マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【授業メモ】「西洋哲学の起源 第10回 イエスとキリスト教の成立」

放送大学 桑原直己先生

1.キリスト教とは

・「イエスがキリスト(メシア)である」とする信仰

2.イエスの時代的背景

ローマ帝国属州時代 敬虔なユダヤ人家庭
・「サドカイ派」 祭司 神殿宗教の聖職者 保守的/「パリサイ派」 律法学者 会堂を拠点/「熱心派(ゼーロータイ)」独立、政治的メシア待望/「回心」を呼びかける預言者
・共通して「終末(世の終わり)」が到来することの予感

3.イエスの「メッセージ」

預言者の一人 洗礼者ヨハネ 悔い改めへの厳格な要求
・イエスヨハネの説教を聞き、ヨハネからヨルダン川で洗礼を受けた その時イエスは自分が「神の子」であるとの天啓を受けたらしい
・結局ヨハネは挫折し、領主であるヘロデ・アンティパスによって打ち首にされる
・イエスは後を継ぐ。ヨハネのように厳しくなく、神の保護と赦しを強調した。ヨハネが神の厳格な裁きを強調、イエスは神の憐れみによる救済を説く。
・「真福八端」
・たとえ話 無慈悲な召使いのたとえ話

4.イエスの「行い」

・イエスの行い=奇跡 
パリサイ派の人、姦淫の女、徴税人、忠実な信奉者を招き食卓を共にする 「よい知らせ」(福音という語の由来)を広めるための協力者=宣教者となるよう誘う。じわじわと信者を増やす。
・神のことを父と呼ぶ 断食の規則を勝手に破ったり、結構破天荒な感じ サドカイ派パリサイ派など権威者たちに疎まれ、最終的には「治安を乱した」罪で逮捕される

5.イエスの「拒絶と死」

・自分の死を予感して腹心の「12使徒」を選ぶ 最後の晩餐で弟子に布教を託す
・ローマの総督ピラトの命令で十字架貼り付けで死刑 弟子はエルサレムから逃亡

6.弟子たちによるイエスの「復活」体験

・「メシア」より一段高い「キリスト」 それは「復活体験」による
・弟子たちの「復活体験」 イエスの埋葬 イエスとの「和解」 「キリスト」ということの意味を理解する体験

7.「キリスト」の意味

8.「共観福音書」が描く「キリスト」としてのイエス

・「回復した人間性」と「栄光」の象徴。
・イエスが誰も拒絶しないので、ファン・ベック「それゆえ、イエスは人間本姓に眠っている、神の御言葉という人格として存在する可能性を啓き示した存在である」「人間イエスにおいて、私たちは神に対する全面的関わりによって再創造された人間性を見る」

9.宣教の開始――キリスト教の出発

・「イエスは神の子キリストである」
・このことについてのキリスト教第1世代の人々による証言=「使徒的伝承」=『新約聖書
・「キリスト」の意味をめぐって「人間性」と「神性」を教える

10.初期キリスト教の発展

・ペトロ、ヨハネヤコブ 迫害→かえって地理的拡大 西は小アジア、東はギリシャまで
・重要な転機=パウロが加わったこと 厳格なユダヤ教徒 熱心なパリサイ派 イエスの復活に出会い 突然回心
ユダヤ人のみならず、異邦人も対象に。割礼などユダヤ教徒としての義務を課さないことを決めた。これによってユダヤ教から独立した独自の宗教になり、世界宗教へ。

11.ローマ帝国による迫害から公認へ

・迫害と殉教 文字通り地下(「カタコンベ」地下墓所)へ。じわじわと拡大。
・2世紀末にはローマ全域とメソポタミア
・303年ディオクレティアヌス帝による大迫害 この時すでに人口の1割 313年コンスタンティヌス大帝とリキニウス帝による「ミラノ勅令」により公認 392年テオドシウス帝の勅令により事実上の国教化

◆要約:預言者ヨハネの洗礼を受けたイエスヨハネが殺され、イエスが後を継ぐ。イエスは神の憐れみによる赦しを説く。誰も拒絶しない。そしてイエスも殺される。「復活」とは何か?弟子の復活体験。身体としてでなく、思想としての復活?イエスを通して神を知ることができる。「キリスト」=ただのメシアではなく「神の子」。パウロの布教活動が大きく。徐々に勢力を拡大し、ついにローマ国教化。イエスは多分、明るい陽気なコミュニケーション能力が神だったのだろうと想像。