マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【映画メモ】チャールズ・バーネット監督『キラー・オブ・シープ』(1977)、『マイ・ブラザーズ・ウェディング』(1983)

@渋谷ユーロライブ

アメリカ黒人公民権運動の歴史

・1865年南北戦争終結 奴隷解放宣言
・1883年最高裁判決「修正第14条は私人による差別には当てはまらない」 実質的に無効化
・ジム・クロウ法=人種分離法 KKKの攻撃
・NAACPの奮闘
2つの大戦への貢献と続く差別 
・1954年ブラウン判決 分離教育が違憲
・1955年モンゴメリー・バス・ボイコット
・1957年リトルロック高校事件(9人が軍の護衛付きで登校)
・1963年バーミングハム運動(ボイコット運動)
・1963年8月ワシントン大行進 キング牧師の演説「I Have a Dream
・1963年11月ケネディ暗殺
・1964年ジョンソン大統領 公民権法(Civil Rights Act)制定 → アファーマティブ・アクション
終わらぬ戦い 
・1965年アラバマ州セルマ血の日曜日事件
・1965年ワッツ暴動
・1968年キング牧師暗殺 非暴力→暴力も辞さない ブラックパンサー党
 
◆感想:空族の富田克也監督が勧めていたので観た。
ワッツの黒人コミュニティの生活をリアルに静かに描く。雰囲気が知れて為になった。
『キラー・オブ・シープ』の主人公は大変な労働と貧乏で鬱になっている。
屠殺場の仕事は嫌だろう。職に貴賤なしっていうけど、日本でも被差別部落の人々が担っていた歴史があるし、特別な仕事だと思う。
(もちろん現在、食肉市場のプロフェッショナルな仕事のお陰で、自分たちはお肉を食べれているんだから、感謝こそすれ、差別なんて絶対にしないけど、昔は設備も未整備だったから、辛いだろうなと素朴に思ってしまう。)
主人公は他の仕事を探すがない。貧しいがコミュニティの相互扶助でなんとかやっている。鬱だけど。
ここで家畜とは奴隷制のメタファーだろう。資本家の家畜である自分たちが家畜の羊を追い立てる。ある種の諦めと静けさがある映画。
マイ・ブラザーズ・ウェディング』では、少し生活が豊かになってきた。黒人でも中産階級になる人達が出来つつある。
でも主人公はそれをこころよく思っていない。金儲けは搾取だと見抜いている。仲間を差し置いて、自分たちだけ抜け駆けして物質的に豊かになることに欺瞞を覚えている。
黒人とキリスト教との関係が色んな映画に出てくるけど、いまいちよくわからない。熱心なプロテスタントだと思うんだけど、彼らはなぜ自分たちを奴隷にした白人と同じ宗教を信仰できるのか?なぜキリストを信じられるのか。これはある種、なにか洗脳の結果なのか。或いは、アメリカで生きていく上で、踏み絵のようなものなのか。
あとこれは映画本筋とは関係ないけど、この映画を観て、自分は結婚式とか葬式とか、そういうセレモニー、儀式が大嫌いだということを再確認した。
特に服装を指定されるのが大嫌い。嫌いすぎて、いつも結婚式、葬式のときはひどい失敗をする。意味のないルールに、問答無用で服従しなければならないのが嫌なのだろうか。2つともなかなか不思議な雰囲気のある映画だった。
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