マラカスがもし喋ったら

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【授業メモ】「西洋哲学の起源 第06回 アリストテレスの哲学(2)-徳と幸福」

放送大学 荻野弘之先生

1.倫理学関係の著作とその相互関係

2.エトス(習慣)からエートス(人柄)へ

・習慣(反復)が人柄になる

3.実践哲学の方法論

・ラディカルではなく、グラジュアル(漸進的)

4.倫理学政治学の結びつき

・人間は単独では生きられない動物。必ず社会共同体をつくる。
・①最小単位「家」②狩猟、農業「村」③交易、戦争「ポリス」
・今は情報、貿易、金融、環境などグローバル化

5.人間の行為と目的の構造

・『ニコマコス倫理学』冒頭「人間の技術や研究、また行為や選択は、いずれもある何らかの<善>を目指しているように思われる」
・「歩いている」→「駅にいくため」→「学校に通うため」→究極目的

6.最高善としての幸福

・人間の行為や生活の究極目的(最高善)=「幸福」
・ただし具体的な内容に関しては人それぞれ違う 健康、金、名誉、知
・「善い」と言われる場合の条件(1)十分な機能 よい机(2)よい職人 よい医者(3)よい人間→精神的な卓越性 分別・理性=幸福 

7.観照的生活の理想とその問題点

・<観照>没我の状態 「自分が持っている才能を、存分に発揮する」生きがい

8.徳の二区分とその形成

・思考の働きに関わる卓越性/人柄としての徳性 後者も後天的

9.実践的推論と行為の構造

10.2つの徳の相補性――賢慮の役割

・中庸、その時の相場を測る賢慮 まっとうな推論
・+正しい目標の設定

◆要約:アリストテレス倫理学について。人間の行為は「善」を目指している。その究極目標である最高善はつまり幸福である。幸福を目指すのに重要なのは徳である。徳は能力(理性)と人柄に分けられるが、両者は相補的である。両極端に陥らない、その中庸を見定める理性が、人柄としての徳にとって必要である。徳をもって、人間の善をめざす社会を実現することが政治の目標である。