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【読書メモ】栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言 』(タバブックス)

はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言

はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言

  • 作者:栗原康
  • 発売日: 2015/04/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
目次

 
 

キリギリスとアリ ―はたらくこと馬車馬のごとく、あそぶこと山猿のごとし

・寒い日に非正規社員が笑顔でティッシュ配り
・そういうたすけあいこそ、ほんらい労働とよぶべきではないだろうか。みんなが小躍りしてしまうようなたのしい空間をつくることこそが、ほんとうの意味での労働ではないだろうか。

切りとれ、この祈る耳を  ―耳切り一団

・認知資本主義 情報による支配 耳をふさげ
佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』

3・11になにをしていたか? ―とうとう江戸の歴史が終わった

徳川綱吉 明暦の大火 富士山噴火

豚小屋に火を放て ―伊藤野枝の矛盾恋愛論

・小学校の保険の先生 カメロンパン
・結婚 それぞれの役割を演じる 
伊藤野枝 矛盾恋愛 
・伊藤によれば結婚の起源は奴隷制であった 女性はカネや家畜、食料と交換することのできる商品であった
・家=豚

甘藷の論理 ―うまい、うますぎる!

・実際に植えた

地獄へ堕ちろ ― ヘイトスピーチか、それともスラムの念仏か

一遍上人 捨ててこそ この世が既に極楽であることにただ気づく 助け合い 慈悲にあふれている
・犠牲と交換のロジック 善悪優劣を決めるシステム
・恩は返さなくていい 慈悲なんだから
・農民に働かせて成果を収奪するのが国家 稲作→工場労働 人を働かせるためのインフラ整備であり福祉であり それが生権力

他人の迷惑かえりみず ―心得としての高野長英

・同居の息子が年金を払っていないと親の年金から引かれる
・年金 無尽講と頼母子
高野長英 17歳のときにもらった無尽講の感覚を死ぬまで手放さなかった 
・カネは天下の回りもの 相互扶助への絶対的信頼 他人の迷惑かえりみず それが相互扶助の神髄

お寺の縁側でタバコをふかす  ―大逆事件を旅してみれば

・道路のほうが人間よりも偉い社会
小栗判官

豚の足でもなめやがれ  ―もののあはれとはなにか?

・山形東北芸術工科大学 ポスドクのTA
本居宣長 もののあはれ 純然たる心のうごき 喜怒哀楽 恋が一番 儒仏思想の害 道徳の害
源氏物語は反政治
・今のデモは持てない 教条主義的 世界革命とか言ってたころはモテモテ 

大杉栄との出会い ― 赤ん坊はけっして泣きやまない

・「自我の棄脱」百合の皮をむいていく
・満員電車のサラリーマン 鞄で背中を叩いてくる

ヘソのない人間たち  ―夢をみながら現実をあるく

・ヘソ=尺度の中心 基準点

反人間的考察 ―歴史教科書としての『イングロリアス・バスターズ

・歴史の豚として飼育されることを拒否する
・いつでも白紙の状態に立ち戻る

豚の女はピイピイとわめく  ―老荘思想の女性観

荘子「山木篇」生滅変化
・フィリピン人 豚小屋
・ふだん、人間は物ごとを区別して、そこに善悪優劣の価値判断をはさみこんでいる。そうやって、不変の秩序をつくりだし、ほんらい混沌とした世界を、有限で管理可能なものにしたてあげているいるのである。もちろん、これはいま権力をにぎっている人たちのための世界だ。

だまってトイレをつまらせろ ―船本洲治のサボタージュ

・船本洲治 広島大学の学生 
・資本主義 生産過程における搾取-被搾取という階級支配の基本構造が商品経済過程でおおわれ、商品経済秩序(=市民秩序、市民社会)を維持することによって自動的に生産過程における搾取を貫徹することができるというきわめて巧妙な制度
労働組合などは市民社会の論理 労使交渉というのは、市民的秩序のひとコマ
市民社会(消費の社会)をこそ破壊せよ
・社会が狂うのか、それとも自分が狂うのか

あとがき

・現在35歳 年収80万 その前は5年間引きこもりのような生活
・働くことは尊いという労働倫理の洗脳 自分を偽る前向きさ 自分を偽る笑顔
・カネがなくては生きていけない はじめから負い目を背負って生きることを強いられる 「生の負債化」
・笑え、踊れ、遊べ
・丹野未雪 宮川真紀
 
1/27読了。
●要約:栗原康による2009-2015までのエッセイ集。
●感想:高野長英荘子の話が面白かった。本当はもっと自由に生きていいのだが、どんどんどんどん窮屈に、どんどんどんどん余裕が無くなっている日本。貧すれば鈍す。でも自分はしぶとく生きるしかない。