目次
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学
- 第1章 危険物の貯蔵取扱作業に必要な基礎的な物理学及び基礎的な化学
- 第1 基礎的な物理学
- 第2 基礎的な化学
- 第2章 燃焼及び消火に関する基礎的な理論
- 第1 燃焼理論
- 第2 消火理論
- 第3 消火設備
- 危険物の性質ならびにその火災予防及び消火の方法
- 第3章 危険物の性質に関する概論
- 第4章 危険物の類ごとの各論
- 第1 第一類の危険物
- 第2 第二類の危険物
- 第3 第三類の危険物
- 第4 第四類の危険物
- 第5 第五類の危険物
- 第6 第六類の危険物
- 資料
- 主な参考文献
- 各種の法則等
- 索引
基礎的な物理学及び基礎的な化学
第1章 危険物の貯蔵取扱作業に必要な基礎的な物理学及び基礎的な化学
第1 基礎的な物理学
1 物質の状態の変化
(1)物質の三態
・固体→液体→気体 状態変化
・20℃、1気圧=常温常圧
(2)三態の変化
・固体-融解→液体-蒸発(気化)→気体-凝縮(液化)→液体-凝固→固体
・吸熱と放熱
(3)融解と凝固
・変化している間は温度が変わらない=潜熱
・融点・凝固点
・1気圧のもとでは、水の融点・凝固点は0℃
・0℃の氷20gを0℃の水にするのに必要な熱量 20g✕332J/g=6,640J
・塩(塩化ナトリウム)による凝固点降下
(4)蒸発と凝縮
①沸騰と沸点
・外圧(気圧)によって変わってくる 気圧が低くなれば沸点も低くなる
②蒸発熱
・水の蒸発熱 2256.7J/g 液体の蒸発にはその周囲の熱エネルギーを奪う冷却効果がある
(6)水
①水の組成
・水の分子は酸素元素1個と水素元素2個が結びついている H₂O
・酸素=そのもの自体は燃えないが支燃性が強い 水素=可燃性であり、空気または酸素と混合したもにに点火すると爆発する
②水の性質
・氷、水、水蒸気 凝固して氷になるとき体積が増加する
・4℃で体積が最小となり1cm3の重量は1g
(7)物質の比重と密度
①固体または液体の場合
・密度=単位体積当たりの質量 一般に1cm3当たりの質量(g/cm3)
・比重=水との比較 水に沈むか浮くか 1以上か1未満か
②気体の場合
・気体の場合0℃1気圧下の空気1Lの質量(1.293g)との比較 蒸気(気体)比重
・空気の分子量≒29 比重は分子量に比例する エタノールの分子量46→空気の1.6倍重い 水蒸気は軽い
(8)圧力
・圧力=単位面積当たりに働く力 単位 気圧(atm)あるいはPa(パスカル)
・1㎡に1N(ニュートン)の力を与える圧力が1Pa (質量1kgの物体に、1m/s2の加速度を生じさせる力が1N)
・1atm≒101.3kPa≒1013hPa(ヘクトパスカル) (ヘクト=100倍)
(9)気体の性質
①臨界温度と臨界圧力
・気体の二酸化炭素、31.1℃を超える温度ではいくら圧縮しても液体化しない→臨界温度 その温度で液化させる圧力=臨界圧力
・水の臨界温度は374.1℃
②ボイルの法則
・温度が一定ならば、気体の体積は圧力に反比例する = 圧力が高ければ体積が下がる(圧縮される)
③シャルルの法則
・圧力を一定に保った状態では、一定質量の気体の体積は、温度1℃上昇又は下降するごとに、0℃における体積の1/273ずつ膨張又は収縮する
④ボイル・シャルルの法則
・②、③から、一定質量の気体の体積は、圧力に反比例し、絶対温度に比例する
⑤理想気体
⑥実在気体
⑦アボガドロの法則
・すべての気体は同温同圧のもとでは、同じ体積内に同じ数の分子を含む
・ずべての気体の1molは標準状態(0℃、1気圧)で約22.4Lの体積を占め、その中には6.02✕1023個(アボガドロ定数)の気体分子を含む
⑧気体定数
・PV=RT (圧力 p ,体積 V ,絶対温度 T )に含まれる普遍定数 R のこと。
⑨状態方程式
・PV=nRT(気体n(mol)) nmol=物質量
⑩ドルトンの法則
・混合気体の全圧は、各成分気体の圧力の和に等しい。 ドルトンの法則又は分圧の法則
2 熱とその移動
(2)熱量
・温度の違った物を断熱した容器に入れておくと、徐々に同じ温度になる=熱平衡
・熱の量の単位=エネルギーの単位ジュール(J)
(3)比熱及び熱容量
・物体の温度を1℃上げるのに必要な熱量=その物体の熱容量
・質量1gの物体の熱容量=その物体の比熱
・比熱の大きい物体は温まりにくく、冷めにくい
(4)熱量の計算
・比熱がわかれば、熱容量が計算できる
(5)気体のモル比熱
・定積モル比熱と定圧モル比熱
(6)熱の移動
①伝導
・熱伝導率
・金属は熱伝導率が大きい 液体や気体は熱伝導率が小さい 良導体/不良導体
②対流
・液体(気体)の温度差によって液体(気体)が移動する現象
③放射(ふく射)
・熱せられた物体が放射熱を出して他の物体に熱を与えること 太陽は放射熱(日傘) 熱放射線(ふく射線)は光の一種であり直進する 火災が風上へも延焼する理由
(7)熱膨張
①固体の膨張
・線膨張と体膨張 3倍
②液体の膨張
・水は0℃から上げていくと4℃までは収縮し、4℃以上から膨張する
③気体の膨張
・理想気体の体膨張率=1/273
(8)断熱変化
①断熱変化と断熱膨張(圧縮)
②断熱変化と温度
・ディーゼルエンジンのシリンダーがよい例
(9)エネルギー保存の法則
・これは本当に大事
3 電気と静電気
(1)電流と電圧
・電流の強さ=アンペア(A)
・電線に100Vの電圧を通じ、100Wの電球を点灯したときに流れる電流は1A
・1Aの電流によって1秒間に運ばれる電気の量を1クーロン(C)
・電線に電流を流すには、電気的な高低を与えなければなりません。この高低を電位差あるいは電圧(V)と呼び、2点間に電位差を生じる力を起電力という。
・電流I(A)=電圧E(V)/抵抗R(Ω) オームの法則
・1Ωとは、1Vの電圧を加えたとき、1Aの電流を流すような導線の抵抗
・導体/不導体 金属/ゴム
・抵抗のある部分に電気が流れればジュール熱が発生する Q=EIt
(2)直流と交流
・電池は直流 家庭用の電気は交流 直流は+側から-側に一方的に流れる 交流はプラスとマイナスが交互にかわって流れる。1秒間に50回かわることを50Hz(ヘルツ) 関東地方50Hz、関西地方60Hz
・単相3線式、単相2線式
(3)電気火花
・①スパーク②アーク③高電圧の火花放電
(5)静電気
・電気的に絶縁された2つの物質が相接触して離れるときに片方には正(+)の電荷が、他方には負(-)の電荷が帯電することで発生する
・帯電列 (+)ガラス>人毛>ナイロン>羊毛>木綿>硬質ゴム>ポリエチレン>テフロン(-)
(6)静電気災害の防止
①静電気の発生を少なくする方法
・流速を制限する
②静電気の蓄積を生じないようにする方法
・接地(アース)/湿度を上げる/帯電防止服、帯電防止靴の着用
4 湿度
・空気に最大限含みうる水蒸気量(飽和水蒸気量)の何%に相当するのかを表すのが普通用いられる相対湿度 20℃で1m3中水蒸気17.3g
・乾燥注意報
第2 基礎的な化学
1 物質の変化
(1)物理変化
・状態や形が変わること
(2)化学変化
・ある物質が性質が違う別の物質になる変化 さびや燃焼
2 化学変化のいろいろ
(1)化合
・2種類以上の物質から、それらとは異なる物質を生じる化学変化 A+B=AB
・木炭が燃えて二酸化炭素になる C+O2→CO2 水素と酸素が結合して水になる 2H2+O2→2H2O
(2)分解
・化合物が2つ以上の成分に分かれること
(3)置換
・AB+C→AC+B
(4)複分解
・2種類の化合物が、その成分である原子を交換して、2種類の新しい化合物になること
(5)重合
・付加重合と縮合重合 エチレン→ポリエチレン
5 原子と分子
(5)電子殻
・電子が回ってる層 原子核に近い方から外側に向かって、K殻、L殻、M殻、N殻…
・それぞれの殻に存在できる電子の数 K殻=2個 L殻=8個 M殻=18個…
・満たされている電子殻=閉殻 最も外側の電子殻=価電子=科学的性質を支配する
・例えば原子番号17番の塩素→K殻2個、L殻8個、M殻7個
・希ガス元素は安定している
(6)分子
・物質の特性を持っている最小の単位 ヘリウム、ネオンなど=単原子分子、酸素、窒素等は二原子分子
・例 水素:H2 ヘリウム:He 二酸化炭素:CO2 塩素:Cl2 水:H2O 酸素:O2
(7)イオン
・正又は負の電気を帯びた原子又は原子団をイオンという 例 水素イオン:H+ 水酸化物イオン:OH-
(8)原子価
・ある元素の1原子が水素原子の何個と結合するかを表す数
(9)化学結合
6 原子量と分子量
(1)原子量
・炭素の同位体12Cを質量の基準にして12とする。それと比べる。
(2)分子量
・分子の中に含まれる元素の原子量の和
(3)式量
(4)物質量 (mol)
・質量数12の炭素原子12gに含まれる原子の数(6.02✕1023)を基準とし、これと同じ数の粒子(原子や分子)の集まりを1molと定める
・物質1molの質量は、原子量、分子量又は式量にgをつけたもの。物質1mol当たりの質量をモル質量という。
・1molの気体の体積は標準状態(0℃、1気圧)で22.4L
・水素 H2 分子量2 モル質量2g/mol 窒素N2 28 28g/mol 酸素O2 32 二酸化炭素 CO2 44 44g/mol
7 化学の基本法則
(1)質量保存の法則 (質量不変の法則)
・物質間に化学変化が起こる場合、その化学変化前後における物質の質量の総和は一定
・例 C+O2→CO2 炭素が燃えて二酸化炭素になった
(2)倍数比例の法則
(3)定比例の法則
(4)アボガドロの法則
8 化学式・化学反応式
(2)化学反応式
・例 2H2+O2→2H2O 2KClO3→2KCI+3O2
(3)化学反応式の係数の求め方
①分数法
②未定係数法
(4)化学反応式による量的計算
①質量関係
②質量と体積関係
③体積関係
9 熱化学
(1)反応熱
・発熱反応と吸熱反応
(2)熱化学方程式
(3) 反応熱の種類
・燃焼熱、生成熱、中和熱
(4) 物理変化に伴う熱の出入り
(5) ヘスの法則
・途中経過がどうあれ、総熱量不変の法則
(6)熱化学方程式による計算
(7) 結合エネルギー
・例 H-H 435kJ/mol
11溶液
(1)溶解
・液体に他の物質が溶け、均一な液体になることを溶解という
(2)溶液
・溶かす液体を溶媒、溶けた物質を溶質、結果の液体を溶液という 溶媒が水のとき、水溶液という
(3) 固体の溶解度
・飽和溶液と不飽和溶液 再結晶
(4) 気体の溶解度
・圧力が高いとより溶ける→ヘンリーの法則
(5)濃度
①質量パーセント濃度
・溶液100gの中に含まれる溶質のg数
・体積パーセント濃度=溶質が液体のとき
②モル濃度
・溶液1L中に溶けている溶質を物質量(mol)で表した濃度 mol/L
③質量モル濃度
・溶媒1kgに溶けている溶質の物質量 mol/kg
(7) 浸透圧
・液体同士の混ざり合い
(8) コロイド溶液
・牛乳など1nmー100nm程度の粒子(コロイド粒子)が沈殿しないで溶媒の中に混じっている溶液をコロイド溶液という
12 酸、塩基
(1)酸
・水に溶けると電離してオキソニウムイオンH3O+を生ずる物質、又は他の物質に水素イオンH+を与えることができる物質 例:塩酸、硝酸、酢酸
・リトマス試験紙赤
(3)酸, 塩基の価数
・1分子の酸, 塩基が生ずることのできるイオンの数
(4) 酸, 塩基の強弱と電離度
・水に溶かした溶質のうち、電離した割合を電離度という 電離度の大きい酸・塩基を 強酸・強塩基という
(6)塩
・酸・塩基を他のイオンで置き換えたもの
(7) 中和
・酸(H+)と塩基(OH-)から塩と水のできる反応を中和という 酸から生じるH+の物質量と、塩基から生じるOH-の物質量が等しいときちょうど中和する
(9)pH指示薬 (酸塩基指示薬)
13 酸化と還元
(1) 狭い意味の酸化と還元
・物質が酸素と化合することを酸化といい、酸化物が酸素を失うことを還元という
(2) 広い意味の酸化と還元
・逆に言えば、水素化合物が水素を失うこと、又は物質が電子を失うことも酸化といい、物質が水素と化合すること、又は物質が電子を受け取ることも還元という
(3) 酸化剤と還元剤
14 元素の分類と性質
(2)典型元素と遷移元素
・「原子番号が一つ進むごとに全く違う性質になる元素」が典型元素。「原子番号が変わっても非常によく似た性質をもつ元素」が遷移元素。
①金属と非金属の性質の比較
②金属の特性
(ア)比重
・金属の比重が通常4以下のものを軽金属、4よりも大きいものを重金属という
(イ)融点
③アルカリ金属とアルカリ土類金属
(ア)アルカリ金属
(イ)アルカリ土類金属
(ウ)炎色反応
④イオン化傾向
・イオンになりやすさ 水素を発生させながら水に溶ける
⑤金属の腐食
(ア)腐食の原因とメカニズム
・鉄が酸化鉄に戻ろうとする現象=錆
(イ)腐食を防ぐ方法
(3)水素
・水に溶けにくい 見えない炎を上げて燃え。水になる
(4) ハロゲン
・強い酸化作用=相手を酸化させる力が強い=自らは還元されやすい
第2章 燃焼及び消火に関する基礎的な理論
第1 燃焼理論
1 燃焼の定義
・酸素と化合すること 熱と光の発生を伴う酸化反応
2 燃焼の原理
・必要な条件①可燃性物質②酸素供給体(空気等)③熱源(点火エネルギー) 燃焼の3要素
(1) 可燃性物質 (可燃物)
・酸化されやすい物質のすべて 可燃物/不燃物
(2) 酸素供給体 (支燃物)
・酸素、空気
(3) 熱源(点火エネルギー)
・火、電気、静電気、摩擦
3 燃焼の仕方
(1) 気体の燃焼
(2) 液体の燃焼
・=蒸発燃焼
(3) 固体の燃焼
①表面燃焼 木炭、コークスなど
②分解燃焼 木材、石炭、ブラスッチックなど
③蒸発燃焼 硫黄、ナフタレンなど
(4) 燃焼の難易
4 危険物の物性
(1)引火点
(2)燃焼点
(3)燃焼範囲 (爆発範囲)
・液体の表面の空気にどれくらい気体が混じっているか。
(4)発火点
・火花などを近づけなくても発火する温度 木材400℃、セルロイド180℃
(5)物質の危険性
・大きいほど危険な因子 燃焼範囲(爆発範囲)、蒸気圧、燃焼速度、燃焼熱
・小さいほど危険な因子 引火点、発火点、最小着火エネルギー、電気伝導率(静電気が溜まりやすい)、沸点、比熱、熱伝導率
5 自然発火
(1) 自然発火の機構
①分解熱による発熱:セルロイド
②酸化による発熱:乾性油、原綿、石炭、ゴム粉
③吸着熱による発熱:活性炭、木炭粉末
④微生物による発熱(発酵):たい肥、干しわら
(2) 自然発火の条件
①熱伝導率
②物質の堆積
③発熱量
④空気の流動
(3) 熱の発生速度
①湿度
②水分
③表面積
④酸・塩基
⑤古さと新しさ
6 混合危険
①酸化性物質と還元性物質との混合
②酸化性塩類と強酸との混合
③物質が互いに接触して化学反応を起こし、極めて敏感な爆発性物質をつくる場合
(1) 酸化性物質と還元性物質との混合
(2)酸化性塩類と強酸との混合
(3) 敏感な爆発性物質をつくる場合
7 水分との接触による発火
8 爆発
一般に爆発とは、急激なエネルギーの解放による圧力上昇とそれに起因する爆発音を伴う現象
(1)粉じん爆発
(2)可燃性蒸気の爆発(蒸気雲爆発)
(3)気体の爆発
(4)火薬の爆発
①混合危険性物質の爆発 1類
②爆発性化合物の爆発 5類
(5)水蒸気爆発
第2 消火理論
1 消火の三要素(消火の四要素)
①除去消化 ②窒息消火 ③冷却消化
2 消火方法
(1) 除去消火法
(2) 窒息消火法
①不燃性の泡で燃焼物を覆う方法
・泡消火剤=二酸化炭素
②不活性ガスで燃焼物を覆う方法
・砂など
(3)冷却消火法
・水 短所 油面を広げる可能性 電気火災の場合感電
(4) 抑制(負触媒)消火法
・フッ化メタンなど
第3 消火設備
1 危険物施設の消火設備
(1) 消火の困難性
(2) 消火設備の区分
①第1種消火設備(屋内・屋外消火栓設備)
②第2種消火設備(スプリンクラー設備)
③第3種消火設備(泡・粉末等特殊消火設備)
④第4種消火設備(大型消化器)
⑤第5種消火設備(小型消化器)
2 各種消火設備の概要
(1) 第1種消火設備(屋內屋外消火栓設備)
(2)第2種消火設備(スプリンクラー設備)
(3)第3種消火設備(特殊消火設備)
①水噴霧消火設備
②泡消化設備
③不活性ガス消火設備 酸欠の危険注意
④ハロゲン化物消火設備
⑤粉末消火設備
(4)第4種消火設備(大型消火器)
①消化器の種類
②能力単位
・A火災(普通火災)に適応するものは10単位以上、B火災(油火災)に適応するものは20単位以上
③消火剤の量
(5) 第5種消火設備(小型消火器)
①火災の区別
・A火災/B火災/C火災 普通火災/油火災/電気火災
・それぞれに対応可能な消化器が決まっている
②消化器の区分
ア 棒状及び霧状の水を放射する消化器
(ⅰ)水消火器
(ⅱ)酸・アルカリ消化器
・炭酸水素ナトリウムと硫酸からなる
イ 棒状及び霧状の強化液を放射する消化器
・炭酸カリウム アルカリ性 霧状の場合はB、Cに対応
ウ 泡を放射する消化器
(ⅰ)化学泡消火器 炭酸水素ナトリウムと硫酸アルミニウム A、Bに対応
(ⅱ)機械泡消火器
エ 二酸化炭素を放射する消化器
・B、Cに対応 消化器の外面は緑と赤
オ ハロゲン化物を放射する消化器
(ⅰ)ハロン2402消化器
・電気の不良導体なのでB、Cに対応
(ⅱ)ハロン1211消化器
(ⅲ)ハロン1301消化器
カ 粉末を放射する消化器
(ⅰ)粉末(ABC)消化器 リン酸アンモニウム A、B、C対応
(ⅱ)粉末(Na)消化器 炭酸水素ナトリウム B、Cに対応
(ⅲ)粉末(K)(Ku)消化器 炭酸水素カリウム、尿素 B、Cに対応
キ 簡易消化用具
・バケツ、水槽、乾燥砂、膨張ひる石又は膨張真珠岩
危険物の性質ならびにその火災予防及び消火の方法
第3章 危険物の性質に関する概論
主な危険物一覧表
類ごとの総括的性質
・第一類 酸化性個体 固体 そのもの自体は燃焼しないが、他の物質を強く酸化させる性質を有する固体であり、可燃物と混合したとき、熱、衝撃、摩擦によって分解し、極めて激しい燃焼を起こさせる 塩素酸塩類など
・第二類 可燃性固体 固体 火災によって着火しやすい固体又は比較的低温(40℃未満)で引火しやすい固体であり、燃焼が早く消化することが困難である 硫化リンなど
・第三類 自然発火性物質及び禁水性物質 液体又は固体 空気にさらされることにより自然に発火し、又は水と接触して発火し若しくは可燃性ガスを発生する カリウム、ナトリウムなど
・第四類 引火性液体 液体 液体であって引火性を有する ガソリンなど
・第五類 自己反応性物質 液体又は固体 固体又は液体であって、加熱分解などにより、比較的低い温度で多量の熱を発生し、又は爆発的に反応が進行する ニトログリセリンなど
・第六類 酸化性液体 液体 そのもの自体は燃焼しない液体であるが、混在する他の可燃物の燃焼を促進する性質を有する 過酸化水素、硝酸など
第4章 危険物の類ごとの各論
第1 第一類の危険物
1 共通する特性
2 共通する火災予防の方法
3 共通する消火の方法
第2 第二類の危険物
1 共通する特性
2 共通する火災予防の方法
3 共通する消火の方法
第3 第三類の危険物
1 共通する特性
2 共通する火災予防の方法
3 共通する消火の方法
第4 第四類の危険物
1 共通する特性
(1)いずれも引火性の液体。危険物の蒸気は、空気との混合物をつくり、火気等による引火又は爆発の危険あり。
第四類の危険物の蒸気と空気の混合物、混合割合がある範囲内のときだけ燃焼(爆発)します。この範囲で危険物の蒸気の含有率が最小のものを燃焼(爆発)下限値(下限界)、最大のものを燃焼(爆発)上限値(上限界)、その間を燃焼範囲(爆発範囲)という。燃焼下限界が低いもの、燃焼範囲が広いものほど危険性が高く、また沸点、引火点が低いものほど蒸気が発生しやすく引火の危険性が高まります。
(2)蒸気比重が1より大きい。(空気より重い。)
第四類の危険物の蒸気比重は1より大きく、その蒸気は低所に滞留し、又は低所に流れます。このため、遠く離れた場所(特に風下側)にある火源により引火する危険性があります。
(3)液比重が1より小さく、水には溶けないものが多い。
第四類の危険物の多くは、液体の比重が1より小さく、水より軽く、アルコール類等一部の物品を除いて、水には溶けません。したがって流出した場合、水の表面に薄く広がり、その液表面積が大きくなり、火災となった場合には、火災範囲が非常に大きくなり、延焼等の拡大危険があります。また、霧状となって浮遊する場合は、空気との接触面積が広くなり危険性が増大します。
(4)電気の不良導体である。
第四類の危険物は、電気の不良導体であるものが多く、このような物品は、静電気が蓄積されやすくなります。蓄積された静電気が放電するとき、発生する火花により引火することがあります。したがって、このような物品が流れる配管、ホース等は、接地する等静電気の発生を除去する措置を講じる必要があります。
※発火点の低いものがある。 二硫化炭素90℃、アセトアルデヒド175℃、ジエチルエーテル160℃
※有毒な蒸気を発生するものがある
2 共通する火災予防の方法
(1)炎、火花、高温体等との接近又は加熱を避けるとともに、みだりに蒸気を発生させないこと。
(2)容器は、密栓をして冷暗所に貯蔵すること。密栓する場合は容器内に空間容積をとる
(3)蒸気が発生するような取り扱いをする場合は、可燃性蒸気は低所に滞留することから、低所の蒸気を屋外の高所に排出するとともに、十分な通風、換気を行い、常に燃焼範囲の下限界よりも低くすること。
(4)可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所では、火花を発生する機械器具などを使用しないこと。著しく可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所の電気設備は、防爆性のあるものを使用すること。
※危険物の流動等により静電気が発生する。
3 共通する消火の方法
(1)第四類の危険物の消化では、可燃物の除去や冷却による方法が困難であるので、空気の遮断による方法(窒息消化)が用いられます。消化に使用される消火薬剤としては、霧状の強化液、泡、ハロゲン化物、二酸化炭素、粉末等があります。液比重が1より小さい危険物の火災に注水すると、危険物が水に浮いて火災範囲を広げるので、水による消化は適当ではありません。
(2)アルコール、アセトン等の水溶液の液体は、泡消火剤が形成する泡の水膜を溶かすため、泡が消滅しやすくなります。そのため、これら水溶性の液体の消化には、普通の泡消火薬剤ではなく水溶性液体用泡消化薬剤(耐アルコール泡)を使用します。
4 品名ごとの各論
(1) 特殊引火物
・指定数量50L ジエチルエーテル、二硫化水素のほか、1気圧において発火点が100℃以下のもの又は引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものをいう。
・ジエチルエーテル 引火点、発火点が低い 静電気を発生しやすい
・二硫化炭素 揮発性が高く、非常に引火しやすい 比重が水より大きく水に難溶であることを利用し、二硫化炭素の上に注水し揮発を防ぐ水没貯蔵方法が用いられる。引火した場合は大量の水による消火を行う。燃焼により二酸化硫黄 (SO2)を発生するのでそれに対する注意も必要である。
・アセトアルデヒド 貯蔵する際は窒素ガス等の不活性ガスを封入 消化は耐アルコール泡
・酸化プロピレン 重合する性質があり、その際熱を発生し、火災、爆発の原因となる
(2) 第一石油類
・アセトン、ガソリンのほか、1気圧において、引火点が21℃未満のものをいう。
a) 非水溶性液体
・指定数量200L
・ガソリン 極めて引火しやすい 蒸気は空気より約3-4倍重いので低所に滞留しやすい 静電気を発生しやすい 火気を近づけない、火花を発する機械器具などを使用しない、通気、換気をよくする、冷暗所に貯蔵する、容器は密栓する、静電気の蓄積を防ぐ 泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物により窒息消火する
・ベンゼン アルコールなどによく溶ける 蒸気の毒性
・トルエン
・n-ヘキサン
・酢酸エチル
・エチルメチルケトン 塗料溶剤など
b) 水溶性液体
・指定数量400L 1気圧において、温度20℃で同容量の純水と緩やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまった後も当該混合液が均一な外観を維持するもの
・アセトン 常温で高い揮発性を有し、強い引火性がある マニキュア落とし
・ビリジン
・ジエチルアミン
(3)アルコール類
・指定数量400L 炭化水素化合物の水素(H)をヒドロキシ基(OH)で置換した形の化合物をアルコール類という。これは1価アルコールのみではなく多価アルコールも含むが、消防法では炭素数3までの飽和1価アルコール(変性アルコールを含む)を対象としている。アルコール類の炭素数が増加すると、蒸気比重は大きくなり、引火点、沸点は高くなる。
・メタノール(メチルアルコール) 引火点11℃ 毒性 燃焼しても炎の色が淡いため認識しづらい。 耐アルコール泡消火薬剤 粉末の消火器、二酸化炭素、砂
・エタノール 酒、溶媒、消毒
・n-プロピルアルコール 食品添加物や香料
・イソプロピルアルコール 溶剤、消毒
(4) 第二石油類
・灯油、軽油のほか、1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のもの
a) 非水溶性液体
・指定数量1000L
・灯油(ケロシン) 引火点40℃以上 蒸気比重4.5 ガソリンと混合させないこと 一酸化炭素中毒に注意
・軽油(ディーゼル油) 引火点45℃以上
・クロロベンゼン
・キシレン
・n-ブチルアルコール
(5) 第三石油類
・重油、クレオソート油ほか、1気圧において、温度20℃で液状であり、かつ引火点が70℃以上200℃未満のもの
a) 非水溶性液体
・指定数量2000L
・重油 火災になると液温が高くなり消化が困難になる
・スロップオーバーとボイルオーバー タンクから溢れ出る現象
・クレオソート油
・アニリン
・ニトロベンゼン
b) 水溶性液体
・指定数量4000L
・エチレングリコール 比重水より重い 引火点111℃ 発火点398℃
・グリセリン 保湿剤
(6) 第四石油類
・指定数量6000L ギヤー油、シリンダー油のほか、1気圧において温度20℃で液状であり、引火点が200℃以上250℃未満のもの
・引火点は高いが、いったん火災になると消化が困難 窒息消化が基本
(7)動植物油類
・指定数量10000L 動物の脂肉、植物の種子もしくは果肉から抽出 1気圧において引火点が250℃未満のもの
・乾性油とよばれるアマニ油やキリ油などは条件によって自然発火することがある 空気中放置による酸化のため
5 第四類危険物の事故事例
・事故事例1 給油所で灯油用20Lポリエチレン容器に誤ってガソリンを入れてしまう 対策→ガソリンは金属製携行缶10kgまで ガソリンはオレンジ色
・事故事例2 接続部付近から油が滲み出していた 対策→常に点検、清掃 下部ピットはモルタルなどで防水措置
・事故事例3 満杯のタンクに重油を誤って入れてしまった 対策→確認あるのみ
・事故事例4 タンク腐食による漏洩 対策→始業時、終業時タンク点検、一定期間ごとに気密試験 耐用年数に注意
・事故事例5 軽油入れすぎによる流出 対策→事前確認の徹底 常時レベル監視
・事故事例6 灯油18L入ポリタンクノズルをつけたまま運送中転倒流出 対策→必ず密栓、転倒防止 安全運転
・事故事例7 ガソリンを金属製漏斗で移し替え中静電気発生により引火火傷 対策→ガソリン容器は金属製で接地(アース)する 静電気を逃がすため散水 ゆっくり注入 通風・換気注意 着衣にも注意 湿度を上げる
・事故事例8 タンク解体中に爆発 タンク内に可燃性蒸気が除去しきれていなかった 溶断の際の火花で引火 対策→清掃しまず水を充填すること
・事故事例9 タンク流入時静電気で爆発 対策→静電気発生を防ぐため流速を遅くし、必ずアースする
・事故事例10 ガソリンを容器詰め替え中 付近の石油ストーブに引火 対策→絶対に火気を近づけないこと 通風・換気のよい場所 容器は金属製でアースすること
第5 第五類の危険物
1 共通する特性
2 共通する火災予防の方法
3 共通する消火の方法
資料
主な参考文献
各種の法則等
索引
11/10読了