マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】2019年に読んで面白かった本ランキング

2022年1月にこのエントリを書いている。

1位 田中正人、香月孝史『社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像』(プレジデント社 2019年)

これは最高の本だ。こんな最高な本は他にない。

2位 田中正人、斎藤哲也『続・哲学用語図鑑 ―中国・日本・英米(分析哲学)編』(プレジデント社 2017年)

分析哲学の章は未読。それでも中国と日本の思想家の部分だけでもとても面白い。

3位 マーク・フィッシャー著、セバスチャンブロイ、河南瑠莉訳『資本主義リアリズム「この道しかない」のか?』(堀之内出版 2018年)

非常に鋭い現代社会分析、資本主義分析。新自由主義の本家であるイギリスの現状はとくに酷いのだなあとわかる。だれもが心を病んでいく資本による支配。資本家や地主ですら心を病んでいく。主に映画だがカルチャー批評の鋭さ。早逝してしまったのが本当に残念。

4位 マニュエル・ヤン『黙示のエチュード 歴史的想像力の再生のために』(新評論 2019年)

こちらも非常に鋭く含蓄の深い現代社会分析。フーヴァー大統領は鉱山技師だった。
鉱山経営者にとって、労働者などはただの駒、道具。
それとおなじことで、国家と資本にとっては人間もただの材料の一つ。
原発が爆発しようが、住民が放射線被爆で癌になろうが、どうでもいいこと。大事なのは資本が膨れつづけることだけで、そのために国家が機能すること。
人間の幸せなんてどうでもいいこと。
そこに民衆が、人間がどう抵抗できるか。
神話や聖書の比喩を使った、ポエティックな文章が読者を高揚させる。

5位 宮台真司 x 北田暁大『限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学』(双風舎 2005年)

日本の社会学者2トップの対談(最近の北田暁大さんはイマイチだと思っているが)。とても面白かった。
宮台真司の情報を圧縮し、それでいてわかり易く語る能力は名人芸だと思う。
宮台用語という言い方があるが、ネーミング能力が本当に素晴らしい。
この本のなかではとくに「超越系」と「内在系」という分け方に非常に納得した。
日本の社会分析、時代分析をする上で、他の追随を許さない二人の対談だと思った。

その他

東浩紀ゼロアカ道場 伝説の「文学フリマ」決戦 』、北田暁大 『嗤う日本の「ナショナリズム」』、杉田俊介ジョジョ論』、『別冊宝島110 80年代の正体! それはどんな時代だったのか ハッキリ言って「スカ」だった!』なども面白かった。