マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】2020年に読んで面白かった本ランキング

2022年1月にこのエントリを書いている。

1位 栗原康『大杉栄伝 永遠のアナキズム』(夜光社 2013年)

ものすごく面白かった。大杉の文章がとにかく魅力的。栗原さんも興奮しながら書いているのが伝わる。
もうすぐ没後100年。

2位 副島隆彦監修、中田安彦著『ジャパン・ハンドラーズ―日本を操るアメリカの政治家・官僚・知識人たち』(日本文芸社 2005年)

ものすごく面白かった。陰謀論っぽく言われることも多いけど、さきの大戦で米国も多くの血を流して勝利したんだから、やすやすと占領国の独立を認めるはずがない。形式上だけ独立国ということにして、実質的にどのように属国を実効支配するか、それを人材交流の面から説明した本。フルブライト留学制度や大学、シンクタンクが大きな役割を果たしていることがわかる。この本の情報ぐらいは日本人の基礎知識になり、国民が政治家や官僚や知識人を評価する際のリテラシーとなるべき。

3位 植村邦彦『隠された奴隷制』(集英社新書 2019年)

非常に面白かった。マルクスの言う隠された奴隷制=なんのことはない、現在の会社員のこと。
奴隷はどんなに頑張っても奴隷の身分を抜け出せないので、仕事もやる気がないし、自分の身体のメンテナンスなどもしない。
だったら、会社員にして、自分の頑張り次第で未来は明るくなると思い込ませ、仕事のやる気を出させ、身体のメンテナンスも自分でさせ、スキルアップなども自分でやらせた方が奴隷制よりも安くつく。とアダム・スミスがすでに言っていた。
その実、労働者階級が必死に働いて資本家階級に階級上昇できるこ可能性は、高度成長期以外は1割もない。
自分が奴隷なことを認識できない奴隷。
ゲーリー・ベッカーの『人的資本』の影響が大きく、それが自己啓発やいまの意識高い系に繋がっていく。

4位 栗原康『学生に賃金を』(新評論 2015年)

大学、奨学金の問題点。

5位 橋爪大三郎 x 大澤真幸アメリカ』(河出新書 2018年)

面白かった。アメリカは資本主義の実験場。アダム・スミスの神の見えざる手とは市場の調整機能のような話では全くなく、予定説のこと。
結果的に儲けた人が神に選ばれた人ということ。
そして、摩訶不思議な思想(哲学?宗教?)であるプラグマティズムとそこから派生した成功哲学自己啓発の問題。これも結局は予定説。
つまり、アメリカとはキリスト教プロテスタントの宗教国家だということ。

その他

長渕剛:民衆の怒りと祈りの歌』、廣瀬純『蜂起とともに愛がはじまる―思想/政治のための32章』、小野登志郎『ドリーム・キャンパス スーパーフリーの帝国』、TVOD『ポスト・サブカル焼け跡派』などが面白かった。