マラカスがもし喋ったら

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【授業メモ】「西洋哲学の起源 第02回 ソフィストとソクラテス-自然から人間へ」

放送大学 荻野弘之先生
1.ソフィストとは誰か
・自然から人間への関心の転換→ソフィスト
・sophism 意図的に相手を騙そうとする誤った議論 =偽の知識人、詭弁家
・日本語の先生
2.ソフィスト運動に連なる人々
・代表格プロタゴラス
ゴルギアス 弁論家 名調子 弁論術 
・プロディコス 文法家
・ヒッピアス アンティポン トラシュコマス
ペルシア戦争終結(前449)後、政治・経済・文化の面で繁栄を謳歌するアテナイを舞台に、国際的な人的交流が進み、悲劇や叙事詩などの言語芸術が発達し、言論の自由(パレーシア)が保障され、法廷・議会での弁論が重視された民主政治の文化のもとで開花した「ソフィスト運動」という一連の啓蒙主義運動
3.弁論術の発達と説得の技法
・弁論術=rhetoricレトリック①話者の人柄②聴衆の好意的な心情③分かりやすい話
4.啓蒙家と相対主義
・「万物の尺度は人間だ」プロタゴラス
5.哲学者の伝説とソクラテス
・伝説は多いが確かなことは①前399年に死刑を宣告されて獄死したこと②著作を残さなかったこと のみ
・罪状は瀆神の罪と青年を堕落させたという罪
6.ソクラテス像の不一致
・喜劇作家アリストパネスの『雲』屁理屈屋
・歴史家クセノポン『ソクラテスの思い出』誠実な教育者
プラトン『対話篇』幻惑家
7.ソクラテス裁判と挑発的な弁明
プラトンソクラテスの弁明』公判の場であえて陪審員役の聴衆を挑発
・二回目の量刑を決める公判の演説でも煽りまくる。超天の邪鬼。
8.信託の意味と無知の自覚
アポロン神殿の信託→自分に課された使命
・<魂の配慮>と<善く生きること>
9.青年への影響とその波紋
・無邪気な模倣者、若者が集まっていった
10.生と死の反転
・1回めの公判の演説中「知を愛し求めながら生きていかねばならない」
・「知を愛する」(philosophein)。「哲学」(philosophia)という抽象名詞の元になる動詞。
・本を読む、本を書くことではない ただただみんなで問答し<善く生きること>を吟味する共同の言語行為
・馬を目覚めさせる虻(アブ)
・何のために生きるか=何のために死ぬか
11.ソクラテスの謎とその継承
・毎日議論をすることが大事
・多くのフォロワー 最大のものがプラトン

◆要約:アテナイの繁栄と言論の自由によって「ソフィスト運動」が起こった。「万物の尺度は人間だ」=相対主義。その中でアポロンの信託を受けたソクラテスが知者に問答を仕掛けまくった。みな知ったかぶりをしている。金や名誉じゃなくて、魂に配慮して善く生きること。そして議論し続けることを説いたソクラテスは、「知を愛する」(philosophein)「哲学」(philosophia)の語源を生み、多くのフォロワーが生まれ、プラトンに繋がれた。