HEAD』

池袋 新文芸坐

◆感想:
『Away』は面白かった。絵が綺麗。
世界観はけものフレンズっぽいと思った。
鳥がかわいい。
『JUNK HEAD』は残念ながら面白くなかった。
一人で作ったのは凄いということは十分にわかるが、
プロセス抜きに作品単体で見て、何の思想性も、物語の面白さも、SFの問題提起も感じなかった。
ストーリーの粗さが目立つ。
最初からカルト映画を目指して作ったということはわかる。
自分には合わなかったが、監督が自分のお金で作ったんだから、やりたいことを詰め込んだならそれはそれでいいことではあるかとも思った。
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