@早稲田松竹
◆感想:5年ぶりくらい2回目。スクリーンでは初。
やはり凄い映画だった。
「政治の季節」。後にも先にも無い時代だったように思う。
運動の盛り上がりは凄かったけど、だんだんしぼんでいった。
社会が「豊か」になっていって、革命の必要がないように思えてきた。(それはもちろん第三世界を踏みつけての豊かさなんだけど。)
この豊かさは、運動が引き出したものなのか、因果関係はわからない。運動が引き出したものなら、運動にはすごい成果があったことになる。
革命の必要性が揺らぐ中で、党がセクト化、カルト化していった。セクト同士の内ゲバも起こるようになってきた。
あるセクトが派手なことをやると、「俺たちも負けていられない」と競争心を煽られた。
だんだん先鋭化していく。
革命が自己目的化していくというか。
本当に純粋な若者が集う。
連合赤軍ができてしまったことは不幸だと思った。
2つが1つになったことで、相手に舐められてはいけないと、もっと潔癖化してしまったように思う。
そして山岳ベース事件。革命戦を戦い抜くために「過ちを総括し、自らを共産化しろ」というパワーワード。
オウム真理教に似てると思うけど、彼らは「豊かな社会」に満足できないのだと思う。
宮台真司が「内在系/超越系」という分け方をしてるけど、日常の平穏・小さな幸せでは幸せになれない人間。どうしても超越を求める。
彼らを責めたり非難する気にはなれない。
自分なんかはむしろ彼らの運動のおかげで、引き換えに「豊かさ」を支配層から享受させてもらった世代だと思う。
その後、社会運動が退潮した現在は、支配層が譲歩する必要もないので、やられっぱなし。
改めて話を映画に戻して、役者の演技、ロケーションも含めて凄い映画だったと思う。
勝手な感想を書いたが、自分には知識不足で語る資格もないと思ったので、映画の公式ガイドブックと関連書籍を買った。
それらを読んでもう一度考えようと思う。
【読書メモ】永江朗『新・批評の事情――不良のための論壇案内』(ちくま文庫 2010年)
1 この国のゆく道きた道
小熊英二 自明の理の破壊
・『<民主>と<愛国>』=一口に戦争体験、戦後体験といっても、多種多様である
・粉川哲夫の担当編集者
藤原帰一 現実主義ではなくリアリズムを
森達也 戦略的ナイーブで
姜尚中 「どちらでもない」から見えるもの
鈴木謙介 「意味から意味への接続」のなかで
2 格差社会の歩き方
雨宮処凛 人を鼓舞するアーティスト
・ビジュアルも込
赤木智弘 「誇り」と「自尊心」
・「屈辱」「自尊心」
3 00年代カルチャー
岡田暁生 音楽のメタ批評家
菊地成孔 大衆音楽の過去・現在・未来
・『CDは株券ではない』
田中和生 高度資本主義下の純文学は
縄田一男 時代小説は「こうであってほしかった過去」
・時代小説は変わってほしくない価値観を書く=保守的
山下裕二 日本美術がヤバイわけ
ササキバラ・ゴウ おたく国策化には都合の悪いこと
本田透 萌えは反恋愛資本主義か?
・インセルの初期形態
・自虐的
・恋愛資本主義=恋愛至上主義
・モテと非モテの格差拡大 恋愛ネオリベラリズム
・恋愛から疎外されている→脱落したものは虚構を求めるしかない→アイドル・二次元
荷宮和子 強者の論理に言いくるめられないために
4 ライフスタイル
ドン小西 「新しい」=「正解」か?
遠山周平 日本人は洋服をどうすればいいのか
赤城耕 カメラから写真を語る
山口淳 バブル以後のモノ語り
松田忠徳 温泉の分節化
犬養裕美子 客と店との幸福度
・六本木ヒルズのレストランの値付け問題
単行本あとがき
要約・感想
5/26読了。
◆感想:さくっと読めた。前作同様、批評家・文化人のことを広く浅く知れる。
赤木智弘の章がかなり辛辣なのが驚いた。赤木の「屈辱」や「劣等感」が永江はわからないとのこと。このことに世代差を感じた。
おなじアルバイトだとしても、80年代と00年代では意味が全く違う。右肩上がりの時代と右肩下がりの時代。社会が明るかった時代と、未来に希望がない時代。結局この人はセゾン系、宝島系の根本は一切変わらないのだなと思った。
あとは野口旭の章でこの時期の「リフレ派」に対するスタンスが書かれているのが興味深い。やってみるまではどちらが正しいかわからなかった。ちゃんとケインズ政策をやればリフレ派にも理はあるのかもと思っていた人も多い。しかし各学者の人間性をみれば、やる前から答えは出ていた。
あとは、この時期に一番期待されていたのが宇野常寛だとわかる。
【授業メモ】放送大学 滝浦真人先生「日本語リテラシー(’21)」
- まえがき
- 第01回 日本語を書こう
- 第02回 日本語との付き合い方① : 文字と表記
- 第03回 日本語との付き合い方② : 和語と漢語と外来語
- 第04回 読むスキル① : まとまりを読む
- 第05回 読むスキル② : つながりを読む
- 第06回 考えるスキル① : 論理トレーニング
- 第07回 日本語との付き合い方③ : 「は」と「が」の語り
まえがき
・名文である必要はないが、誰が読んでもわかる文章を書けるようになることを目指す。
第01回 日本語を書こう
1.文章には方法がある
2.文章には目的がある―文体練習で意識しよう―
・客観的な文章 5W1H+伝聞
・1人称の文章→3人称の文章
・客観的といっても色々な側面がある。
・客観的であり、「わかりやすさ」が大切。
3.本書の内容
第02回 日本語との付き合い方① : 文字と表記
2.ひらがなをいつ使うか?
・現代かなづかい(1946年)ぢ、づ→じ、ず 地=ち 地震=じしん
・例外2つ ①連濁になった場合 鼻血=はなぢ ②同音の繰り返しの場合 縮む=ちぢむ 続く=つづく
3.カタカナの働き
・擬音語・擬態語 音に忠実
4.テンとマルの話
・いつテンを打てばいいか
a)直後の言葉に係るときはテン不要
b)係る先が離れているときはテンを打つ
c)テンが2つ以上出てくるときは、係りの短い方を省いていい
a.おじさんの家へ行った。
b.ぼくは、おじさんの家へ行った。
c.きのう、ぼくはおじさんの家へ行った。
・後ろに長くかかっていく「は」は、そこでテンを打つことが多い 直後の語句との論理関係を示すことが多い「が」は、テンを打たずにそのままつなげることが多い
a.雨は、ずっと降り続いている。
b.雨がずっと降り続いている。
・語句の曖昧さを避けるためにテンを打つケース
a.太郎はいつも、食べるメニューのカロリーを気にしている。
b.太郎は、いつも食べるメニューのカロリーを気にしている。
・理想的には、テンを打たなくても自然な解釈が可能な文を目指す。
第03回 日本語との付き合い方② : 和語と漢語と外来語
第04回 読むスキル① : まとまりを読む
1.段落(パラグラフ)を知ろう
・日本の段落と西洋のパラグラフは少し違う パラグラフの方が長い
2.パラグラフ・リーディング
・パラグラフの構成 骨格のようなもの 中心文(トピックの内容を端的に示す) 支持文 支持文 支持文(理由、言い換え、具体例など) 結論文(締めの文)
3.読んで要約する
第05回 読むスキル② : つながりを読む
1.論理とは何のことか?
・論理=つながりのこと=「接続後」
・A順接 B逆接 C加える・並べる Dその他いろいろ 言い換え 理由 例示 話題転換
A
順接→そして、それで、すると
帰結⇒したがって、それゆえ、そのため、そこで;だから(なので)
B
逆接↔しかし、だが、けれども;でも
(+意外性)↔!ところが、それなのに
付言(↔)ただし、もっとも、なお
C
並列+また、そして
添加++しかも、さらに、そのうえ、かつ
選択/あるいは、または、それとも
D
換言=つまり、すなわち
理由←なぜなら
例示↵例えば
話題転換トさて、ところで、では
第06回 考えるスキル① : 論理トレーニング
1.要素をつなぐ
・論理展開の順番 転換順接型 順接型 転換説明型
2.論を立てる
・論理展開の標識
[順序]まず(第一に)、第二に、最後に
[対比]一方…、他方…、これに対し
[仮定](もし)そうであるならば、ならば
[大前提]そもそも、まず
・論理は逆接にあり しかし、だが、けれども;でも ところが、それなのに
第07回 日本語との付き合い方③ : 「は」と「が」の語り
語り方の2つの構え
・XはY→Yに重点 XがY→Xに重点
・「タケノコは」。トピックを表わす。最初に置けば、以下しばらくそれについての文章になる。息がながい。
・「は」の風呂敷包み。「が(の/に/を)」のひも結び(その都度小さく仕事をして終わり)。
5/21課題提出。