マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

『VOL 01』(以文社 2006年)

作者: 萱野稔人,酒井隆史,平沢剛,松本潤一郎,渋谷望,矢部史郎,松本麻里,田崎英明,高祖岩三郎 

紹介
新たな理論誌の創刊!
理論/アート/運動をラディカルに組み替える新思想誌『VOL』の誕生。酒井隆史萱野稔人渋谷望氏など若手思想家を編集に向かえ、新たな「思考の場所」を取り戻す!

現在の日本において、「運動」という言葉を目にすることは非常に少なくなりました。運動を実践することは批判の対象にされ、そこから距離を取るような脱・政治的な態度こそが思想的である、という風潮さえ感じます。しかし、シアトル、ジェノバでのWTO閣僚会議への抗議行動や昨年フランスで起きた暴動、あるいは南米の自由貿易協定への反対運動などを見ると、そのような日本固有の思想的、政治的現象の方がむしろ非常にローカルなものにさえ見えてきます。世界においては、オルタナティヴな共同体の創造を目指して、次々に新しい実践がなされ、それに伴い、様々な思想的、文化的実験が活発に行なわれています。そこでは、広義な意味での「運動」が、理論、思想、文化的な作業と分かち難く結びついているのです。
私たちは、『VOL』において、理論を理論として、思想を思想として、文化を文化として、芸術を芸術として、表現を表現として、実践を実践として捉えるのではなく、このような「運動」に依拠した横断的な試み出来ないかと考えています。しかしながら、これは独創的でも、画期的な発想でもなく、かつての1960年代を中心とした日本が持っていたであろう「世界性」を、もう一度獲得し直すことでもあるのです。現在性を手放さないと同時に、歴史を検証し、そこから学ぼうとするのは、逆説的に現在を問い直すことと同義だと言えるでしょう。『VOL』によって、こうした様々な作業を継続的に重ねていくことができればと思います。(VOL編集委員より)

目次
WHAT IS THE POLITICAL

Discussion「政治とはなにか」白石嘉治+酒井隆史田崎英明+萱野稔人+松本潤一郎

Monographs「政治についての10のテーゼ」ジャック・ランシエール/杉本隆久訳
     「ドゥルーズと可能的なもの 政治における非主意主義について」フランソワ・ズーラビクヴィリ/大山載吉訳
     「政治・平等・出来事 いま政治を考えるためのブックガイド」酒井隆史
     「無意識と政治 ドゥルーズジジェクバディウ松本潤一郎
     「何も起こらない世界 延命か中断か」篠原雅武

Essays 「埒外な彼女たち・埒外な取引」松本麻里
     「収奪とミクロ搾取 マイク・デイヴィス『スラムの惑星』について」ケン カワシマ/比嘉徹徳訳
     「(小さな)政治が充満する」矢部史郎
     「亡霊たちのブローバック」渋谷望

Serial Interview

    Global Activism, Global Theory第1回「新しいアナーキズムの政治」デヴィッド・グレーバー 聞き手・高祖岩三郎
    History of Movement第1回「運動のオートノミーをめぐって」粉川哲夫 聞き手・平沢剛

AVANT-GARDENING

Monographs 「アヴァン・ガーデニング」ピーター・ランボーン・ウィルソン/金田智之
      「VIVA ロイサイダ・リブレ」ビル・ワインバーグ/近藤真里子訳
      「庭=運動(庭=運動にルビ@アヴァン・ガーデニング)以後」高祖岩三郎
      「集客都市の暴力」原口剛

Interviews 「大地の奪還をめざして」ラファエロ・ブエノ 聞き手・高祖岩三郎+酒井隆史/比嘉徹徳訳

Essays   「NYコミュニティガーデン盛衰史」トシダ ミツオ
      「台所とお化けたち」五所純子
      「世界を震撼させなかった3日間のように」究極Q太郎
      「コインランドリー・グルーヴ 生き抜くために必要なこと」RADIO MAROON(レディオ・マルーン)
      「ゲリラ・ガーデニング N.Y.C.」ユウジ・アゲマツ

VOL/CRITIC
     「PSE法は階級の問題である」二木信
     「西成の「経験」 SHINGO☆西成というラッパーについて」村上潔
     「「帝国」を追いかけて 富山妙子の仕事」菊池亮
     「IRREGULAR RHYTHM ASYLUMヨリ」成田圭

VOL/BOOK
    ⑥「文学の名において ネオリベラリズムに抗するために」白石嘉治
    ⑥「都市空間をめぐるアート/闘争、そして活動家(活動家にルビ@アクティヴィスト)の理論」高祖岩三郎

「政治とはなにか」
「功利性のようなものですべてを片付けてしまえるという発想」
シチュアシオニスト Situationist 状況主義者、あるいは状況構築主義
ギー・ドゥボールスペクタクルの社会」 ラウル・ヴァネイジェム「The Revolution of Everyday Life(毎日の革命)」
スペクタクルの社会においては、商品は労働者や消費者に支配されるのではなく、逆に彼等を支配してしまう。そこで消費者は具体化されたスペクタクルを凝視する受動的な主体となる。」
ドゥボールシチュアシオニストマニフェストにおいて、パブリックな公的文化を”いかさま”であるとした。一見自由をよそおいながら、その内部では社会革命的な思想が公文化の文脈に流入することは、注意深くしりぞけられている。そうした思想はまず瑣末化、滅菌され、社会の主流に安全なかたちで取りこまれる。そして支配的な思想に若干の彩りを与える程度まで矮小化されてしまう。公的文化のこのやり方を「Recuperation(治療)」、それに対する対抗手法を「Détournement(剽窃)」とした。」
「シチュアショニスムの芸術観を語る際、最も重要なのが都市の問題である。ドゥボールをはじめとするシチュアショニスムの牽引者たちは、「心理地理学」や「漂流」といったキーワードを好んで用いていたが、これは資本主義の大量消費の舞台としての都市を、日常生活に蔓延するスペクタクルの象徴として、それをゲリラ的に撹乱する意図に基づいていた。それは、アンリ・ルフェーブル『日常生活批判』Critique de la Vie Quotidienne (1947、1962)に多くを負いながら、ル・コルビュジエの提唱したユルバニスム(アーバニズム。近代以降の都市計画)に対する批判などへとつながっていった。」
・「オルタナティブ主義」つまり「現実主義」と同義のものとして語られる「対案主義」の席巻
・二大政党制の陥穽
https://garage-sale.hatenablog.com/entry/20110330/1301466680

途中