マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】明石昇二郎『敦賀湾原発銀座[悪性リンパ腫]多発地帯の恐怖』(1997年4月 技術と人間)

目次
プロローグ 「ガン患者激増」の噂を追って
 ある“スクープ”情報
 ルポルタージュの「大原則」
 調査区域は原発の半径一〇キロ圏内
第2章 「あなたの家にガンの人はいますか?」
 憂鬱な調査項目
 地域ぐるみの取材拒否
 アンケート回収率六〇・〇三%
第3章 「風下地域で患者集中発生」という事実
 「噂の調査」結果報告
 調査結果は……
 問題は悪性リンパ腫
 悪性リンパ腫「衝撃」のデータ
 「因果関係の推定は可能」
第4章 「福井県庁の皆さん、疫学調査をやってください」
 地元行政の「嫌がらせ」
 “反撃”始まる
 報告書への「コメントにならない“コメント”」
 福井県当局の“お手つき”
 取材班VS福井県
 喧嘩腰の”授業”
 「あなた方がやったのは”算数”」
 「アンケートした学生の資質も問題」
 これを「警告」と見るか、それはあなたの感性の問題
 「風下四集落」とはどこなんだ!
 専門家なのに「何とも言えない」?
 ”場外乱闘”
 福井県庁は「中立」なのか「電力の味方」なのか、それとも
終章 そして福井県の未来は……
 放射線に対する感受性は若年層ほど高い
 科技庁の“宿題”
 「原発があるための書かれ損……」
 無責任な福井県
 実は科技庁は“非科学”技術庁だった……
 We Shall Return
あとがきにかえて
付録1
付録2
 
・94年春 高速増殖炉もんじゅ臨界
週刊プレイボーイ94年11月から4週にわたり連載
・取材班9名
敦賀半島 原発銀座
敦賀原発から半径10km 1141戸の聞き取り調査 回答率60%
・①白血病悪性リンパ腫甲状腺がんダウン症
悪性リンパ腫 全国平均の2.28倍 対岸の風下地域
・「わからないことだらけだからこそ、調査をする意味があるんだ!」これはすなわち、ルポルタージュ(現地報告)の大原則でもある。
・チームでの取材
・昔は海と向かい合って、海と共に暮らしてきた人たちが、今は原発とともに暮らしている。その昔、イギリスが中国を阿片づけにしたように、ここの人たちは”原発づけ”になりつつある…そんな気がします。
・県の抗議①年齢補正をしていないこと②調査人口が少なすぎる③見出しの悪意④空間線量0.001ミリシーベルト
・山崎隆敏『福井の月の輪熊と原発
埼玉大学 市川定夫
・イギリス セラフィールド再処理工場
・95年1月阪神淡路大震災
・95年「もんじゅ」ナトリウム漏洩火災事故 動燃によるビデオ隠し
福井県 栗田幸雄知事
・1ccあたり18万5000ベクレルの濃度のトリチウムで染色体異常が発生するという科学技術庁放射線医学総合研究所の研究報告がある(朝日新聞) 
・97年1月ナホトカ号重油流出事故 風下よりも潮流のほうが重要か
・正真正銘の疫学調査が必須。
5/21読了
 
◆要約:一つの噂から始まった民間簡易疫学調査。悪戦苦闘の調査の実体とその後の県、動燃らによる強い抗議。トリチウム排水らによる内部被曝・低線量被曝の影響は一体あるのかないのか?
◆感想:笠井信輔アナ、瀬古昴さんと最近悪性リンパ腫が目立ったので読んでみた。調査によって見えた住民のアンビバレントな感情。健康被害の因果関係については結局はわからず。国や県は当然隠蔽したがるということはわかった。