マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【授業メモ】「西洋哲学の起源 第13回 盛期スコラ学とイスラム哲学」

放送大学 桑原直己先生

1.大学ースコラ学の場

・13世紀、大学という新しい知的空間の出現で哲学と神学を中心とする諸学問が飛躍的に発展

1.1.大学の成立

・大学、12世紀に「知識人のギルド」として成立。パリ大学ボローニャ大学、オックスフォード大学など「自生的大学」。教皇の庇護を求める。
・皇帝フリードリヒ2世、ナポリ大学。官僚などを養成する目的。国立大学の草分け。
・通常、神学、法学、医学、人文の4つの学部

1.2.講義と討論―スコラ学の著述スタイル

・「講義」と「討論」
トマス・アクィナス神学大全』のような著作であっても、討論の形をつかって書くことでダイナミズムが生まれる。

2.托鉢修道会―修道制の変化

・都市化、貨幣経済の発達にともなって、格差社会になってきた。貧しい人々の思いに応えるという宗教的課題を帯びてきて、過激な修道者の中には、教会の権威を拒み、異端になるものを現われた。
ドミニコ会フランシスコ会 「定住」「土地所有」の原則を放棄 「托鉢(=乞食)修道士」
ドミニコ会、聖職者 上から/フランシスコ会 民衆的宗教運動起源 下から

3.イスラム哲学

4.アリストテレス哲学の変容

4.1.アリストテレス哲学流入以前の西欧の知的世界

・当時のスタンダード=アウグスティヌスキリスト教化された新プラトン主義

4.2.アリストテレス受容をめぐる対立

・「アリストテレス・ショック」=キリスト教と相容れない部分がある
・3通りのリアクション(1)保守的アウグスティヌス主義(2)急進的なアリストテレス主義(3)キリスト教的中道アリストテレス主義 代表がトマス・アクィナス

5.フランシスコ会の大学進出

5.1.オックスフォード学派

・ロバート・グロステスト 幾何光学的視点 「光」を原理とする
ロジャー・ベーコン 経験的知識や実験観察を重視 近代科学の先駆者

5.2.アレクサンデル・ハレンシス

・ボナヴェントゥラの師

5.3.ボナヴェントゥラ

5.3.1ボナヴェントゥラとプラトンアリストテレスアウグスティヌス

アリストテレス→「学知(サイエンス)の師」 プラトン→「英知(サピエンス)の師」 アウグスティヌス→英知と学知両方に目を向けたとして一番評価

5.3.2.範型論

アウグスティヌス「神は存在の根源、認識の根拠、生活の規範」

5.3.3.キリスト中心主義

・キリストという媒体の中に形而上学の全体が包含されている

5.3.4.哲学と神学

アリストテレスは神を無視しているから駄目。プラトンであっても原罪を意識していないので駄目

5.3.5.神へと向かう上昇的認識

・無限なものに対する先行的知識 神に対する先行的知識

5.3.6.「主意主義」――意志と愛との主導

・「認識」「知性」に対する「愛」「意志」の優位を説く=主意主義

6.アルベルトゥス・マグヌス

ドミニコ会 中道アリストテレス主義 実証的な研究に深い関心
 
◆要約:13世紀は大学によって学問が飛躍的に発展した。ギルド的な自治的大学と国立大学に別れた。そこでは講義と討論。一方で托鉢修道会も広がった。フランシスコ会ドミニコ会。それは後に大学にも入っていった。イスラムとの交流で「アリストテレス・ショック」が起こった。3つのリアクションに別れた。ボナヴェントゥラは保守的アウグスティヌス主義。