マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】別冊宝島編集部『完全保存版 日本のヤクザ120人と昭和裏面史』(2018年)

第1章 昭和裏面史

日米安保とヤクザと児玉誉士夫 不良外国人と左翼排除で存在感――戦後日本の暴力団の実像

・60年安保 岸首相→児玉誉士夫に依頼
ヤミ市の治安維持 神戸・三宮:田岡 熱海:稲川 渋谷:安藤昇
・反共の防波堤 ヤクザ大同団結
・63年2月 児玉 山口組 東声会 兄弟盃儀式
・63年4月「麻薬追放国土浄化同盟」横浜で結成大会

日韓国交正常化の陰に在日ヤクザ 岸元首相に食い込んだ東声会会長・町井久之の政財界人脈

・1961年5月、クーデターで政権を掌握した韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)少将(のちに大統領)は、51年に予備会談が開始されて以来、10年以上にわたり難航していた日韓国交正常化交渉を1日も早く妥結させ、日本の賠償金で経済復興を成し遂げることを急務としていた。交渉打開の糸口を探るため、韓国中央情報部(KCIA)が頼ったのが、特務機関出身の児玉誉士夫や、戦時中に上海で「大陸新報」を発行していた、国策研究会常任幹事の矢次一夫だった。そして、児玉や矢次が韓国側につないだのが、満州国の元高官だった岸信介元首相である。
・岸は、KCIA幹部の崔英沢(チェ・ヨンテク)と赤坂の料亭で面会した。二つ返事で協力を約束し、政界の根回しに動いたのである。一方、岸は日韓国交正常化を踏み台に、地元・山口県と韓国にまたがる「王国」をつくり上げた。60年代、下関漁港の水揚げ量は日本一を誇り、地域経済は繁栄を極めていた。そのきっかけになったのが、ほかならぬ日韓国交正常化だったのだ。韓国の初代大統領・李承晩(イ・スンマン)は52年、「海洋主権を守る」として日本海東シナ海に一方的に軍事境界線(李承晩ライン)を引き、排他的経済水域を設定。ここに入った日本の漁船をことごとく拿捕し、約4000人もの船員を抑留した。その大部分が山口県民であり、岸の下には早期救出を求める陳情が殺到したという。そして、国交正常化と同時に日韓漁業協定が締結され、李承晩ラインが撤廃されると、下関を母港とする漁船団の漁場は一気に拡大。山口県経済の隆盛を呼んだのだ。
・岸と町井久之は手を携えて、下関と韓国釜山を結ぶ関釜フェリーの就航に尽力した。
水産業以外の商売でも、在日はおおいに潤った。「下関の全盛期、漁師たちは大金を握りしめて陸に上がり、酒にオンナ、博奕で湯水のように使った。在日はもともと、水産業よりそっちの商売が強かった。いまや一大産業に成長したパチンコ屋は、あのとき商売の土台を築いたんです」。その後、下関の水産業は乱獲のため水揚げが減少。急速にパワーを落としていった一方で、バブルの追い風を受けたパチンコマネーは拡大を続けた。
・「岸さんが児玉さん経由で、町井さんに晋太郎さんへの支援を要請したと聞いています。韓国民団(在日本大韓民国民団)草創期の大幹部だった町井さんは、下関にも仲間が多く、いくらでも号令をかけることはできましたから」。

暴力団と芸能界――田岡三代目による興行界支配 ヤマケンの「鶴田浩二襲撃事件」が社会に与えた影響

・ヤクザの収益 かつては賭場 → 田岡 港湾荷役と興行
・53年 ヤマケン(山本健一)「鶴田浩二襲撃事件」
・ただし、大スターの鶴田が襲撃された事件が大きく報道されたことで、関西のローカル組織にすぎなかった山口組知名度が全国レベルに跳ね上がった。同時に、田岡組長の言うことを聞かないと、痛い目に遭うという恐怖心も芸能界に広く深く浸透させることに成功したのだ。

「頂上作戦」で終焉した警察と暴力団の蜜月時代 公然とヤクザが警察力を補った時代から秘密裏の関係へ

・1950年、戦争で荒廃した日本に希望の光が差した。勃発した朝鮮戦争による特需景気で復興が加速するのだ。ビルや住宅の建設ラッシュが起き、焼け野原は瞬く間に消滅した。
・ヤクザ急成長時代 → 64年東京オリンピックに合わせて「組織暴力犯罪取締本部」10団体を広域暴力団に指定 「第一次頂上作戦」
・91年「暴対法」→2011年「暴排条例」
弘道会「警察と会わない」「警察を事務所に入れない」「警察に情報を出さない」の「3ない主義」

実録『仁義なき戦い』の虚構と真実 つくられたヤクザの虚像と暴かれた実像

金子信雄=山村辰雄組長

バブルと山口組――西の宅見に東の後藤 バブルで巨万の富を得た暴力団社会、その頂点を極めた山口組の経済ヤクザたち

・不動産、建設、株投資、芸能
・「関西国際空港などのビッグプロジェクトは、宅見への挨拶なしには動かない」「4桁の億は動かせる」

政財界を激震させた「竹下登ほめ殺し」事件の真相 日本皇民党の「ほめ殺し」を止めた稲川会・石井会長と佐川急便・渡辺社長の禁断のつながり

ITバブル・ベンチャー企業とヤクザ 狙われた若き経営者たち――アングラマネーの錬金術

・仕手銘柄 浅田次郎 サルベージ 手形流通においてパクリ屋(沈め屋、シンカー)等を経て第三者(善意の第三者、ヤクザであることもある)に渡った手形を、振出人 に代わって引き揚げる(回収する)行為を指す裏社会の隠語。パクリ屋、第三者、サルベージ屋が密通している場合もあり、非合法な手段を伴うこともある。

ヤクザと銀行――闇社会に眠る莫大な裏資金 「みずほ銀行反社会勢力融資事件」で露呈した黒いつながり

・元三菱東京UFJ銀行支店長岡野義一 
・裏金を使った脱税

原発利権と暴力団――ヤクザは不正に巣をつくる 暴力団抜きでは作業が進まない原発関連仕事の現実

六神任抗争と山一抗争――似て非なる最終目的 かつてとは異なる日本社会でヤクザはどこへ向かうか

「ヤクザ」の源流――昭和以前の伝説の侠客たち 幡随院長兵衛、国定忠治清水次郎長……日本人にとってヤクザとはなんだったのか

・任侠 日本人の根本にある「情」を大切にする生き方 → 暴力団 「損得」
・大安組(安藤明組長) 朝鮮人労働者の酷使 映画『修羅の群れ
・大陸ゴロ 軍部と結託
「弱気を助け強きをくじく」という精神を持つ者こそが「侠客」なのであり、ある意味で、いまの日本に最も必要なのかもしれない。

第2章 日本の首領

#001 田岡一雄
#002 稲川聖城
#003 松山眞一
#004 関根賢
#005 東清
#006 工藤玄治
#007 松山庄次郎
#008 堀政夫
#009 福田晴瞭
#010 関口愛治
#011 森田政治
#012 司忍

第3章 荒らぶる獅子

#013 山本健一
#014 竹中正久
#015 竹中武
#016 中山勝正
#017 梶原清晴
#018 桑田兼吉
#019 中野太
#020 草野高明
#021 古賀磯次
#022 加藤英幸
#023 林喜一郎
#024 出口辰夫
#025 高山清司
#026 橋本弘文
#027 寺岡修
#028 𠮷川勇次
#029 図越利一

第4章 武勲の漢

#030 渡辺芳則
#031 井上邦雄
#032 地道行雄
#033 山本広
#034 安原政雄
#035 中西一男
#036 岸本才三
#037 小田秀臣
#038 加茂田重政
#039 安東美樹
#040 竹内照明
#041 織田絆誠
#042 門広
#043 浅野眞一
#044 串田芳明
#045 細谷勝彦
#046 服部武
#047 合田幸一
#048 森田幸吉
#049 鳴海清
#050 石川裕雄

第5章 シノギの帝王

#051 石井隆
#052 阿部重作
#053 西口茂男
#054 岡精義
#055 宅見勝
#056 尾津喜之助
#057 松田義一
#058 芝山金吾
#059 工藤和義
#060 伊豆健児
#061 英五郎
#062 後藤忠政
#063 関功
#064 角田吉
#065 清田次郎
#066 内堀和也
#067 大原宏延
#068 青山千尋
#069 入江禎
#070 池田孝
#071 正木年男
#072 毛利善長
#073 町井久之

第6章 反骨のカリスマ

#074 川口和秀
#075 溝下秀男
#076 浪川政浩
#077 高山登久太郎
#078 津村和磨
#079 大長健一
#080 小林哲治
#081 盛力健児
#082 趙春樹
#083 柳川次郎
#084 谷川康太郎
#085 又吉世喜
#086 新城喜史
#087 太田州春
#088 藤田卯一郎

第7章 銀幕のヒーロー

#089 安藤昇
#090 花形敬
#091 菅谷政雄
#092 平尾国人
#093 川内弘
#094 稲川裕紘
#095 波谷守之
#096 佐々木哲彦
#097 美能幸三
#098 山上光治
#099 大西政寛
#100 山村辰雄