マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】平川克美『移行期的乱世の思考』(PHP研究所 2012年)

オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」
オルテガは、本書の中で、「大衆」を「最大の関心事は自分の安楽な生活でありながら、その実、その安楽な生活の根拠には連帯責任を感じていない」者たちであると批判した。そして、モラルなき大衆が権力を握る時代の危険性に対する警告を発している。
 
目次
 
・「右肩上がり」世代
・一般的に言って株主とは自己利益をただひたすら追求するものであり、その意味では公的な責任ということには、ほとんど関心を示さない存在です。
・今や、民主主義が強いリーダーを求めているというパラドクス。
・金で金を買う 個人株ブーム
・もう欲しいモノが失くなった。
・1グラムのウランで石炭1トン分→100万倍
・株主の考えは「その会社に金さえ預けておけば、誰かがなにかをやってくれて、自然に金が溢れる」
・今回の震災はその大きな変化への転轍点。
アメリカ人は借金をして消費をしていたが、それも終わった。
・中世ヨーロッパ「ハンザ同盟」ベルギー、ブリュージュ「死の街」
ル・コルビュジエ「輝ける都市」↔ジェイン・ジェイコブズ
・通路にも商品が溢れていて、商売の生き生きとした心意気が感じられ、思わず買ってしまいます。
・なぜでしょうか?お金がないからか?それとも、余裕がないからでしょうか?お金以外に価値がないからでしょう。
・つまり、もう東京にいても大変なので、家賃の安いところに少しでも広がっていこうという動きは必ず起きるでしょう。
伊藤仁斎 古義堂 堀川 適塾
・会社人間は会社という共同体に呪縛されたものの考え方しかできなくなっている。会社での常識と一個人の常識は倒立している。そして、社会というさらに大きな共同体の存在。これも個人とは倒立して表れる。そこでの常識は、個人の常識とはひっくり返っているんです。
・例えば、社会の常識と一つの宗教共同体の常識が同じだったら、宗教は必要なく、存在もしない。社会のそれとはひっくり返っているから、その共同体の存在意義が生まれる。
内田樹「寝ながら学べる構造主義
マルクス「経済的な理由で人間は動くんだ」
ニーチェ「その時々の道徳や常識によって思考を支配されている」
フロイト「自分の中にある自分が見えない自我によって動いている」
→「人間は自分の意志で動いてない。」
・あたかも、自分で考えているかのように思っているけど、自分の意志では動いていない人間が、共同体の中に入ると、その共同体の意志があたかも自分の意志であるかのように思ってしまうわけです。
・今、日本の場合には、いわゆる「株式会社共同体」という強固な幻想共同体が存在している。巨大な東電と思ってもいい。そして、そこでの常識が日本の常識になっているわけです。だから「経済成長しないといけない」という論理に国中が帰結しているように見えるのですね。
・単純化→縮減モデル
・「わかりやすい説明、明快な答え、シンプルな目標」→ターミノロジー →手帳管理
・確かにビジネスというのは目標設定がきちっとされていないと、なかなかやりにくいところがある。曖昧だと力が入らない場合もある。それはなぜかと言うと、ビジネスそのものが、実は現実の縮減モデルだからなんです。
・ビジネスとは、要するに、商品と商品交換で世界を理解していこうという世界。
・…なのに、そのやりとりを無視して、ただ単に商品交換という一つのルールで捉えようとする、それが縮減モデルなんですよ。
・問題は、この縮減モデルという方法論を、どこまで敷衍してよいのか、ということです。例えば、人の一生だとか、あるいは国家の行く末とか、コミュニティのあり方を考える時に適用できるのか。縮減させてはいけないところがあるのではないか。つまり、縮減した人生、縮減した国家、縮減したものしか生まれないことになる。本来そういうものじゃないのに、縮減したかたちの社会しか生まれてこないという、逆転現象が起きてしまう。
>>高解像度の画像を一度解像度を下げて縮小して、それを再度拡大するようなもんだな。細部が潰れる。<<
・すでに現実に縮減思考は蔓延し始めている。そのことが何を意味するのか。縮減モデルとは、本来縮減モデルが適用できるフィールド、例えばビジネスの世界のための方法論だったわけですが、その方法論をどこにでも、むやみやたらに適用しようとした。つまり、現実の世界に適用しようとしてしまった。その結果、現実の世界が縮減してしまったということに、人々は早く気がつかなくてはいけないんです。
・失われた次元を回復する
・つまり、会社とは、人間のアナロジーで言えば、幼児期だけを切り取るという縮減モデルなんです。
・あまりにも社会の中で、会社や経済の論理が肥大化してしまった。
・テクノロジーとお金に対する万能性信仰
・直感の外れ方、直感の感度も落ちている
・経済至上主義、金銭一元主義に覆われたここ二十年ほどは、ある種のカルトな状態であったと言えると思います。
ナオミ・クラインショック・ドクトリン」「グレートリセット」↔「ブリコラージュの思想」
大田区。何の責任もないものに対して、ある種、僕は責任を感じるという生き方。
・自分が育ってきた場所やそのコミュニティなどに対し、少なくとも敬意を払い、それをどうやったら少し漸進させることができるのかと考えることが大事だろうと、僕は思っています。
核家族的なアメリカ、イギリス。
・つまり民主主義の発展史とは、日本の家族制度を壊していく歴史。
植木等、サラリーマンはゲームだと喝破している
青島幸男の思想
・正社員と派遣労働者は決定的に違う。派遣労働はアウトソース。
・「所得倍増計画」の時代。
・欲求→欲望
・だいたい、欲望は自分の身を最終的には滅ぼしてしまう。
・ところが逆に言うと、欲望がないと進歩もまたない。
アンビバレントな問題は、抑制(グラデーション)の問題。
イヌイットの生活
・「ステーショナリー・ステート」「定常状態」
・下村治「日本は”縮小均衡”すべき」
>>1万円のディナーの喩え話<<
・数値化することで、無視するもの。
・若者と大人
・「他者の欲望を欲望する」+他者から欲望されたいという欲望→拡大再生産する
マズロー最初の三つは家族の中で満たされる
アダム・スミス新古典派「欲望のままに行動してよいのだ。神の見えざる手が調整する」
・「欲望のままに生きていいのだ」→「金がすべて」「金があれば何でも買える」は一跨ぎ。
・”経済成長” ”投資”
・チリ ピノチェト政権 焼き畑農業
・下村治 拡大均衡→縮小均衡
・「あ、これが技術なんだ」と思えるものは、まさにモノの生産の仕方なんです。しかも、それはどこにも出せないものなんですよ。暗黙知の集積。
GHQの「理想」の部分
・人口減少 自然がバランスをとる力 文明史的な流れ
・「放射能を弔う」「これまでエネルギーを供給してくれてありがとう、もうお別れです」という儀式をすべき
・他人に対する耐性