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【読書メモ】高村友也『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』(同文館出版)

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS)

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS)

  • 作者:高村 友也
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
目次

 

はじめに

第1章 無縁、無常、何もない家―河川敷のテント暮らし

相模川の河川敷 公売 11万1111円で落札 2000円のテント
・水タンクとカセットコンロ

第2章 死の観念、人生、私的体験―少年時代一

・テレビ1日30分 ゲーム禁止 『天空の城ラピュタ』の音声を録音して 布団でウォークマンで聴く
・「グラウンドの土はある波長を持った光、すなわち電磁波を反射しているだけで、土や電磁波そのものは無色。色の感覚は脳が作り出しているだけ」
・なぜ色の感覚なんてものがこの世界に存在するのか 敷衍してこの世界が存在する意味 自分が生きている意味がわからない

第3章 愛、信頼、自由―少年時代二

・僕はその頃、自分の心の中に生きていた。それが世界のすべてだった。世界とは、すなわち自分の世界のことだった。始まりも終わりもなく、ただ存在しているだけで幸せだった。周囲の人や地域、社会に対する親しみと信頼の感情に溢れ、僕はただ、道端や公園の草むらに座って往来する人や虫や草花を一日中眺めているだけで幸せであった。あるいはこの親しみと信頼の感情は、世界に対する愛と呼んでもよかったかもしれない。なんの見返りも求めず、ただ純粋な興味の対象として世界は存在していた。
・思う存分怠け、空想を巡らせ、体の底から自然にエネルギーが湧き上がってくるのを待ち、またそのエネルギーが怠けるための時間を作るのに役に立った。少年時代は、そうした幸福の循環の内にあった。
・どう控えめに言っても、自分は幸せな日々を送った。
・将来の夢は農業か研究者

第4章 不純さ、ホンモノ病、羞恥心―高校時代

・超能力のような暗記力
・それまであらゆる対象に向かって無方向的に拡散していた純粋な好奇心は、承認願望や社会的な成功という意図によって捻じ曲げられ、その意図を達成するためのただの道具に成り下がった。
・世界に対する好奇心、世界に対する愛を急速に失う
・「ホンモノ」と「ニセモノ」違いは「動機」 
・教科書を読む声が震えてしまった

第5章 喪失、哲学、真理―大学時代

・静岡→東京 自分は70億分の1なのだというある種の爽快な匿名感。
・大学2年の夏に休学 新鑑真号で上海へ そこからの行き先は未定
・インドでマリファナ ただの未熟な幸せ 西へ イスタンブールまで
・ヒューム「帰納法の懐疑」=結局は心の決定 真理はあるのか 

第6章 人格の二重性、過去との断絶、憎悪―大学院時代

・白金のボロアパート
・だんだん他人に対して瞋恚(しんい 怒り)の感情

第7章 自分自身であること―路上生活

・人生は困難なのではない、難解なのだ
・欲求の層を肉体に直結するくらいまで落としてゆくと、ようやく自分の行動に対する必然性というものが湧いて出てくる
・路上生活の煩わしさ
・そうだ土地を買おう あくまで順法的な脱社会化
・それは最低限「生きてゆく」ための場所であると同時に、「生きてゆく」ことからなるべく逃れられる場所でなければならない

第8章 孤独、私的生きにくさ、自我―雑木林の小屋暮らし

・すべて捨て去る必要はない。この社会の中で、合法的に、自分に合った生活をつくればいい。
・記号、観念の権化→記号化出来ない、生身の世界 リアルな世界に飢えていた。
ラカン 現実/現実界
・普通の生活にしかリアルさはないのだ
・レンタルバイクで下見
・そして辿り着いた「ただの雑木林」に、僕は狂おしいくらいのリアルさを感じ、一目惚れしてしまった。
・その土地を中心に意味もなく付近を徘徊して、新しい地図が頭の中に形成されてゆくのが心地よかった。自分が世界の中心地であるという「生」の感覚が懐かしかった。
・家 カビや虫
・冬が一番いい
・薪ストーブの上でパンを2枚焼く サクラ2本 クヌギ1本 バター ベーコン 塩胡椒 コーヒー
・「雪ごもり」
★都会にいながら「一人の時間」を確保するのは、そんなに難しいことではない 喫緊の用事を済ませ 携帯電話の電源を切って 部屋の扉に鍵をかければ。 山小屋の「一人の時間」はそれとは少し異なる。部屋に鍵をかけ、外界を遮断して一人になるのではなく、外界と繋がったままで一人なのだ。雑事を締め出し、雑念を追い払い、ようやく作り上げるかりそめの一人の時間ではなく、全体性を持った本物の一人の時間である。この全体性こそ、わざわざ実際に土地を買って小屋を建てて、自分の生活そのものを捧げてまで欲しかったものである。
・ひととき何かに追われるのを遮断してゆっくり過ごすのではなく、根本から何かに追われていない時間を生きる
生きてる実感 「生」の感覚
・土鍋 ご飯 冬は鍋物
・外は吹雪 小屋の中は平穏 
・普通に働いて暮らした方が効率はいい
・社会というのは平均的な人に一番効率のいいようにできている
・人間関係もそう
・お金の代わりを人間関係が担う場合もあるだろう ただ僕には生活の中で頼り頼られる人間は一人もいない
・生活に合わせて自分を造ってゆくことが難しいならば、自分に合わせて生活を創ってゆくしかない。
・どんぐり食
・「スイッチを切る」肉体のスイッチ 人間関係のスイッチ 金銭のやりとりのスイッチ 義務のスイッチ 言葉のスイッチ 思考のスイッチ 時間のスイッチ
・著者の場合、社会的生きにくさではない/私的生きにくさ
・肥大化した自我

エピローグ

・虚無
・自由、変化する自由
 
5/8読了
◆要約:小屋ぐらしをするに至った少年時代からの思考 小屋ぐらしの紹介
◆感想:とても繊細で、思想的潔癖症のような人なのかとも思った。高学歴で周りの人の俗っぽさ(東大、慶應の鼻持ちならないエリート主義)に幻滅する部分も多かったのかも。お金を稼ぎ続けないと生きていけない既存のシステムから離れて、一度根本からDIYするのは大事な経験だと思った。ただしこの人はこれからもどんどん変わっていくと思う。人にレッテルをはられる、型にはめられるのが大嫌いなような人なので。人生は人それぞれ、人の生き方にいいねと言い合える社会になったらいい。