マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【授業メモ】KUNILABO春期特別講座 白井聡先生『近代資本主義システムの動揺、その焦点——国家と貨幣』第1回

講座概要

・テーマは国家権力と通貨の関係
・誰も実際のところよくわからない仕組みで動いてる
・1929世界大恐慌 
・仮想通貨 特定の国家の裏付けを持たない
MMT=国家の力を最大限に見積もる
・1980年代以降は バブルを作っては壊し作っては壊し 水野和夫
・2008年リーマンショック 
オバマ政権 公的資金投入 新自由主義の理屈からしたらおかしい → 不良債権を国に付け替える
ニクソン・ショック以降の管理通貨制度体制において、各国政府の債務残高は増え続けてきた
・「中央銀行の独立」という問題
・日銀自体の迷い 自信喪失 誰も正解がわからない
・財政ファイナンスのみならず、株を買う 日経平均を買い支える ETF
アベノミクスの「副作用」

現代資本主義経済に何が起きているのか?~国家の揺らぎ

グローバル化主権国家の無力化
・租税を捕捉できない
シュンペーター『租税国家の危機』破綻していくオーストリアの大蔵大臣
・近代国家=公共化された国家=私財をもたない あるのは徴税機能のみ
・前近代国家=領土、領民、領している 王様の持ち物=家産国家
・近代国家=抽象的な公 支配の脱人格化→法の支配
・租税国家においては、「国家は経済的には寄生者」
・資本主義=私的利益の追求が第一原則
・危機の本質:グローバル化による「寄生」の不可能化
・他方、近代国家は実際には経済成長のエンジン・主導者だった(イギリス古典派経済学とドイツ歴史学派の対立)

現在資本主義経済に何が起きているのか?~通貨の揺らぎ

湾岸戦争 イラクフセイン政権が石油取引の通貨を米ドルからユーロに切り替えようとした
基軸通貨トートロジー(自己言及性)。明確な定義はない
・どの通貨もやばい
・主要国の政府債務残高の対GDP比 第二次世界大戦時にピーク 戦後だんだん下がって1980年に一番下がる その後反転し現在戦後当時と同じ水準

お金とは何か?国家債務はどこまで増やせるのか?

債務危機の起源としてのニクソン・ショック
ニクソン・ショック金本位制の終焉、変動相場制への以降=管理通貨制度
金本位制の終焉はそんなに昔ではなかった 兌換券
・かつては通貨の発行上限は金準備によって決められていた
ブレトン・ウッズ体制アメリカのドルだけが金とリンクする。他の通貨はドルとリンクする。
ニクソン・ショックはものすごい変化
・王権神授説→社会契約説への変化のよう
・通貨の信用はどこから来るのか?貨幣商品説と信用貨幣説(貨幣国定説)
・貨幣商品説=金貨など 信用貨幣説=貨幣は記録のみ(約束)
・ツケ払いのメモ 手形
・デヴィッド・グレーバー『負債論』この2つが交互に入れ替わってきた歴史
金本位制→商品本位制
・2つの原理が曖昧に併存してる
・蝶番としての中央銀行
次回2/28この時間
 
◆要約:政府債務が際限なく増え続けているが、これはいったいどういうことなのか?これからどうなるのか?お金とはなにか、国家とはなにか、中央銀行とはなにか、国家と資本主義の関係性とは、根本から考えていく。
◆感想:今まさにタイムリーなテーマだと思った。とても興味がある。金兌換の停止とはたしかに大変大きな出来事だが、それがそういう意味なのかは、実はよくわかっていない。それ以降、各国の政府債務が膨張し始めた。金融資本主義という言葉もある。
初回は次回以降の予告のような話。この時間はお腹がすくが、リアルタイムで聞くと質問ができる。