マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】マニュエル・ヤン『黙示のエチュード 歴史的想像力の再生のために』(新評論 2019年)

 

目次

はじめに

・台湾人神父の父、日本人の母
・3.11後 6月から東京 大阪 沖縄 ソウル ヘミングウェイ「移動祝祭日」のような日々

第1部 原子力と資本主義

1.ミッドナイト・ノーツへの悲歌?

スリーマイル島原発事故
・「ミッドナイト・ノーツ・コレクティヴ」
金融恐慌からコモンズへ 資本主義の現在的批判のために (Vol extra) | ミッドナイト・ノーツ・コレクティブとその友人たち, 高祖 岩三郎, 木下 ちがや, 酒井 隆史、他 |本 | 通販 | Amazon  
シチュアシオニスト
・ジョージ・カフェンティス「なによりも階級闘争
・「現代史の大部分を説明するには生産手段と生存手段のコントロールをめぐる闘争を分析するだけでじゅうぶんだ[…]ジェンダー性的指向や土地をめぐる考え方と何ら関係なく、わたしたちは資本主義の空間のなかで動いている。資本主義の土壌で生き、資本主義のパンを食べ、資本主義の労働で体内のエネルギーを燃焼している」
>>私達は資本主義の理解、掘り下げがまだ全然足りない<<
・ポレミック(英:polemic)特定の立場を支援するために反対の意見に敵対した意見を述べる議論のこと。
・労働の拒絶
・C・L・R・ジェームズ トリニダード・トバゴ
・「ジョンソン=フォレスト傾向」
・『労働/エネルギー危機と黙示』
新右翼が先端技術(ハイテク)を駆使して未来学的に推進する資本主義のユートピアを「宇宙に漂うモルモン教徒」のイメージでつかみ取ろうとする彼らの絶対音感的センスの良さ!
・(1990秋)『新しい囲い込み』
・ジュビリーの実践 ヨベルの年
サバルタンヘゲモニーを握る権力構造から社会的、政治的、地理的に疎外された人々。アントニオ・グラムシ、ガヤトリ・C・スピヴァクの概念)の予言的想像力
・奴隷を開放し土地を再び共有するという聖書の一見古びた慣習をコモンズの伝統として救い出す
・ジュビリー 名詞 jubilate 動詞
・統治の言葉と開放の言葉
・「反グローバリゼーション」「反資本主義」という否定的名称

2.『奇妙な勝利』から、『破局』の永久革命まで―ミッドナイト・ノーツ・コレクティヴの一九七九年原発批判と新しい階級闘争

・『鏡の国のアリス
・大工とセイウチと牡蠣
・石油価格の上昇→核産業
・堀江邦夫『原発ジプシー』
・日本人労働者の10倍放射能を浴びる外国人労働者
・「彼らの労働は身体に放射能を浴びることである。この産業において労働はそのもっとも純粋な形を取る。――つまり身体の労力ではなく、身体の破壊だ」鎌田慧『新板 日本の原発地帯』
・「日本では世間体を気にする「恥の構造」がイデオロギー的にあいまって、批判の自己検閲につながり、少しでも国家/資本への従属から逸脱する者は「不謹慎」(あるいは「放射脳」)と反射的に非難され、「自粛」ムードが醸成される。」
原子力安全委員会原子力規制委員会
被爆限度量 年間1ミリシーベルト → 20
・4月10日高円寺 1万5000人 反原発デモ
・「資本に回収されない生活」
・「火事場のドサクサに紛れてセイウチと大工がわたしたち牡蠣に向かってデタラメを吹き込み、わたしたちを平らげようと躍起になっている」
・野党と自民党どちらがましか 等の、「偽の選択肢」
・ありとあらゆる巧妙な手で労働を新たに押しつけてくる資本の本質
エドワード・P・トムスン『イングランド労働者階級の形成』
・マイク・デイヴィス『恐怖のエコロジー』『要塞都市LA』
・ミサイルや爆弾や原子力発電所といった『劇場の偶像』(フランシス・ベーコンの言葉。異なった形を取ることでありのままの現実を見えにくくするものや現象や先入観)
・すべての根にあるのは、資本主義的蓄積に対する闘争
・労働と搾取に支配された生き方に抗う闘争
・「敵国による「破局(カタストローフ)」的脅威を振りかざすことで成り立っていた米ソ冷戦構造の「仮想の対立」も、両地域の労働者階級を国家に服従させ疎外労働を受容させる手段として歴史的に機能した。」
ハワード・ジン『民衆のアメリカ史』市民的不服従
・ピーター・ラインボー(ヤンの師匠)、マーカス レディカー『多頭のヒドラ 一八世紀における水夫、奴隷、そして大西洋の労働者階級』
>>教室に恒常的ないじめがある状態 資本主義、階級社会はいじめを必要とする 地主の暴力、いじめ<<
ヴァルター・ベンヤミン「歴史の概念について」(『歴史哲学テーゼ』)
・「ぼくらが進歩と呼ぶものは、この強風なのだ」
吉本隆明と戦争 「死の国」から帰還した世代
>>選挙だけでは民主主義ではない。「人民による」が重要。全員に「仕事」「役割」を。<<
吉本隆明『「反核」異論』 中野孝次大江健三郎、山本啓を「ソフトスターリニズム」と攻撃
・MN 貨幣の哲学者 ジョージ・カフェンティス
福音主義者 ラプチャー
・マイク・デイヴィス『恐怖のエコロジー』『要塞都市LA』
>>奴隷状態に置かれていることに対して、正しい怒りを持てるか?<<
>>朝鮮が分断したのは日本の責任<<
・「階級闘争の原像」
フーコー ヴァンセンヌ実験大学
ハワード・ジン『民衆のアメリカ史』
・「階級」以前の「階級闘争
・クリストファー・ヒル C・L・R・ジェームズ
・ジョージ・ローウィック ピーター・ラインボーはMN
・『多頭のヒドラ 一八世紀における水夫、奴隷、そして大西洋の労働者階級』
・C・F・ヴォルネー『廃墟、または帝国の革命についての省察
・「アフリカの文化はもっとも卑しい人びとの無知で蔑まれた文化であるどころか、数千年にわたる人類史の中でもっとも発達した文化であった」
・2011年2月タハリール広場 エジプト革命 チュニジア ジャスミン革命の次 アラブの春
ベンヤミン「歴史の概念について」(『歴史哲学テーゼ』)「歴史の天使はこのような様子であるに違いない。かれは顔を過去に向けている。ぼくらであれば事件の連鎖を眺めるところに、かれはただカタストローフのみを見る。そのカタストローフは、やすみなく廃墟の上に廃墟を積みかさねて、それをかれの鼻っさきへつきつけてくるのだ。たぶんかれはそこに滞留して、死者たちを目覚めさせ、破壊されたものを寄せあつめて組みたてたいのだろうが、しかし楽園から吹いてくる強風がかれの翼にはらまれるばかりか、その風のいきおいがはげしいので、かれはもう翼を閉じることができない。強風は天使を、かれが背中を向けている未来のほうへ、不可避的に運んでゆく。その一方ではかれの眼前の廃墟の山が、天に届くばかりに高くなる。ぼくらが進歩と呼ぶものは、この強風なのだ。」
・前進し続ける支配の歴史、それがふるう圧倒的暴力
・絶望と紙一重の「希望の原理」
・「剥き出しの生」の主体性
ジョン・レノン「労働者階級の英雄」「宗教とセックスとテレビでお前は薬漬けにされ/『ボクはすごく頭がいい、階級などなく自由だ』と思ってやがるが/オレが見る限りお前はただのくだらねえ田舎者だ/労働者階級のヒーローになろうぜ」
・『ゴジラ』『ウォッチメン』(マンハッタン博士)
・統計にすら現れない原発立地地域の住民や労働者の疾患と死

3. カタストロフィを超える民衆―放射能計測運動を世界の民衆運動に接続する(聞き手:池上善彦)

原発災害は「エコノミック・アニマル」がつくった「消費社会」が崩壊しつつある兆しに見えた。
>>なぜ我々は労働を強制されているのか?<<
・計測運動について
・イングマール・ベイルマン『冬の光』
・「『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』という大江健三郎の小説(1969年)がありますが、これに対してある意味「誰もが生き延びる道をすでに知っているのだ」と応じることができるでしょう。1995年の阪神・淡路大震災の現場では、それまで引っ込み思案だった人がとつぜん指導力を開花させたり、火事場の馬鹿力のようなものを発揮し自律的な共同体が一時的ではあれ形成されました。これはレベッカ・ソルニット『災害ユートピア』(2009年)で描かれていることです――災害時に人間はそれまでなかったようなコミュニティを下から創り出す力を発露する。同時に暴力や排他性やデマなどいろいろな要素が混入しているので、いちがいに全部「ユートピア」とは呼べないのですが、相互扶助的な関係が無計画に起こることのすごさは認識すべきです。つまり、治安制度やイデオロギーなしでこうした人間関係が自発的に生まれるすごさです。国家がないと治安が保てないと主張する人が多くいますが、そんなことはない。これは徳島の阿波踊りに参加したときにも感じました。警察がほとんどいない所で、みんなが踊り狂っているのに、喧嘩は起こらなかったし、自発的に秩序が保たれていた。こういうことが災害時にも起こりうるわけです。」
・「語ることのできないもの」=「崇高なるもの(サブライム)」
・資本主義の基本的なテーゼ、「お前の土地、労働力、時間を奪い、そうやってお前を殺して大きくなり、もっと勢力を伸ばすのだ」
・資本蓄積の生け贄にされ続けたわたしたちの日毎の生活の内面を暴いた3.11以後の世界
釜ヶ崎 寺島珠雄
・ソウル「スユノモ」今政肇 李珍景
・釜山 港湾労働者 キム・ジンソク クレーン車に籠城 徹夜デモ 
・スユノモの人たちはこうした戦闘的な障害者とともに学習するグループをつくり、ドゥルーズフーコーマルクスを一緒に読んでいる
伊江島「ヌチドゥタカラの家」 謝花悦子
・高江「合意していないプロジェクト」 阿部小涼
那覇 高里鈴代「スペース結」 プエルトリコやディエゴ・ガルシアの反米基地闘争との連帯
・韓国・沖縄・日本の運動をお互いにつなげないのか?
・米兵たちも実は米国の下層民 犠牲者 多くがメキシコ系、黒人、白人貧困層
・「民主党は福祉や労働者の権利を重視する元来の社民的役割をかなぐり捨て、共和党に匹敵する票数を得るためにネオリベ政策を率先して実施し、とりわけマイノリティの貧困層に対する警察権力や刑罰を強化した。選挙政治の次元では「多元文化主義」や「フェミニズム」や「マイノリティ」をレトリックや象徴として巧みに用いて、民衆を破壊する政策の内実を隠蔽しています。」
・「シアトル以後」世代 有機栽培、高速道路開発反対運動、ホームレス支援など
・運動組織どうしが互いの存在を知らない
>>もし浦舟複合福祉施設ビルが長屋だったら。廃校利用は、福祉、生活支援の複合。大人も来れる学校にするのが一番いい<<
・ハイチ革命=世界史上初めて成功した奴隷革命
・一人でもやりはじめることができる。たとえば、いまエジプトに赴いて、現地の人の話を聞き、オーラル・ヒストリーやルポやエスノグラフィーの形で何らかの記録を取る
・根気とノートと何人かの知人がいれば これが「下からの歴史」の一つの方法 いずれどこかで発掘される

4.三・一一と負債資本主義時代における黙示録と踊る死者のコモンズ

・勝者は敗者を二度殺す 二度目は歴史から抹殺する
・路上青果売りのチュニジア人 モハメド・ブアジジ
・「原発さえなければと思ます」と壁に遺言を書き 首を吊った福島県相馬市の酪農家 妻はフィリピン人
ジョージア州 白人警官殺しの嫌疑 アフリカ系労働者トロイ・デイヴィス
・ブアジジ 路上以外に生計を得る場がなく、その公共空間からさえも駆逐される都市プロレタリアートの末路
・トロイ・デイヴィス 警察に歯向かうものに対して見せしめとしての死刑
・ニューヨーク 西インド会社の軍事要塞としてのウォール・ストリート(壁街)
・小塚原刑場 刑死者の解剖 『ターヘル・アナトミア
・前近代社会の共同性に基づく民衆的伝統すなわち「入会地」、しきたり、儀式、慣習的権利/法といったものに対する包括的呼称として使われてきた「コモンズ」は、語源的には本来「動詞」である。すなわち、わたしたちが「ともに実践する」という意味だ
・「国際通貨基金世界銀行による南半球の「構造調整」しかり、「自己破産」を申告しても返済を要請され続けるアメリカ/日本の学生ローンしかり、負債の十字架に労働者をはりつけた資本は労働力の価値を低下させ、蜂起の原動力を殲滅しようと躍起になっていた。」
・ドル=石油の売買に使用可能な唯一の通貨
・2000年にサダム・フセインは取引通貨をドルからユーロへと切り替え、その次の年にイランが同じことをすると、たちまちアメリカは爆撃と占領を開始した。
・民衆に「負債」(税金、家賃)を抱えさせ、支配する
・ジョヴァンニ・アリギ『長い20世紀』
・3.11からちょうど200年遡る1811年3月11日にイギリスで、手工業労働者たちが織機を破壊し始めた。のちにラッダイトと呼ばれることになる、おもに北部のノッティングハム、ランカシャー、ヨークシャー地方の職人たちがしかけた無名の闘争だ。
・ラッド大将という架空の人物
・「200年前、世界と天空が荒れ狂い、民衆が機械を打ち壊すべく矯正のハンマーを振り上げた」
・ピーター・ラインボー『ネッド・ラッドとマブ女王 機械の破壊、ロマン主義、1811-12年における幾つかのコモンズ』
・「そのエネルギー源において1811-12年のランカシャー蒸気機関は、2011年の福島の蒸気機関と異なる。しかし、その他の点において、福島原発はラッダイトたちが反対した機械を大きくしたものにすぎないのではないか。」
マルクス「機械についての断章」「機械化と自動化が極限まで進み、可変資本(労働者)の不変資本(機械)に対する比率が最小となった未来」
・1964『フェイル・セイフ』
・「それは、自分以外の代替えシステムへの変更をゆるすぐらいなら全人類を道連れにしてやろうという、資本主義の無意識的構造が培ってきた黙示的タナトスへの衝動をあらわしている。「自己保存の本能」を人間から疎外し、システム全体の「自己保存」を自滅的フェイル・セイフに拡大した原発大量破壊兵器という機械を「極度の不変資本」と呼んでもいい」
原発災害を「想定外」と嘯くエンジニア、目先の利潤や地政学的変動に惑わされて原発政策をごく「現実的に」立案実施する資本家や政治家や官僚、彼らの偶発的個人行為を制度的に集積すると、それは資本主義の無意識から自然に現出する「必然」になる。
・負債という聖痕を全世界のプロレタリアートの額に烙印する資本
・『ヨハネの黙示録』 西暦90年 古代ローマ ドミティアヌス帝 ヨハネ パトモス島に幽閉
・capital=死=富
・「資本蓄積」=「死の蓄積」
・日本「盆踊り」、欧州「死の舞踏」、メキシコ「死者の日」 「踊る死者のコモンズ」
・「現在、生者と死者を遮断しているのは、資本主義的呪術を通して「法人」という名の邪神になった原発・軍事基地・株式会社だ。」

5.プロメテウスの末裔―放射能という名の本源的蓄積と失楽園の史的記憶

・1818『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』
ルイージ・ガルヴァーニ「電気の発見」
・1800「ガルバニ電気」 → 発電機 19世紀末 水や石炭→電気が産業と都市を支配するエネルギーになる
・「狩猟採集の権利や入会地を奪われた平民・先住民、手工芸の力能を機械に奪われた職能民は、「無産労働者階級」という「フランケンシュタインの怪物」にむりやり改造された。上からの命令で全てが決まる組織の歯車として管理される」
1903年 ノーベル物理学賞 キュリー夫妻 アンリ・ベクレル
・ウラン ボへミア ヨアヒムスタール鉱山
・ゲオルク・アグリコラ『金属について』
・1545年 スペイン 銀山の町ポトシ(現ボリビア南部)
ウルグアイ人作家エドゥアルド・ガレアーノ『収奪された大地 ラテンアメリカ500年』 ポトシの劣悪な労働状況
・「土地/生活手段を奪い取り、このような劣悪な状況下でむりやり働かせて富を築き、その富で再び新しい地域に乗り込み、同じことを永劫回帰マシーンのように繰り返す――ヨアヒムスタールやポトシを始めとする世界の至る所でなされた伝統的生活の破壊とそれに続く強制労働、500年にわたるこの収奪を「本源的蓄積」とマルクスは呼んだ。資本主義において蓄えられる富の歴史的みなもとであり、資本主義の機能維持のために絶えず反復されなければならない利潤増殖の「法則」である。」
・「アメリカの金銀産地の発見、原住民の掃滅と奴隷化と鉱山への埋没、東インドの征服と略奪の開始、アフリカの商業的黒人狩猟場への転化、これらのできごとは資本主義的生産の時代の曙光を特徴づけている」――『資本論』の有名な箇所。
・日本でも石見銀山 一時期、世界市場の三分の一 ユネスコ世界遺産 負の歴史が抹消される
・「個人」や「文化」が原因ではない。組織化された制度や権力構造が生存に成功すると、生物界同様、個人あるいは社会意志を淘汰するシステムが否応なしにできあがる。「蓄積」自体を「本源的」と形容した理由はそこにある。
・「資本主義の生成に伴う虐殺と強奪の歴史は、人間の本質的「貪欲」や「西洋近代文明」の合理主義的価値観(あるいは東洋の儒教的職業倫理)を主軸に成立したのではない。たまたま淘汰を生き残った西ヨーロッパ発の世界資本主義システムは、個人と文化の様々な要素を吸収し、自己増殖せざるをえない生存の「本能」によって作動し続けるのだ。」
・貨幣の近世的起源は「血と汚物」だけではなく、放射能も文字通りしたたらせていたのである。
・ハーバート・フーヴァー
・「政治家フーヴァーの貢献を一言で要約するならば、それは「効率化」だ。19世紀末以降の「能率増進運動」およびその理論的基礎となったテイラー主義の信奉者であったフーヴァーは、企業や政府から徹底的にムダをなくし、科学的に効率よく「規格化」された企業、国家、商品、労働者をつくり出す改革を、アメリカ全土で行った。」
・国家と企業がバランスの取れたパートナーシップを組む → 「協同主義(アソシエーショニズム)」
・「大恐慌という世界資本主義の危機をアメリカから払拭したFDRのニューディール政策はもちろんのこと、戦中の「マンハッタン計画」や戦後の原発開発のレールを敷いた国家・資本間の協力と、それを特徴づける科学的効率主義は、こうして一鉱山エンジニアが現場で取得した原理から創設された。」
・「この科学的効率主義の経済原理を守り抜く究極の手段は国家暴力である。」
・フーヴァー オーストラリアの炭鉱 スト破り 1932 退役軍人「ボーナス遠征軍」 マッカーサー デモ鎮圧
・「科学的効率主義を唱えるアメリカの先進資本主義もその核心においては、ヨアヒムスタール、ポトシ石見銀山における本源的蓄積の暴力を共有していたのだ。」→ 共産主義者の陰謀だったと歴史修正
・1951 アイダホ州アルコ 高速実験増殖炉 EBR-1
トルーマン 重要機密文書NSC68 「新世界秩序」 朝鮮戦争

アイゼンハワー 1953NY国連演説 「原子力の平和利用」 離任スピーチ 「軍産(連邦議会)複合体」
これら三位一体の部門(軍隊/産業界/立法府)の間における近親相姦的な関係を実証的に暴き出したのが、気鋭の社会学者C・ライト・ミルズの『パワー・エリート』(1956年)だ。
カルビン・クーリッジアメリカの本業(ビジネス)は企業(ビジネス)だ」
社会学者フランツ・シュールマン「日本の自民党政府の本業は企業だ」
・「そして戦後アメリカ資本主義の特殊性は、「企業」の先端技術開発が軍需産業をパイプにして行われていることにある。原子力産業はもちろん、インターネットや生物工学もそうである。アメリカの国家予算の圧倒的大部分が軍事費に当てられているのはそのためだ。実質的には「企業福祉」であるこのばくだいな軍事費は、戦後アメリカが制覇した地域とそこに進出する多国籍企業の利権を守る独裁国家の防衛にも回された。沖縄を始めとして世界中に所在し、正確な総数がわからない無数の米軍基地もその機能の一端を担っている。アメリカが参戦した朝鮮戦争も、経済開発の促進を(日本にも)もたらした。国民の血税によって成り立つ軍需産業が「企業福祉」として機能する資本主義、これはもはや「軍事ケインズ主義」と呼び変えた方がふさわしい。とりわけそれが原子力核兵器を枢軸とする1950年代以降の体制は「軍事ケインズ主義的核産複合体」と名指すべきだろう。」
・1947年2.1ゼネスト中止
・「こうしたアメリカ占領軍の「逆コース」政策は、結局、日本の戦前の支配階級を温存させ、企業が独占的権力を握る擬制民主主義を形成することになる。」
・「事実、このイメージは、両方の地政学的覇権地域にとって有利なイデオロギー的幻影であった。アメリカは、反共「魔女裁判」や株式会社的全体主義を通じて個人の自由をどんどん破壊してなお、「自由主義」における「個人の自由」を守っているふりをすることができた。そしてソ連は、労働者を大量に搾取し政治的反対分子を群島収容所へ叩き込み続けてなお、「労働者の福祉」を資本主義の搾取から守っているふりをすることができた。」
・1950 デトロイト 『国家資本主義と世界革命』
・ガー・アルペロビッツ『原爆投下決断の内幕』 ソ連への牽制
・「その結果、政治的選択はイデオロギー的窒息状態に陥る。西側諸国の資本主義を批判する者は自動的に「共産主義陰謀」の一味にされ、ソ連全体主義を批判する者は官僚的左翼から「帝国主義の走狗」や「ブルジョアの手先」と呼ばれる。」
・「『国家資本主義と世界革命』は、このような閉塞した政治状況を一気に打破する卓見に満ちている。半目し合っているかのように見える東西の超大国は両方とも、労働者を機械の部品とみなし、搾取する国家資本主義の権力だということを明らかにした――「アメリカの官僚制を究極的なものにしたのがスターリン主義的官僚制であり、両方とも国家資本主義の時代における資本主義的生産システムの産物である」。その鋭い分析は、まるで「王様はハダカだよ」と初めて指摘した少年のように、中央集権化されたあらゆる権力を斥ける率直な眼差しに拠っている。共著者のC・L・R・ジェームズ、ラーヤ・ドゥナエフスカヤ、グレイス・リーは、反資本主義運動のなかではきわめて小さい孤立した少数派で、何の政治的権力も持たない人たちだったが、本書は当時、そして今もなお、わたしたちを統治するシステムの実像を暴いたテキストであり続けている。」
・「より深く考えてみれば、生と死は悲劇的とはいえない」「プロメテウスもハムレットも、またリア王やファイドラも、そしてアハブも、人間存在の永遠の衝動と考えるものを主張するために、組織化社会の規範に反抗した。彼らは、破滅が待ち受けていることが分かっているにもかかわらず、このように行動したのであり、その挑戦は彼らを高揚させ、敗北を自己犠牲へと昇華させる。このような自己犠牲こそ、人間の崇高さを増すものなのである。」(C・L・R・ジェームズ)
山下耕作 任侠映画
・トラピスト僧 トマス・マートン ジェームズ『水夫・背教者・漂流者』 白鯨 修道院
・「きわめて質素で禁欲的だが、静謐な喜びと規律正しい習慣に満ちた日常を送りながら、そのなかから自然と浮かび上がる神との瞑想の詳細を日記に書き記していた」
マートン「ヘシオドスのプロメテウスはカインであり、アイスキュロスのプロメテウスは十字架のキリストである」
・「じっさい、アイヒマンが従ったのは、学校、会社、政府を含む社会のあらゆる機関で、現在わたしたちが当然のこととして守っているルールだ(本源的蓄積を穏便に保ち続けるための資本主義のルールと言い換えてもよい)。ユダヤ人を大量虐殺した収容所を管理していたシステム、原爆を製造し日本に投下したシステム、731部隊の細菌戦に向けた人体実験や南京虐殺を可能にしたシステム、それはすべてその時々の「資本の本源」が進化したおぞましい姿であり、そのもとで働いて「人道に対する罪」を犯した人びとはほとんど皆「正気」で真面目な「好い人たち」だったのである。つまり、科学・貨幣の中立性がそれを用いる人間の性根によって善にも悪にもなるというアグリコラの問題設定は、このシステムの存在を隠蔽する詭弁にすぎない。本源的蓄積の怪物(システム)は、「頭から爪先まで、毛穴という毛穴から血と汚物をしたたらせながら生まれてきた」貨幣をヘモグロビンに、労働から利潤を抉り出す。そしてシステムをもっとも効率的・合理的に稼働させるために科学を活用する――そこには中立性や善悪の基準など一切存在しない。
・「怪物はフクシマ原発災害を引き起こしてなお放射能の災禍を無視し、原子力発電を続行しようとしている。この異様なシステムの「正気さ」を鵜呑みにする「好い人」であることをやめ、システムに与しないためにはどうすればいいのか。まず、自己保存のために「正気」を捏造し、維持してきた本源的蓄積システムと向き合わねばならない。」
サンフランシスコ平和条約 駐米韓国大使梁佑燦(ヤンユチャン) アメリ国務長官ディーン・ラスク宛の書簡 竹島尖閣諸島
・「「日常的には人の居住しないこの岩礁」の領有権を争うことの不条理、そして、その「実効支配」のありかを決定するのが、当時日本を占領し朝鮮で戦争を行って(原爆投下さえも真剣に検討して)いた超大国だという不条理。とてつもなく不条理な冷戦権力の茶番劇と、そのツケをいまだに払わされ続けている無力なわたしたちは、ハダカの王様を初めて目にした少年のように笑い転げる他なすすべがない。」
・1896 パリ アルフレッド・ジャリ『ユビュ王』 ピョートル・ソルキン 映画『ユビュ王』
・「社会が規定する「正気」をうちすて、ハダカの王様をハダカのままに見る目をわたしたちが取り戻すとき、本源的蓄積の暴力性は往々にしてユビュ王の過剰で不条理な暴力性として立ちあらわれる。何にもまして気まぐれで自己中心、横暴で、(たとえ最終的には蓄積に不可欠な効率性や生態系が破壊するとしても!)ぶくぶく太り続ける蓄積の不条理性をどうしても止めることができないユビュ王。権力は常に一定の合理性と不条理性の均衡を保ち、後者は前者の原理(支配の自己利益とその維持)のために用いられる。」
・「縛られた無産労働者階級のプロメテウスは、天上のゼウス(本源的蓄積)の正気然とした仮面を剥ぎ、その下に隠れたユビュ王の実態を知らしめる。歴史や神話、メタファーやレトリックには世界を変える実質的な力はない。しかし、地下から財を掘り出し、永遠の命を人工的に生産しようとするカインの夢を共有させ、不条理を「正気」だと実感させることはできる。あるいは、その夢がわたしたち自身のものではなく、資本主義の夢であることに気づかせ、ゼウスの夢のせいで殺され続け、抗い闘ってきたわたしたちの内に眠る「縛られたプロメテウス」の記憶を蘇らせることもできる。「放射能」という別名をもつ本源的蓄積にひれ伏す偽プロメテウスとしてのカインの末裔になるのか、それとも、石見銀山ポトシ、ヨアヒムスタール、そして世界各地の核施設の亡霊たちの弔い合戦に参戦する真のプロメテウスの末裔になるのか――これが今、わたしたちの立たされている歴史的岐路である。」

6.“燃える男”、あるいは“船本洲治記念日”のために

・2014年6月29日 新宿駅南口 歩道橋上 安保法案反対 焼身自殺未遂事件
・1975年6月25日 船本洲治 嘉手納基地 ゲート前 焼身決起
・「豊かさの後に到来した3.11原発災害後の社会、すなわち道徳的にも生政治的にも崩壊中の社会の「虚しさ」を満たそうとして、戦争の幻想にしがみついているかのようだ」君島東彦 ネトウヨ 若者
・『西部戦線異状なし』 『7月4日に生まれて
・1974 三菱重工爆破事件 =国内最大の軍需企業
・友常勉「流動的下層労働者」
・2013 アメリカ ファストフード労働者ストライキ
・「ジョン・バーチ・パラノイド・ブルース」
・1958 韓国 進歩党冤罪事件
・長崎国旗事件
ビルダーバーグ会議 陰謀論
・「6月半ばに二週間ほど、嘉手納空軍基地の北東11キロに位置する赤野に滞在した際、近所のイオン(ザ・ビッグ田場店)に通ってトップバリュ発泡酒を買い、店前のベンチで飲む習慣がついた。」そこで詩を考える
・フレッド・ハンプトン ブラック・パンサー 21歳で射殺された
・「死ぬべきでない人たちがいつも殺され、あるいは殺される前に自ら死を選ぶ。この不合理な世界では――「賃金のために働いたら、金持ちの資本家を支持することになり/働かなければルンペンと言われる」「まったく変な世界だ」とウディ・ガスリーは歌う――自殺が合理的な選択のように感じられるときがままある。戦争と貨幣の双生児はわたしたちの欲望の動作を判読不能にし、自殺へと促すことがあまりにも多い。」
>>辺野古ゲート前配信動画<<

7.「人よ、神をお許しください、自分が何をしているのか知らないのです」―一九九五年と世界の終わり

・1995年4月19日 オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件
・1995年1月25日 ノルウェー・ロケット事件
・ピーター・ジョージ『非常警報』(1958) ユージン・バーディック/ハーヴィー・ウィーラー『フェイル・セイフ』(1960)
・『博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』/『未知への飛行』 映画化
・「1962年初頭、沖縄読谷村のボロー・ポイント射撃場(現・瀬名波通信施設)に、嘉手納基地から「メースB」と呼ばれる射程220キロ超の地対地巡航ミサイル8基が運び込まれた。各「メースB」には、広島に投下された原爆の75倍の威力をもつ1.1メガトンの核弾頭が搭載されていた。キューバ危機真っ最中の10月28日未明、嘉手納基地ミサイル運用センターから読谷村発射基地に「4基を発射せよ」という暗号司令が無線で届く。しかし、これを受け取った米空軍戦術ミサイル中隊員たちが訝しがる。4基の標的のうち、なぜソ連向けが1基だけなのか(残りは中国向けだったと推測されている)、そしてなぜデフコンが「1」ではなく「2」のままなのか(残りは中国向けだったと推測されている)、そしてなぜデフコンが「1」ではなく「2」のままなのか。不審に思った発射指揮官が指令を慎重に検討し直し、発射作業を中止させたおかげで、核戦争は回避された。この発射命令はその後、危機渦中の混乱による誤指令だったことが判明した。」
・「その(ワルシャワ蜂起)2ヶ月ほど前、米軍が日本の都市への絨毯爆撃を開始し、最終的には広島・長崎に原爆を投下した軍事的根拠は、日本が軍事施設や工場を各地に点在させ、民間人居住区と区別できないようにした――つまり日本が「人間の盾(ヒューマン・シールズ)」政策をとったことにある(だから日本の自業自得だ)というのが、アメリカの軍事専門家や歴史家の間では定説となっている。「人間の盾」はむろん、ジュネーヴ条約で戦争犯罪として禁止されているが、それを敵国が用いたのでやむを得ず「盾ごと」破壊したのだ、と無差別大量殺戮を正当化する――これは「相互確証破壊」と同じく、発狂した暴君のたわごとであり、論理として完全に倒錯している。そして、それを当為として受け入れ流布する知識人は権力にこびへつらう知的奴隷に過ぎない。」
・1995年9月4日 沖縄米兵少女暴行事件
・1991 テールフック協会事件 

湾岸戦争勝利の余韻が残る1991年9月、3日間に渡ってラスベガスのヒルトンホテルで開催された米海軍&海兵隊パイロットの親睦団体「テールフック協会」の年次総会会場で行われた 「パールハーバー以来の大事件」があった。
空母パイロット伝統のこの親睦会は、もともと上官と若手パイロット一体の無礼講として知られていたが、この年は2月に終わった湾岸戦争の勝利気分と、 海軍&海兵隊にも女性士官が増えた事で、2、30代の中尉~少佐クラスの若手士官達の乱痴気騒ぎを更に燃え上がらせるものとなった。
参加した22の飛行隊の会場では、乱痴気騒ぎを演じた男性士官のうちの117人が、83人の女性士官と招待客にレイプ寸前の性的暴行をはたらいたのだ。 当時、アメリカでは連日マスコミが報道し、ギャレット海軍長官やケルソ海軍作戦部長が辞職に追い込まれる騒ぎとなった。

・1996 アバディーン陸軍基地 2003「航空士官学校性暴力スキャンダル」 2009-11「空軍ブートキャンプスキャンダル」
・「MST(military sexual trauma):軍隊で性的暴行を受けたことによる心的外傷」という病名が一般化するほど、米軍内に性暴力は蔓延している。
・そもそも軍隊が狂っている
・「言い方を変えると、それは軍隊内の「巻き添え被害(コラテラル・ダメージ)」という意味だ。1991年の湾岸戦争の際に広まったこの軍事用語は、攻撃の標的以外の一般市民や非戦闘員が不本意に死傷したことを指し、軍事暴力によるむごたらしい被害の現実を「仕方のない間違い」として処理し、隠蔽する効果を持つ。」
・オースティン ハリー・クリーヴァー メキシコ サパティスタ民族解放軍
・「チアパス州のマヤ先住民が組織したこの「最初のポストモダン革命」と呼ばれた武装蜂起は、世界資本主義全体をとことん拒絶するだけではなく、ひと昔前の革命運動が提唱した国家権力の掌握や前衛主義に対しても「ノー」を言い放った。そこには急進的民主主義(ラディカル・デモクラシー)が貫徹されているように見えた。」
・「低強度紛争(Low Intensity Conflict)」 レイプも含む セシリア・ロドリゲス
>>メタルマックスにはメキシコ系の地名が多い<<
・「資本主義と社会主義の間の紛争」だった冷戦こと「第三次世界大戦」に引き続き、ロドリゲスやチアパスの民衆に対する「低強度紛争」たる「第四次世界大戦が開始された」とマルコス副司令官は1997年に述べている。マルコスによると、新自由主義との闘い=「第四次世界大戦」は、七つのピースから成るジグソーパズルである。世界規模で激化する貧富の二極化、全世界を対象とする全体的搾取、人類の一部に強いられる放浪生活、犯罪組織と国家権力の共犯関係、国家暴力、国境を越える金融資本の暴走を優先する巨大政治(メガ・ポリティクス)、ネオリベに抗する複数の抵抗。」
・1995 ポルトガル人作家 ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』
・「サラマーゴの寓話の登場人物のように、わたしたちも精神的に失明し、軍事的暴行が蔓延する収容所に抑留されている。」
・1997 チアパス 「アクテアルの虐殺」 「国境警備、レイプ、虐殺は「低強度紛争」の一連の技術である。」
・「サラマーゴの1991年の作品『イエス・キリストによる福音書』の結末で、磔にされたイエスがつぶやく言葉はルカ伝福音書(23章34節)の原文と違い、神と人が反転している。「人よ、神をお赦しください。自分が何をしているか知らないのです」。」
 

第2部 対話

8.ぶざまなボクサーの叛乱(廣瀬純『蜂起とともに愛がはじまる』書評)

・1947 名作ボクシング映画『ボディ・アンド・ソウル
 

9.「階級構成」とはなにか(廣瀬純との対談)

・廣瀬『資本の専制、奴隷の叛逆』
・「バディウの「出来事」は天上から降ってくる。ラクラウ=ムフの「シニフィアン」は空中を漂っている。ランシエールの「自然」は地下から湧いてくる。避けられているのは「地表」です。彼らは、68年の学生叛乱を地表のロジックでは説明できないものと受け止めてしまった。搾取もされてないのにどうして運動するのかと。彼らは「労働者」という形象を歴史的に考えることができなかったのです。彼らにとって「労働者」は、いまもむかしも、大工場で抽象的かつ単純な労働に従事する者でしかない。」
・イタリア 労働者主義(オペライズモ)
・職人労働者 → 大衆労働者 → 70年代前半 変動相場制 資本の自己再編 → 社会労働者
・「多国籍企業の利益のためにアメリカとメキシコの一般大衆の生活をどんどん貧困化させる新自由主義政策を推進したNAFTA北米自由貿易協定)に対し宣戦布告したマヤ系先住民によるサパティスタ運動」
・94 サパティスタ闘争 → 99 シアトル
・オペライズモのキー概念「階級構成」
・「未組織の大衆を組織し一つの人民なり党にすることが従来の政治の考え方でしたが、「階級構成」はそうではない。労働者たちがいま生活し働いている場面から物事をみる。彼らが労働から自由になろうとする活動を記録し、具体的に階級が構成され闘争する戦略をつむぎだす。」
・「(デトロイト)グループは本当に小さなマイノリティでありながら、とても画期的でした。なぜなら、ソ連社会主義国家を見て、「アメリカ資本主義と同じように労働者を搾取する国家資本主義だ」と喝破したからです。」
・怠業や山猫ストを、労働者の『自己活動』として大きく評価
労働組合→「企業組合(ビジネスユニオン)」になってしまう
・そして「非正規労働」が登場 「プレカリアート
・ポデモスには批判的
・1%対99%はウソ
・連合=800万の労働者 を安全にコントロールする組織
・「今日、99%のうちには、自分の労働力を資本と等価交換できている「労働者」と、あからさまな不等価交換を強いられている「奴隷」とがいる。
・体力、健康の回復。「うなぎ」の比喩。
・70年代 脱工業化、緊縮財政=資本の逆襲 75年 NYでさえも倒産寸前
・「この時期(レーガン、ブッシュ、クリントン)、大衆意識を分断し階級的戦闘性を削ぐとともに票を集める有効な手段として文化闘争が行われ始めます。経済問題から気をそらせる宗教的信条やアイデンティティをめぐる文化的問題、たとえば中絶や同性婚キリスト教原理主義の立場から攻撃する新保守主義の重要な基盤が登場する。70年代に闘争力のピークを迎えた下層労働者やマイノリティ労働者の自己活動は壊滅状態に追い込まれ、2000年代に入ると、従来の労働組合員でさえ、激減すると同時に賃金も同様に下がり、負債と貧困がますますはびこる。劣悪化した職場で働いたり失業したりする階層が膨張しているのに、「自分は労働者だ」という意識は希薄になり、経済困難は「自己責任」や「個人的悲劇」のせいだと思い込まされる。そのような思い込みが一般化したのは、ばくだいな資本が投入されスペクタクル化した選挙政治や企業メディアを通じて、システムの社会責任を問わない市場原理主義個人主義が大衆意識に長年刷り込まれてきたからです。」
・「重要なことは、アンダークラス階級闘争が新たな階級構成を導き、人民全体の力能が増大することであって、このプロセスは民主主義とは何の関係もないどころか、民主主義こそをその敵とするものだからです。」
「民主主義は、デリダ用語で言えばまさに「代補」にほかなりません。ジョイントが外れているところに構築されるジョイントです。代補としての民主主義には二重の役割があります。民主主義は階級分裂を隠蔽するものであると同時に、権力行使を正当化するものでもあります。」
・「権力とは関係であり、権力とその対象とのあいだのジョイントは根源的に外れているわけですが、資本が労働への妥協を強いられた第二次世界大戦からの数十年間、権力はその円滑な行使のためにおのれを正当化するジョイントを構築していたわけです。それが民主主義というイデオロギーだった。しかし、社会主義体制の崩壊とともに、権力はもはやそのような代補が必要だとは考えなくなった。ジョイントはもちろん外れていますがそれが何か?といったやり方で権力行使がなされるようになったということです。」
・「2008年の経済危機以降は、それがいっそう顕著になった。緊縮策をめぐるギリシャブリュッセルの関係は、辺野古基地建設をめぐる沖縄と東京の関係とまるきり同じです。」
・「問題はこうした状況を前にして高橋源一郎や中途半端な大学教授たちと一緒に「民主主義、民主主義」を叫んだところでいったい何の意味があるのかということです。代補なしに権力を行使するなんて破廉恥だぞ、我々に対して権力を行使するなら我々がそうと気づかずに済むようにしっかり代補を構築してくれ!と権力にこちらからお願いするなんてバカみたいじゃないですか。」
>>彼らにも言い分はある。石川健治のクッション、バッファーとしての憲法論。切り捨て御免にワンクッションおくだけでもだいぶ抵抗力が違う。<<
デンマーク シリア難民財産没収 スウェーデン 難民8万人国外追放 オバマ、サンダース
→「要するに、代表制民主主義や選挙制の枠組みで政治を語ると、資本主義や帝国主義の根本的問題は何も問えない。こうした足かせは捨てたほうがいい。」
・「このような名ばかりの「デモクラシー」とどう闘えばいいのか。政治や経済の鏡面をなでるような改革、国家や資本主義を前提とする安易な発想はもう通用しないはずなのに、いまだに「死せる世代の伝統が、悪夢のように生きている者の思考にのしかかっている」。そうしたことを基本的に問いただすには、やはり代表制民主主義の「内部」からは無理です。その「外」からの勢力をつくっていかなければならない。まさに階級を新しく構成することです。」
 

10.全世界のシーシュポスよ、まずは座り込め(栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい』書評)

・「しかも、授業日はどうしても午前三時ごろに目が覚めてしまい、数日間やってきた準備を本番までずっと続ける。これだけ時間と労力を注いでも、授業のノリが悪かったり、つめ込みすぎて消化不良の結果になると、意気消沈してやりきれない。」 授業はライブ
ビールを買い、神田川沿いのベンチで読書
・「シュペングラー『西洋の没落』をはなはだしく読み間違えていると言われたヘンリー・ミラーが「いや、それはオレのなかのシュペングラーだから正しいのだ」と答えたと同じくらい、正しいのだ。」
・「疲れ果てた現代のシーシュポスは岩を蹴飛ばし、電信柱にションベンを引っかける。懐疑や夢を永劫回帰の労働規律に組み込もうとする資本主義の別名を持つ岩を睨みつけ、『ガルガンチュワとパンタグリュエル』のテレーム僧院が掲げる唯一の規律「汝の欲するところを行え」にふたたび覚醒する。」
 

11.諸君、狂い給え!―希望なんていらねぇよ(栗原康との対談)

長渕剛「富士の国」 「やりたいことしかやりたくない」大杉栄
・「あばれる力」=「生きる力」 
・「大杉は、これを「生の拡充」といいます。大杉のいう「生」とは、生きたいとおもうこと、生きることそれ自体です。大杉は「生」とは自我であり、自我とは力なんだと言っている」
・「「ただ~したい」というおもいをただひたすら実現しようとする。その実現のしかたもふくめて、どうやってもいい、なにをやってもいい。はじめからいっちゃいけないことなんてない、やっちゃいけないことなんてない、ぜんぶ自由だ、というのが大杉の思想です。」
シチュアシオニスト ラウル・ヴァネーゲム
・もともと力はあばれゆくものだけど、不本意にも囲い込まれてしまった(国家、社会、権力)。だからもういちど力の乱流をひきおこしましょう。
→「美は乱調にあり」
>>権力とは身体と感情を硬直させる力<<
・「demonstrationという英語が初めて政治的な意味を持ったのは1839年です。イギリス人労働者たちが投票券を要求するチャーティスト運動の一環として、ウェールズのニューポートという町の労働者たちが武装蜂起した。つまり投票券を得るための武装蜂起を「デモンストレーション」と呼んだ。それは非暴力ではなく、文字通りの暴力闘争。そうした歴史的背景をいま思い出す必要があります。」
・「また、デモンストレーションとは何かという問いに、ジョン・バージャーはこう答えている。それは革命社会のリアリティをこの場でリハーサルすることだと。デモは新しい、来たるべき蜂起や社会をいまここで提示(デモンストレーション)することなんだと。」
>>その意味では、小説や映画も同じ<<
・「さきほど話に出たヴァネーゲムの『若者用処世術概論』は、「有用性」とか「犠牲と交換のロジック」に沿った生き方がイヤだという若いアナキストたちの間で広く読まれてきました。自分も読んで感銘を受けたのはその immediatism(今すぐ主義)、つまり「何をするにしても我慢しろという命令を拒み、我慢なんてしない」という観点です。」
・1950年代 アメリカ 「中産階級の生活と交換に、言論や労働者の自由を犠牲にする消費資本主義を築き上げた。」
・「当時、トロツキスト共産党員など、運動に関わっていた人がたくさん転向していった。リベラル社会学者ダニエル・ベルや新保守評論家アーヴィング・クリストルなど、権力側にどんどん寝返る人たちもいた。そこでよくわかるのは、彼らはもともと権力が欲しかったから運動に参加したということ。50年代アメリカで革命をやって権力を掌握することが無理だと気づくと、体制側に移ったり、「イデオロギーは終わった」という言説に走った。」
・「もともとテロリズムとは、フランス革命のときに西洋保守主義の元祖エドマンド・バークがつくった造語で、新しい国家がギロチンなどでどんどん人を殺していくこと、国家暴力そのものを指す。そのテロリズムという言葉が個人の行動にも乱用され、国家自体のテロリズムが見えなくなっている。」
海賊とアレクサンダー「自分は小さい船で略奪しているかもしれないけど、お前はでかい船でもっとひどい略奪をしている」。帝国や巨大な権力はそうしたダブルスタンダードを使う。
・「国家安全保障」=「国家テロ」の隠れ蓑
・『水滸伝』武松 
・ジェームズ・C・スコット『ゾミア』 古代中国の山賊の話 「国家が権力のなかに人を奴隷として囲いこもうとしているときに、そこから山へと逃げだしていく逃散農民のことをひろくゾミア、山賊と呼んでいます。国家は人を奴隷として囲いこみ、水田稲作という管理しやすいかたちで人をはたらかせる。でも山賊はそうではない。あたらしい生の形式を発明し、それを武器にして国家にあらがっていく。」
・「国家では奴隷がクワという「道具」をもたされて、水田稲作に従事させられる。」
・山賊 地中に隠せるイモ 「酔拳
・大杉「演説会もらい」
・「合意(コンセンサス)を生もうとする発想自体がミドルクラスの文化に由来する。議論をするのにわざわざ訓練を積まないといけない。」
・熟議やコンセンサス方式の限界 取り込まれ
・「もともと、反グローバリゼーション運動で「多様性を尊重しましょう」という言葉がとびかっていたのですが、それが「多様な団体に、多様な意見に気をつかいましょう」となってしまう。」「一部の人が警官と暴力的に対峙したりすると、「まわりに迷惑だからやめましょう」と。そういう空気を突破したい。」
・「自由への本能」=「生の拡充」は異端でも何でもなく、もともと西洋思想の原点の一つ。 資本主義の分業化が進むと、人間はただただ愚かになるとアダム・スミスでさえ言った。
憲法9条の欺瞞 「戦後一貫してアメリカの戦争に協力してきた。そして沖縄に犠牲を押しつける。」
・「日米安保体制自体が、民主主義を押しつぶし否定する制度であり、朝鮮やベトナムに対する非人間的な戦争を肯定し、その後のアメリカの国家テロの片棒をかつぐ枠組みとして機能してきた。そこを根源的に問わねばならない。」
・選挙の多数決のしくみって、本来、「非人間的」 ひとを「数」としてあつかう 人間を奴隷みたいに数量化する
・非暴力を貫く方法と マルコムXのように国のすべてを否定する方法との間の緊張感
チャップリン『殺人狂時代』の有名なセリフ「戦争や紛争はすべてビジネス。一人殺すと悪玉になるけど、100万人なら英雄だ」
・「実際、現実の政治ではそれが当然だとされている。国家暴力には目をつぶり個人の「殺人」しか見ない、敵対国の暴力を理由に時刻の暴力を正当化するという偽善的立場を固守する。しかし、国際法平和憲法に実体を求めるなら、ダブルスタンダードはあらゆる場面で徹底的に拒絶すべきです。松本哉さんも言うように、国家や企業が法律を守らないならば、わたしたちも守らなくていい。」
・『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 革命=「人がひらきなおること」
・蜂起のニ大原理「ゼロになること」「共鳴を呼び起こすこと」
・「戦場で上官を撃つ」
・米兵によるベトナム反戦運動は一種の革命
長渕剛『泣いてチンピラ』
 

12.いつも心に革命を―われわれは「未開人」である(森元斎・栗原康との鼎談)

・ハキム・ベイ『T・A・Z』
・『STUDIO VOICE酒井隆史 平井玄 東琢磨 上野俊哉 ホワイトヘッド
鶴見済『脱資本主義宣言』 スイス「ジュラ連合」
セックス・ピストルズのマネージャー マルコム・マクラーレン シチュアシオニスト
・「シチュアシオニストとは、1968年の「5月革命」と呼ばれるパリの民衆蜂起に寄与し、現在のアナキズムや蜂起派の原点を築いたアーティスト、プレカリアート、思想家の集団で、革命政党や組織が行う真面目な政治行動やオルグの仕方とはまったく異なる不真面目で挑発的な形で「革命的状況」、つまりシチュアシオンを作ろうとした。
ギー・ドゥボール、ラウル・ヴァネーゲムヴァルター・ベンヤミン、レイモンド・ウィリアムズ
ジョン・ライドン「未来がない(ノー・フューチャー)」
どん底から自分たちの文化を作り始める
・グリール・マーカス『Lipstick Traces - A Secret History Of The 20st Century』「ピストルズやパンクの話を皮切りに、1530年代のミュンスターの叛乱に加わりコミューンを組織し処刑された再洗礼派(アナバプテスト)ヤン・ファン・ライデン第一次世界大戦を引き起こした西洋文明や芸術を破壊しようとしたダダイストの群像、レーニンの前衛主義に異を唱え大衆ストライキによる革命を提唱したローザ・ルクセンブルクをパンクの先行者として位置づける、教科書や正史には絶対出てこない想像力豊かで壮大な文化抵抗の歴史」 マニック・ストリート・プリーチャーズ
・ハリー・クリーヴァー『資本論を政治的に読む』 シルヴィア・フェデリーチ『キャリバンと魔女』
・「当時は冷戦後初の民主党大統領ビル・クリントンの政権が台頭し、クリントンの「新しいリベラリズム」に期待する人が多くいましたが、彼が実際にやったことは、レーガン政権が80年代を通じて繰り広げた諸政策――シカゴ学派市場原理主義陣営が正当化する規制緩和社会福祉解体を軸としたトリクルダウン経済政策――の延長でしかなかった」>>いわんや、日本の民主党をや<<
・「冷戦終結にともない、国家資本主義の抑圧的イデオロギーとして機能してきたマルクスレーニン主義に終止符が打たれた後に、米国の軍事政策と資本主義を追認し続けるリベラリズムへの対抗軸としてサパティスタがあらわれ、思想的な枠組みとしてアナキズムが再び想起され運動界隈の人口に膾炙した。」
>>あまりに国家が当然すぎて、無い状態を想像できない<<
・ピョートル・クロポトキン「欲望の哲学」 小学生の素直な欲望
・「炊き出しや、ものをあげるという行為は、文明の原点の一つです。」
イエス・キリスト パンと魚 結婚式で水がワインに 「だからキリスト教の原点にも、食べ物とお酒をみんなに無料で振る舞う贈与の精神と実践があるわけです。」 九州 八代 妙見祭 ビールや揚げ物を無料で振る舞う 土着的アナキズム
・「「アナーキー」という言葉はプルードンが初めて明示的に使ったとされていますが、彼は「自分がオリジネーターでは決してない」と言っています。すっとあったんだと。お祭りはアナキズムそのものであることが多いし、一遍もブッダアナキストですよ。王様の息子なのに王様にもならない。半権威主義じゃないですか。」「アナキズムという語自体は19世紀末、よく使われるようになり、クロポトキンが旺盛に執筆活動をしていたころに生まれますが、その内実はずっとあったのではないか。たったここ100年くらいでそれがどんどん潰されていったけれども、ぼくらはそれをずっと持ち続けているのではないか。」
・フランスの人類学者ブルーノ・ラトゥール「われわれはまだ近代人ではない」 ある種の文化人類学の哲学としてのアナキズム
・愛媛 道後温泉
・「『キャリバンと魔女』という本は、資本主義の原点である本源的蓄積を敷衍し、女性や先住民の身体にもその破壊が及んだことを分析しています。本源的蓄積とは、土地や生産手段を収奪することによって私有財産が生まれ、農民だった人が工場で働くようになる歴史的過程のことです。共有されていたものが私有化される。すると、いにしえから今まで当たり前だった慣習が犯罪になる。マルクスが政治経済学を勉強し始めるきっかけになったのも、彼が『新ライン新聞』の編集長だった時期に、それまで共有地だったモーゼルの森林から木を採取する農民の共同慣習が犯罪化されたことを、納得いくように分析することができなかったからです。」
・「出産や薬草の知識を持ち、村人の健康を管理していた女性の権利も同様に略奪された。彼女たちは「魔女」と呼ばれ火刑に処される。先住民の共同慣習や共有地もしかり。つまりコモンズの収奪によって資本主義は成り立っている。」
・「17世紀のイギリス民謡に「コモンズからガチョウを盗む/男や女を法は刑務所に入れる/しかしガチョウからコモンズを盗む/さらに大きな悪人は放置する」というのがあります。本源的蓄積の偽善を風刺したものです。これはアナキズムの古代的元祖といわれる荘子の言葉「こそ泥は投獄され、大盗賊は国家の君主になる」やプルードンの「財産とは盗略である」と同じ大衆的感性の琴線に触れています。」
・「権力に強いられる負債や入れ墨排除、その他諸々の社会的不条理を、まるで裸の王様が裸だということを暴いた子ども、あるいは「未開人」のように暴き続ける、それがアナキズムの永続的役割なのかもしれません。」
・一遍 「踊り念仏」 ドラッグ 120日間ぶっとおし 土方巽「踊りとはわれわれが圧倒的にまちがえること」
・ジョゼフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』
ジョージ・ルーカスエドワード・スノーデンに影響 日本の神楽「自分たちに神学はない、踊るだけ」 禅宗 教外別伝 不立文字
エマ・ゴールドマン「ダンスができない革命なんていらない」 レーニン「左翼小児病」
・「土方巽には、「舞踏とは命がけで突っ立った死体」という言葉もあります。彼の死んだお姉さんが彼の中にいる。一緒に踊るんだと。つまり生きながら死んでいる。明確に主観的に決定されている近代的な生とは違って、そこに穴が開いているというか、他社も常に入ってくる。」
・権力をビビらせる力 >>敗北主義にならないか?<<
アダム・スミスは「分業化が始まると人間としてなり下がれるかぎり愚かになり、無知になる」「文明化が始まる前の古代社会では、一人一人が政治や農業など様々なことに携わり、知性や権力を多様に使うから人間性が保たれる。そして、その人間性を破壊するのが資本主義的分業化の時代だ」
・行動(経験)の後に理論が生まれる。この順序が大事。
オバマ 核兵器への1兆ドルのアップデート
 

私語―エピローグにかえて

・「ウルマの雨」
・シークワーサーのウイスキー
・コザ暴動
>>ヤンの父 日本軍の留置場<<
中島みゆき「トーキョー迷子」
・「もしも、私たちが、いま、迷路の奥に一度は覗見されたかに思えたコンミューンの活性化の方向性をまさに具体的に定立して行くという作業に無関心であるならば、流浪する下層プロレタリアートの大群は、無自覚な太平楽にのみ明け暮れる知識人どもに先導されて、現実的な共同性の最高準位である、わが<国家>に馴致されることは火を見るよりも明らかである。私たちは、わが首都の具体的な日常性を再組織して行くために、何としてでも、この迷路を踏破しなければならない。」松田政男『死滅する風景』
・オースティン 2010 自己破産したソフトウェア・エンジニア ジョセフ・スタック 飛行機で税務署ビルに突っ込む 彼の遺書
・「共産主義の信条は『能力に応じて働き、必要に応じて受け取る』。資本主義の信条は『だまされやすいヤツが働かされ、貪欲なヤツが奪い取る』」
プラグマティズムの意味を履き違えたクダラナイ常識人
・「往々にして、差別的発言の構造は特殊例を一般化することにある。「すべての人間は死ぬ。ソクラテスは人間だ。それゆえ、ソクラテスは死ぬ」という三段論法はだれにも当てはまる普遍的な前提から始まる演繹法だが、その逆だ。サンプルを集めて割り出す統計的確率にさえなりえない一つや二つの個人的体験、ひどいときはただの噂や妄想をもとに、帰納法的結論(決めつけ)を引き出す。
・「日本人のXにだまされた、あるいはそういう話をどこかで聞いた。日本人はだます。それゆえ、すべての日本人はひとをだます」
・主語を人間ではなく、何かしらのイデオロギー、制度、権力(天皇制、共産主義シオニズム憲法キリスト教、国家等々)に置き換え、述語を肯定的な内容に変更すると、差別構造の陰画を補完する盲信の陽画が浮かび上がってくる。
・よく言われることだが、ジャパニーズ・イデオロギーの特徴はこうした差別/盲信が世間のプレッシャー、無数の形をとった「余計なお世話」として押しつけられてくるところにある(意見は人それぞれという考え方ができず、皆が同じ考えを持つことがいいこと(当たり前)とされる)。」
・「資本主義の発達は風景を消滅させ、空間を均質化する。それは「普遍的な法則」と呼べるぐらい全世界にあまねく起こっている。」
・ニール・スミス『ジェントリフィケーションと報復都市』
・「その(ドルショック、エネルギー危機)結果、資本主義に本質的亀裂が生じた。新しい段階に入ったという言い方もできる。それは絶えず前に進む進歩史観の段階、はしごの段を上るステップではなく、露頭に迷う段階、永続的危機の方向に突き落とされた状態だ。この危機管理体制はその後「ネオリベラリズム」と名づけられる経済的自由化/規制緩和を促し、産業資本の王位を奪った金融資本が支配する疑似システムをつくる。」
・「風景とは国家権力のテキスト」
・トレド カリフォルニア 車で1週間
・早稲田 新居でネットショッピングの家具を待つ 「雇用は人を臆病にする。オレも例外じゃない。」
ベルトルト・ブレヒト「銀行の株券に比べれば、こそ泥の合鍵など何ほどのものでありましょう。銀行設立に比べれば、銀行強盗などいかほどの罪でしょうか」
・中野の駅前
ゴダール『ウイークエンド』
・米軍兵士「オレはただの奴隷だよ」 ビールの旨さの格の違い アメリカ、入隊率が激減。
有機栽培 無農薬のおにぎり屋 福島県郡山産の米 
・「日本全国、いまだ現在進行中のフクシマ原発災害が存在しないかのように生活している今、放射性物質混入に対するこうした「過敏反応」は異常だと一般的には思われるかもしれない。一部には放射性物質が含まれる食品の忌避を「フクシマ差別」だと弾劾する動きさえある。レトリックの倒錯はすさまじい。」
・「放射性物質だけにそうしたありきたりな健康維持の防衛線(予防原則)を度外視し、絶対的危険性がない限り批判は認めない、安全管理は行わないという例外的な態度を取るのはおかしい。それは結果的には原発災害を引き起こした歪んだ権力構造の現状維持、つまり「無責任の体系」を強化することに繋がる。」
・ちだい『食べる?』
・「エデンの園に生える「知恵の樹の実」をかじったみたいだ。知識が増えると、喜びが減り、不幸が増える。」
ボルチモア エドガー・アラン・ポー 「歴史のための歴史」ではなく、永続的階級闘争という現実の拮抗のなかで歴史を読み返す
・黒人奴隷廃止論者デヴィッド・ウォーカー「自由はあなたの自然権なのだから、人間らしくふるまいなさい」
 

おわりに

テキサス大学 ハリー・クリーヴァー オハイオ州トレド ピーター・ラインボー
マルクス「人間は自分自身の歴史を創るが、しかし、自発的に、自分で選んだ状況の下で歴史を創るのではなく、すぐ目の前にある、与えられた、過去から受け渡された状況の下でそうする」
・クレイグ・ヒューズ、押川淳、池上善彦、須藤巧、阿部晴政、吉住亜矢、『越境広場』、『HAPAX』
・「言葉のパンをわかちあうささやかな「饗宴」のおかげで、思考の火花がわたしのなかで散らされ、ラディカルな思想と感性の泉から溢れ出るコモンズの水を口にすることができた。」
・母 南美津子
・2019年4月
 
12/8読了