マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【イベントメモ】「スナック社会科横浜映画祭」@NAKED LOFT YOKOHAMA

企画:サトマキ 企画協力:春日そら

第一部『不安の正体 精神障害者グループホームと地域』上映&トーク【出演】飯田基晴監督、佐々木健

精神障害者グループホーム 施設コンフリクト。
宮崎勤事件、酒鬼薔薇事件などの特異事例が大きく報道されることの影響
精神障害者は犯罪率が高い、裁判で無罪になる→統計的に間違い 偏見
精神障害者は自分を責めてしまう またはせいぜい関係の深い家族にあたる 赤の他人を攻撃することは殆ど無い 
自閉症の人はこだわりが強いことはあるかも
・ツールとしての映画。実用的な映画。説得力がある。観ればわかる。知れば考えが変わる。
・なぜ住民がここまで自分達の利益しか考えないのか?助け合いの精神のなさ。
・運営側が反対運動からも謙虚に学ぶ姿勢。志の高さ。

第二部『華のスミカ』上映&トーク【出演】林李隆太監督、ぼうごなつこ

・1859年横浜開港 欧米人に付き添った買弁(中国人商人や取引仲介者)理髪店、衣料品店、料理店
・1949年 中華人民共和国成立
・1952年 日華平和条約発効 中華民国と国交回復
・1972年 日中国交正常化 → 日華平和条約失効(中華人民共和国を中国の唯一の合法政府と承認したため)
・1952年「学校事件」。学校と華僑総会が分裂。
・横浜中華学院=台湾系、中華街の中 横浜山手中華学校=中国系、石川町駅
・「台湾解放」というスローガンを声にし、横浜中華街を練り歩く紅衛兵 文化大革命
・ルーツを巡る旅
・近いけど知らない。
・子供は無邪気。
・「在日」という言葉の心地悪さ。
・監督の穏やかさが、2つのコミュニティの分断をゆるやかに繋ぐ
大坂なおみや八村塁の存在の心強さ
・『Hoop Dreams』『CUT RUNS DEEP』
 
◆感想:1部は会場で、2部は翌日配信のアーカイブで視聴した。
『華のスミカ』途中おそらく10分ほど見逃してしまったので、機会があれば再度ちゃんと観たい。
ネイキッドロフトが横浜に移転して、なにかいいイベントがあれば行ってみたいと思っていたところ、
横浜の社会問題を扱うということで興味があり初めて行ってみた。
 
『不安の正体』精神障害者グループホームの暮らしがよくわかった。なかなか入る機会のないところ。
丁寧にデータを示して、精神障害者に対する不安が偏見であることを説明している。
それまでの精神障害者の施設が「座敷牢」に例えられるような閉鎖的で暗い施設。
対象的に、グループホームでは明るくみんなで食事し話し合うことで、症状が緩和される。
反対運動についてはどうも横浜川崎町田あたりのニュータウンの無機質で潔癖症のような、ニュータウンの悪いところが出てるように感じた。
どうして日本のコミュニティから「助け合い」の精神が失われたのかという問題。だれもが精神的余裕がない状態。
 
『華のスミカ』配信で観たので見にくかったが面白い映画だった。
韓国と北朝鮮の分断のことはよく取り上げられるが、中華人民共和国中華民国の分断については自分はあまり考えていなかった。
それが横浜の中華街で起こっていたことを知る驚き。なんとなく中華街は一枚岩のように思っていたので認識が変わった。
監督は中華人民共和国系の華僑4世として、自らのルーツを調べていく。
この映画は国籍、国とは何かといったものがテーマになっていると思う。
中華学院の美術の先生の「子供にはイデオロギーは関係ないのだから、本当は2つの学校で交流して催しをしたい」という発言が印象的。
分断統治は統治技術の基本のキだが、自分は東西冷戦は地球規模のそれなのではないかと考えている。外に敵を作ることで、内政の不満から目をそらすことができる。支配層の都合なのだが、それによって人間同士が憎み合ってしまうことは不幸だ。
 
イベントを通して企画者のお二人の熱意に感心した。
横浜はこういう文化活動・社会活動不毛の地だと思っていたので、このようなイベントを企画してくれた主催者と登壇者のみなさんに対して尊敬&感謝したい。