マラカスがもし喋ったら

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【授業メモ】「西洋哲学の起源 第03回 プラトンの生涯と哲学(1)-対話劇とアポリアの意味」

放送大学 荻野弘之先生
1.プラトンの生涯とその時代
アテナイ屈指の名家出身
・ペロポンネソス戦争(前431-404)によって没落 → 扇動政治家の跋扈する衆愚政
・シケリア島シュラクサイに渡航 しかし失意の帰国
アテナイ北西郊外の神域アカデメイアに門弟を集めて学園を開く(前387)
・529年まで続く 共同生活を基盤とする高度な学術研究 今日にまで及ぶ高等教育・学術研究機関の模範となる
2.対話篇と著作年代
・多くのソクラテスを主人公とする戯曲 「対話篇」(dialogue)登場人物の問答中心 劇上映ではなく ラジオドラマのような朗読を前提
・初期・中期・後期とわけることが定着
3.初期対話篇の特徴
・『ラケス』「勇気について」①短い②青年の教育③最終的に答えがない④ソクラテスは常に問う人
4.青年の教育と日常的関心の転換
・定義を問う
5.問答の行き詰まり(アポリア)とその診断
・言葉で説明するより 物 具体例で
6.勇者は何を知っているか?――知識の両義性
・ああいえばこういう 詭弁のソクラテス
7.対話相手の交代――徳は知識か?
8.「何であるか」を問う――教説に還元しない哲学
・結論はでない
プラトンの作品は、哲学を固定した教説や教条へと還元することを許さない。テクストの読解に伴って、選ばれた心ある読者の思索を挑発し、あるいは読者同志の真摯な対話を誘発する生きた思索の源泉として不屈の生命を湛えた稀有な存在なのである。
 
◆要約:プラトンは政治に挫折しアカデメイアに学園を開いた。ソクラテスを主人公とした対話篇。問答劇。自明を揺るがす。自明だと思いこんでいることも自明ではない。結論は出さない。対話による弁証法というか、学問にとって批判、反論の大事さ。