マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【イベントメモ】『安倍「国葬」に反対する歌舞音曲と討議の集い』@江古田BUDDY

目次

太陽肛門スパパーン featuring 林栄一・竹田賢一・DARTHREIDER

・韻踏み夫note「ある一日に乾杯する」 
酒井隆史『暴力の哲学』「暴力はいけません」→「暴力はいけない、だから、暴力を憎むのだ、暴力をふるう者を憎むのだ、暴力をふるう者の抑止が必要だ、だから暴力もやむをえない」
・不謹慎、いいこと/悪いことなどの規範のヘゲモニーを握りコントロールすることが権力の統治技術
マルコムX=ごく当たり前の事実を言うこと。
友部正人「乾杯」
放送禁止歌 タブーを決める権力 単なる事実を言えないこと
東京オリンピックの醜さ
・山上徹也の家族、兄妹の物語

討議 太田昌国/宮台真司DARTHREIDER/竹田賢一/曽我部恵一

太田昌国

・安倍が力を持ったきっかけは官房副長官時代、小泉の北朝鮮訪問に随行し、拉致問題で強硬な姿勢をとったこと。しかし実際は被害者家族のことなど一切考えていなかった。

宮台真司

・山上事件のキーワードは自力救済。国家・司法が機能しないとき自力救済しかなくなる。
・各国でも国家に対する信頼が地に落ちている。中国は監視カメラと信用スコアで国民監視。信用スコアが高すぎるやつは信用するなという知恵。
竹中平蔵安倍晋三らの新自由主義新自由主義ではない。既得権益を軽くする改革。その象徴がロスジェネの非正規化。
・現代のキーワードは埋め合わせ。みんな個人化して、みんな不安。ネトウヨもクソフェミも思想ではなく神経症の症状。孤独・不安の埋め合わせとして精神安定剤のように使っているだけ。
・鍋パーティ問題。安倍晋三もかつてはノンポリだった。最初に鍋を囲んだ陣営に結局は入ってしまう。新興宗教もそう。不安の埋め合わせ。

DARTHREIDER

・日本は民主主義社会ではない。沖縄で何度も辺野古反対の民意が示されても、何も変わらない。他の国民の連帯もない。

竹田賢一

・英エリザベス女王国葬に騙されるな。植民地支配を反省することはない。

曽我部恵一

・子供たちの「安倍さん可哀想」の素直な声。
・加藤智大の「人生ファイナルラップ」について。彼がもしラップをしたら、なにか自分のなかで発散されるもの、変わることがあっただろうか?

曽我部恵一

・シングルファーザー子育ての大変さ。赤ちゃんのいい匂い。

友部正人

・渋谷は変わりすぎて、もう自分の知っている渋谷ではない。

【読書メモ】磯部涼『令和元年のテロリズム』(新潮社 2021年)

目次

まえがき

・令和元年=2019年5月1日から 平成31年
・平成元年→3月女子高生コンクリート詰め殺人事件、7月連続幼女誘拐殺人事件宮崎勤逮捕、11月坂本堤弁護士一家殺人事件

第1章 川崎殺傷事件

・=川崎市登戸通り魔事件 2019年5月28日 2人死亡 18人負傷 犯人も首を切り自殺
・外務省 小山智史 ミャンマー語通訳担担当官
川崎市多摩区登戸新町 カリタス小学校 スクールバス停留所 登戸第1公園
トランプ大統領日本滞在最終日
・犯人 岩崎隆一 51歳 川崎市麻生区多摩美 テレビ プレイステーション4 『バイオハザード』『ドラゴンクエスト』 引きこもり20年
・昭和55年(1980年)金属バット両親殺害事件 川崎市高津区宮前平 川崎北部問題、ニュータウン問題 一柳展也 エリート家庭の悲劇
・高度経済成長期に誕生したニュータウンは、もともと理想のライフスタイルを体現する空間として見られていたが、次第に清潔で均質的であるが故に、非人間的かつ病理が巣くう空間として見られるようになっていった TBSドラマ『岸辺のアルバム
・平成9年(1997年)神戸市須磨区 酒鬼薔薇聖斗事件
麻生区多摩美 昭和32年(1957年)宅地開発、34年入居 島田雅彦近所『君が異端だった頃』 はしりは庄野潤三夕べの雲
・岩崎 両親が離婚 祖父母と同居するが 父親が蒸発 
・町田の雀荘勤務 → 多摩美に戻り伯父夫婦と3人暮らし
・2月に町田で包丁購入 動機が見えない 人柄が全く見えてこない
小熊英二『平成史』「平成」時代を象徴する言葉に「先延ばし」を挙げる。
★「1975年前後に確立した日本型工業社会が機能不全になるなかで、状況認識と価値観の転換を拒み、問題の「先延ばし」のために補助金と努力を費やしてきた」。「老朽化した家屋の水漏れと応急修理のいたちごっこにも似たその対応のなかで、「漏れ落ちた人びと」が増え、格差意識と怒りが生まれ、ポピュリズムが発生している」。「だが「先延ばし」の限界は、もはや明らかである」。
・引きこもり7040/8050問題は先延ばしと限界の典型
・「一人でしね」の声→次の事件につながる

第2章 元農林水産省事務次官長男殺害事件

・令和元年(2019年)6月1日 東京都練馬区早宮 熊澤英明(76歳)が息子熊澤英一郎(44歳)を殺害 元農林水産省事務次官 BSE狂牛病)問題を対応 アメリカ大使館書記官やチェコ大使
twitterアカウント ”ドラクエ10ステラ神DQX(熊澤栄一郎)”
・神崎ひろみ pixiv HP 聖殻の神殿
・「産んでくれなんて頼んでない」 母がエルガイムMK-Ⅱのプラモデルを壊した 小学生から高校までいじめ被害者 中学から家庭内暴力
ドラクエXまとめサイトの”ヲチ”対象であるとの被害妄想
・父 江戸京介 mixiエド京” ゴミ出しや散髪の催促
統合失調症 ネトウヨ 父とコミケ出店
ドラクエXプレイ中に亡くなる キャラは棒立ち 「ザオラル
ドラクエ「相方」

第3章 京都アニメーション放火殺傷事件

・令和元年7月18日午前10時半 京阪六地蔵駅 伏見区桃山町因幡15番地 京都アニメーション第1スタジオ 社員36人が死亡、33人が重軽傷 ガソリン携行缶
模倣犯 株式会社カラー、あいちトリエンナーレ2019へ脅迫
・青葉真司 「京アニに小説をパクられた」 2009年<京都アニメーション大賞>へ投稿
・「週刊少年ガソリン」NHK陰謀論
・青葉 近畿大学病院「熱傷センター」 「人からこんなに優しくしてもらったことは今までになかった」
さいたま市見沼区O町アパート 隣の住人と騒音トラブル『こっちは余裕ねぇんだよ!』
茨城県常総市S町 埼玉県さいたま市緑区N町 北関東ののっぺりとした風景に半ば閉じ込められていた 貧困家庭
・埼玉県庁文書課非常勤→コンビニアルバイト 両親離婚 祖父、父とも自死 妹も自死 除霊
・下着泥棒で逮捕 執行猶予判決 常総市雇用促進住宅 郵便局の配達 → コンビニ強盗 → 自首 部屋はハンマーで破壊されていた 3年数ヶ月の刑期 → さいたま市浦和区K町更生保護施設<S寮>
・『響け!ユーフォニアム京アニ ”日常系” なんでもない日常、なんでもない風景を繊細に描くことで輝かせる
・7/15新幹線で京都へ 木幡の京アニ本社と第1スタジオを下見 市内のホテルに泊まる 16日インターネットカフェに2時間 また現場下見 同じホテルに泊まる 17日 宇治市のホームセンターで台車や携行缶バケツなど購入 伏見区桃山町桃山舟泊公園で野宿

第4章 元農林水産省事務次官長男殺害事件裁判

統合失調症アスペルガー症候群 時代の変化の現れ
アスペルガー症候群は発達障がいの一つで、社会性・コミュニケーション・想像力・共感性・イメージすることの障がい、こだわりの強さ、感覚の過敏などを特徴とする、自閉症スペクトラム障がいのうち、知能や言語の遅れがないものをいう。
アスペルガー ゲーム依存、ゴミが片付けられない 病院でゲームがやりたくて看護婦に対して興奮
・障害者問題 「子殺し」問題 <全国青い芝の会> 横田弘『障害者殺しの思想』 障害=不幸という社会設定
・家庭の中で抱え込まず、外部(福祉、支援団体など)と繋がること
・懲役6年の求刑 不服として控訴

終章 令和元年のテロリズム

武漢新型コロナウイルスパンデミック。台風水害被害者に配慮し、10月22日に予定されていた祝賀御列の儀が延期。
・安倍→菅義偉総理誕生”自助・共助・公助”
平成31年4月19日12時25分頃 池袋駅東口グリーン大通り首都高5号の高架下の交差点 飯塚幸三夫妻 トヨタ・プリウス 死亡者2人 負傷者9人 高齢ドライバー問題 ”上級国民”
・”上級国民”批判=階級闘争的ではなく、むしろ働かずお金を得ていることに対する批判 自己責任論的批判 在日韓国人生活保護受給者バッシングなどと同じカテゴリ
・みんな余裕がなくなってきているのは確か アノミー状態 3つの犯罪にもそれだけは現れている 

あとがき

・川崎北部や北関東、京都郊外ののっぺりとした風景
・この社会を良くすることはできるのか?

参考

転載>終わりなき日常の終わり:京アニ放火事件の土壌 - 271407
・純丘曜彰 大阪芸術大学 哲学教授
ジュブナイル(少年期)アニメ
・『うる星やつらビューティフル・ドリーマー』。学園祭前日を延々と繰り返す。
・「学園物は、この中高の共通体験以上の自分の個人の人生が空っぽな者、いや、イジメや引きこもりで中高の一般的な共通体験さえも持つことができなかった者が、精神的に中高時代に留まり続けるよすがとなってしまっていた。それは、いい年をしたアイドルが、中高生マガイの制服を着て、初恋さえ手が届かなかったようなキモオタのアラサー、アラフォーのファンを誑かすのと似ている。」
・「終わりの無い学園物のアニメにうつつを抜かしている間に、同級生は進学し、就職し、結婚し、子供を作り、人生を前に進めていく。記号化されたアニメの主人公は、のび太もカツオも、同じ失敗を繰り返しても、明日には明日がある。しかし、現実の人間は、老いてふけ、体力も気力も失われ、友人も知人も彼を見捨てて去り、支えてくれる親も死んでいく。こういう連中に残された最後の希望は、自分も永遠の夢の学園祭の準備の中に飛び込んで、その仲間になることだけ。」
・「人生がうまくいかなかった連中は、その一発逆転を狙う。だが、彼らはあまりに長く、ありもしないふわふわした夢を見させられ過ぎた。だから、一発逆転も、また別の夢。かならず失敗する。そして、最後には逆恨み、逆切れ、周囲を道連れにした自殺テロ。」
・「いくらファンが付き、いくら経営が安定するとしても、偽の夢を売って弱者や敗者を精神的に搾取し続け、自分たち自身もまたその夢の中毒に染まるなどというのは、麻薬の売人以下だ。まずは業界全体、作り手たち自身がいいかげん夢から覚め、ガキの学園祭の前日のような粗製濫造、間に合わせの自転車操業と決別し、しっかりと現実にツメを立てて、夢の終わりの大人の物語を示すこそが、同じ悲劇を繰り返さず、すべてを供養することになると思う。」

要約・感想

◆要約:令和元年に起こった3つの事件を調べ、時代の雰囲気を考察する。小熊英二『平成史』の「先延ばしの限界」がキーワード。
◆感想:なかなか面白かった。一気に読めた。
もともと犯罪事件のルポルタージュは好き。『秋葉原事件』『三浦和義事件』など。
犯罪を通してその時代を考えることは普遍性のある方法だと思う。
小熊英二の平成日本を表すキーワード「先延ばし」と、令和でのその「先延ばしの限界」は正鵠を得た指摘だと感じた。
 
3つの事件の概要はわかったが、1件目と3件目の事件は最終的な犯行規模が飛躍し過ぎていて現実感がなく、動機の謎は深まるばかり。
平成で日本の経済状況がじわじわ悪くなったので、犯罪も比例して悪くなっているという感想。
そしてアメリカでは銃乱射事件が日常茶飯事化。
犯罪原因の基本のきは経済格差問題なのだから、資本の抵抗を跳ね返して、格差縮小政策を政治目標としてやるべきだ。
 
独身中年男女の生きづらさ。「お前には価値がない」という無言の圧力(安冨歩言うところの微分化された暴力)を社会から浴び続ける。
あとは街のジェントリフィケーションというか、無機質で人間の交流を生まない街づくり、住宅政策をやめること。
人の精気を吸い尽くすような町、住宅に住んでいたらそれは現状の1億総鬱状態になる。どうやって活気を取り戻していくか?祭りなども復活し盛り上げていくこと。
社会の「規範」をコントロールすることこそが権力であるというグラムシヘゲモニー論やフーコーディスクール論の分析。
今の経済的価値一辺倒の日本の価値観をひっくり返し、生命力を取り戻していくこと。
 
あと、これらの事件では『ドラゴンクエストX』や『響け!ユーフォニアム』などが出てきて、文化は人を救っているのかという考察が出てくる。
そこで思い浮かんだのが、大阪芸術大学純丘曜彰教授の論考。当時「いま言うことか」と大バッシングされてしまったが、自分は勇気ある大切な指摘だと感じた。ゲームやアニメが麻薬の役割を担ってはいないか?甘やかし過ぎではないか?文化にも強さが求められると思う。

【読書メモ】安彦良和『革命とサブカル』(言視舎 2018年)

目次

はじめに

・現代という時代の当事者達は、若干甘ったれているのではないか。現代という時代の位置づけをしっかりとすることもなく、ただなんとなく「嫌な時代だ」と鬱な気分になっているのではないか。末世的な危機がやってくると、のべつふれ回る狼少年になっているのではないか。
・「カウンターカルチャー」→「サブカルチャー」面白ければなんでもよい。今風に言えばともかく「イケてない」ものは駄目で、その”駄目”の筆頭が「政治」だった。

第1部 対話

諸兄へ

・時代体験を語ることの難しさ。体験を発酵させる時間が必要。

青砥幹夫氏(元弘大全共闘連合赤軍

[第1回]▶弘前から赤軍派へ――「戻れない」という感覚

・23年の獄中生活
・父親が満州終戦。家族全部餓死。
赤軍派=「前段階武装蜂起」
・「目的のためには人を殺していい」が一線を超えたポイント

[第2回]▶ 「総括」を総括する

スターリン主義に呑み込まれた。スターリン主義を忍び込ませるものがあった。
スターリン主義というのは、人間の弱さを利用する ブハーリンにしてもトハチェフスキーにしても、徹底的に弱さを衝かれると敗北してしまう。

[第3回]▶われわれは何を目指していたのか?

・世の中は革命の方向には向いてないけれども、ひじょうに真面目で、社会の末端からどのように社会を改良していくかという考えを持った人がいっぱいいるんだっていうことですよ。それはたぶん全共闘世代が、たとえば部落の問題とか、あるいは女性解放の問題とか、いろんなところに散らばっていて、そこで活動しているということと通じるところがある。
・社会の末端で良心を発揮していこうという方向
サブカル=脱政治 サブカルの萌芽は新左翼運動の中にそもそもあった
大塚英志オウム事件というのは、オタクの連赤だ」
レーニン主義=外部注入論=正しい認識を持った前衛党が労働者大衆を先導する
・メンシェビキ/ボルシェビキドイツ社会民主党ロシア社会民主労働党ブルジョア革命/プロレタリア革命
ロシア革命のスローガン=「パン・土地・平和」
プルードン主義=理想主義的→マルクス主義=科学的
サブカル世代=50代と40代(2015年当時)。2015安保闘争の時に全く動かなかった世代。

植垣康博氏(元弘大全共闘連合赤軍

[第1回]▶「革命戦士」植垣康博弘前時代

・地質学 理学部
・10.21新宿騒乱で逮捕 1年2ヶ月 その間に本を読み考える これが大きかった

[第2回]▶連合赤軍の「語り部」の現在

・永田の獄中での保護者の役割『十六の墓標』『続・十六の墓標』の編集。
・総括がエスカレートしていく
・一気に進行しちゃって、さっき言ったみたいに、いろいろ考えてる暇はなくて。自分たちがやってることは一体なんなのかという問題をずっと抱え込んだままいた
・1933年日本共産党スパイ査問事件 宮本顕治ら 小畑達夫「ショック死」これが連赤に繋がる
永田洋子 チェーホフの『かわいい女』 頼る男が変わることによって、考え方から何から全部変わっちゃう
・ネップ=ソ連戦時下における商品経済の活用
・「農村への回帰」が行き過ぎた
・「我々」から「わたし」へ
・1970年12月コザ暴動の影響が大きかった
・当時、なんで植垣は武装闘争の世界に入っていったんだと言われるけども、いろんな革命論や軍事論が出てたけど、そんなもの所詮机上の空論でしかない。それが正しいかどうかも含めて、やってみなけりゃわからんだろうと、それが僕のゲリラ戦に、武装闘争にかかわっていく動機ではあった。加藤登紀子さんの夫である藤本敏夫さんが亡くなったとき、葬儀後、左翼のブント系だけの三次会かな、があって、僕も参加したんです。そのとき、「当時、わたしにとって重要なのは、実際に行動することだった」と。「とにかくやってみなくちゃわからん時代だった。それがああいう展開になってしまった」と挨拶をした。そうしたら、塩見孝也がいきなり僕に向かって「人を殺すこともそういうことか!」と言ったわけ。「おめえに言われたくねえな」って思ったね。
・安倍政権=戦前日本を復活させんとする勢力 当時の日本にはびこっていた排外的で犯罪的で残虐な勢力が亡霊の如く徘徊しています。

西田洋文氏(元弘大全共闘)▶土佐の人間はね、人を見て決めるんだよ

・前作参照

日角健一氏(元弘大全共闘)▶「時代の申し子」だったかな

・電報が届く「決戦迫ル.安田講堂ニ結集セヨ」
安田講堂では正面に向かって左側の三階か四階にいて、石とか火炎瓶を投げていたんだけど、二日目には放水が激しくなるんだよ。その放水をベニヤ板で防ぐわけよ。それですごく印象に残っているんだけど、滝浦がベニヤ板で放水を防いで、頭からズブ濡れになりながら、「俺たち、これで本当にベトナム人民と連帯できたな」って言ったんだよ。あの光景は忘れられないね。
・中野刑務所に1年2ヶ月拘留 その間にトロツキーの『わが生涯』と『1905年革命結果と展望』を読んだ
三里塚 71年2月 第一次代執行阻止闘争 学生インターのキャップが相米慎二
日本板硝子 組合活動
・78年3.26 三里塚 管制塔占拠
労働組合の分断 御用組合
・徹底的な非暴力、自衛のための戦争にも反対する

工藤敏幸氏(元弘大全共闘)▶ふり返らない「生き方」

・『左翼はどこに行ったのか?』(2009年 宝島SUGOI文庫)
都はるみ「ムカシ」作詞:阿久悠

鎌田義昭、鎌田かな子、須藤幹夫氏(元演劇集団「未成」)▶「とんがった」存在の意味

・前衛的演劇集団「未成」教室占拠 弘大演劇部 最初は社会主義リアリズム
・そのころ東京 小劇場運動 寺山修司唐十郎 ベ平連
・高文連 高校生演劇全国大会
ベケット、イヨネスコ、ブレヒト
麿赤兒土方巽
・「その前、そいつが芝居をやるから観に来いっていうから行ったんだけど、「小難しいことをやってやがるな」という感じで、なんにもわからなかった。それで「十個あったら」っていうのを聞いて、アングラに対する劣等感が一発で消し飛んだね。かなりコンプレックスがあったわけ。
そのときおれは”良い子のためのアニメ”をやってたから(笑)。つまり「アングラ=難解」ってことに、それだけで陶酔してたやつがたくさんいたんだよ。とがったふりというかね、気分というか。そういうのが時代とともに剥げ落ちていくのは、ひとつの趨勢だと思う。でも、みんな消えちゃだめだろうっていう気がするんだよね。」
・旧劇/新派/新劇 アングラ演劇→小劇場
・結局、食えなくてみんなやめていく
・中澤:時代も完全に一致してるんですよ。84年で国鉄解体の方向が決定するじゃないですか(87年にJR各社に分割民営化)、80年くらいでガラッと変わってくる。それ以前の高度成長がいっさい終わって、総評の解体も含めて、日本の社会体制が全部変わるのが80年から85年の間、中曽根政権のとき。あのへんが時代の分かれ目みたいな気がする。その過程は、ひとりひとりがバラバラにされていく過程と一致している。歴史的には、60年代後半からの動きがなくなっちゃった。
・80年代ポストモダン=脱思想 
・思想といっしょに「痩せ我慢」もどっかへ行っちゃったんだよ。ウケちゃいけないというような。
ウケてなんぼというところに焦点を置くと、それだと世間と矛盾しないじゃないですか。私がやってるときは、世間的にウケちゃうと体制側に迎合してることになるというくらいの感じだったから。いま考えたら、なんてしんどい方向にいったんだろうって思うところがありますけど。でもそうやって、いきがって、とんがってたということなんですよね。
社会主義リアリズムは感性として受け入れられなくなった。「違うな」と。それに対して、たとえばサルトルを読み始めたりして、実存主義に対して「こっちだな」という感じはありましたね。
清水邦夫作、蜷川幸雄演出『鴉(カラス)よ、おれたちは弾丸をこめる』(71年)演者が千秋楽の3日後に銃撃事件を起こしてしまう。→なにかがひとつ終わった
ブレヒト「異化効果」。同化・共感させるのではなく、むしろ違和感を感じさせるのが目的。
・だからカルチャーの力ってなんなのさっていうことですよ。経済的に力があってこそのカルチャーというのは、それは相当違うと思うわけですよ。じゃあカウンターカルチャーってなんなのよ、カルチャーじゃないのかってこと。経済的にはゼロでもかまわないというのが、カウンターカルチャーでしょ。それが、いまの論法でいうと、当然消えるべくして消えちゃうわけ。それはやばいんじゃないのと思うけどね。
・「セカイ系」→「ナロウ系」 努力なし。才能が天から降ってくる。
・儲かる芝居をやっているわけではないから、やっぱり疲弊していく。でも反面教師だとしても今の演劇界に何事かは残せた。

蟻塚亮二氏(精神科医)▶弘大出身精神科医のラジカルな行動と意見

・みんなが社会的な情熱みたいなものを託す場所を模索していた
・民医連 共産党 津川武一
・沖縄 島成郎
マッカーサーに対して「東西冷戦が始まるので、沖縄を向こう50年くらい軍事基地に使ってください」と、天皇が戦犯訴追から逃れるためにメッセージを送った。つまり昭和天皇の思惑は米国の戦後軍事プランと一致していた。そこでマッカーサーが「日本の平和憲法は、沖縄の軍事基地があって初めて成立する」と言うわけだよ。憲法9条、平和憲法というのは、沖縄を犠牲にしたから成立するわけですよ。
・私は、護憲というのは護憲神話だと思っているから、「9条にノーベル賞を」なんてバカじゃないかと思いますね。護憲リベラル派には、そういう「日本ファースト」みたいなところがあるじゃない。「日本は平和国家で世界の理想」だとか、「9条の精神を世界中に普及させなきゃいけない」と。バカやろうって思うね。てめえら戦犯の国、戦争加害者は、アジアの国に対してもっと謝罪しなきゃいけない。友好を結ばなきゃいけない。そこの精神が抜けてしまっている。

氷川竜介氏(アニメ研究家)▶サブカルの行方――アニメを中心に

・「セカイ系」→「日常系」→「なろう系」 世界すら要らなくなった 「小説家になろう」というサイト 
・「チート」「無双」「俺TUEEE」
・「シラケ世代」≒「新人類」≒「おたく第一世代」
セカイ系=個人と世界があり、間の社会がない 新海誠 
・「葛藤」がない 癒やし
・承認欲求の渇望 SNS
・70年代以降、「テレビ」の影響力の大きさ 大きな物語(共通体験)をテレビが置き換えた

第2部 論考

Ⅰ 『1968』の「革命」

1.『連赤』は何を「終わらせた」のか

・その後の社会が変わってしまう事件「連合赤軍事件」「宮崎勤事件」「オウム真理教事件

2.全共闘運動はいつ「終わった」のか

・1969年9月5日日比谷公園 「全国全共闘」結成大会 代表東大全共闘山本義隆 副代表日大全共闘秋田明大 登壇直後に山本逮捕 秋田はそもそも獄中
全共闘勝手連
・1969年8月「大学の運営に関する臨時措置法」
・68年をピークに終わっていった

3.社会主義はいつ「終わった」のか

大杉栄「一足飛びに天国へ行けるかどうかは僕も疑う。しかし無政府主義へ行くにはまず社会主義を通過しなければならぬとか、ボルシェヴィズムを通過しなければならぬとかいうことは、僕は無政府主義の敵が考え出した詭弁だと思っている」
・大正時代、アナキストボルシェヴィキ支持派の間の論争、いわゆる「アナ・ボル論争」はとても活発だった。それは前世紀のマルクスバクーニンの論争のやき直しで、大御所二人の論争もその国内版も、マルクス・レーニン主義の側の公式評価では圧倒的に結着がついたということになっている。
・運動後半の内部論争→「党建設」と「武装問題」
・「前段階武装蜂起」=革命の機が熟したから、ではなく、機を熟させるために、敢えて機が熟していない「前段階」でも起つ。それはまさしく二昔前の無政府主義的な冒険主義「一揆主義」(ブランキズム )。
社会主義はいつ終わったのか=「1968年」に、それは既に終わっていた。社会主義の再生にかけた最後の望みを体現するかのようなチェコスロバキア人民の試みを戦車で圧殺した時点で、つまり、ブレジネフドクトリンという鉄の鎖で縛りあげなければ社会主義陣営とその体制はもたないのだと公に認めてしまった時点で、社会主義は自らの終わりを告白してしまっていたのだ。そこから1989年までの20年余は、現実に、物理的な崩壊現象としてその「終わり」が顕れるまでに要した単純な時間経過に他ならない。

Ⅱ 革命とサブカル

1.新左翼運動のサブカル

・マンガ、ヤクザ映画、エロ=要するに日共主導の、お行儀のいい文化論へのアンチ
しつけの厳しい親に対してわざと悪ぶって見せていたような当時の新左翼のお行儀の悪さが、後に隆盛をみるサブカルチャーの直接的な源ではないか
・アニメファンと称して増えていくオタク 達に対して、「大丈夫なんだろうか」という懸念が、その数と比例するようにふくらんできていた。
それは、今にして思えば、全共闘運動終末期の不安にも似ていた。
実態のない観念が、当時は独り歩きしていた。「革命」「武装」「党建設」……。かつては実直な「個」の表白のように口にしていた「自己否定」や「実存」や「疎外」というよ うな用語もスカスカになっていた。
コミュニケーション力が失なわれ、あるいは自らそれを放棄し、特有な言語と興味、関心のタコツボの中に各々が入り込み、いたずらにイラだって他者に攻撃的になるような行き止まり感。

2.「オタク」とは何か

・対人恐怖症的なコミュニケーション不適応現象

3.サブカル的政治・革命

富野由悠季ザンボット3』、永井豪マジンガーZ
・1970『よど号事件』など赤軍の活動はすべて「セカイ系

4.連赤とオウム

大塚英志オウム事件はオタクの連赤」  片方が「政治(革命)の時代」に起き、片方が「サブカルの時代」に起きた
連合赤軍が非合法活動を息をひそめて継続し、酷寒の山岳アジトに籠り、ひどい倒錯の結果とはいえ、ぎりぎりまで仲間の思想性を問い詰める格闘に明け暮れたのに対し、オウムはマスコミにもさらけ出されたサティアンで暮らし、ファミレスで食事をし、組織外の市民を殺害し、最後には、ラッシュ時の地下鉄を利用しての大量殺人という悪魔的行為を実行したのだ。
後者の行動の軽さ、激しい短絡ぶりの所以は、彼らの思考が(思想であれ信仰であれ)著しくオ タク(おたく)化していたからだ。

5.「歴史の必然」か、「個」か

・梅本克己『唯物史観と現代』 新左翼の指定文献=「初期マルクス」『ドイツ・イデオロギー』『経済学・哲学草稿』
・人間の顔をした革命、人間の顔をした社会主義を望む 「個」、「主体性」、「疎外された自己」の回復運動

Ⅲ 「今」を考える

1.「アメリカの日本」は「戦後の国体」か
2.ソ連の夢、民主主義の夢

白井聡の「アメリカ従属」を憎む気持ちは当然わかるが盲点もある。それは「ソ連の悪夢」を直視しないこと。「社会全体主義」の悪夢を。ソ連よりはアメリカ従属の方がましという考え方は保守の当然の立場だった。

3.「アメリカ追従」の終焉

アメリカの機嫌をそこねて内閣が立ちゆかなくなるというようなことは以前にもあった。よく識られている田中内閣の例がそうだ。対中政策と石油政策で自立性を強く出した田中角栄ニクソンに嫌われ、ロッキード事件で命脈を断たれる。
アメリカの政権コントロールは、しかし謀略もどきの力技だけではない。むしろたぶん、アーミテージとかジョセフ・ナイといった「日本に好意的」といわれる「知日派」の意向を、彼らとの仲が良い(かどうかは知らないが) 岡本行夫とか故岡崎久彦といった高慢な元外交官が伝達し、レクチャーするということで政策当事者を動かしているのだろう。
印象的なのは「普天間問題」がデッドロックに乗りあげてしまった時だ。「最低でも県外に」と公約した鳩山首相が「勉強すればするほど、移設先は辺野古しかないとわかった」と変節し、沖縄県民は激怒して、以後「聞く耳」を持たなくなってしまった。この時、鳩山首相を「勉強」させたのが岡本行夫氏だ。
・東電清水正孝社長=「コストカッター」。勝俣恒久の娘婿。

4.「領土」という軛

松本健一『若き北一輝』 仙谷由人に誘われ民主党ブレーン
・もともとなぜか中国政府は民主党政権に冷たかった
・言論NPO 日韓フォーラム 竹島問題
・クリミア併合は当然 NATO拡大の方が大きな「現状変更」 

Ⅳ 天皇制の「オリジン」

1.「内なる」天皇

・「内なる天皇制に負けた」『近代文学』の同人達 平野謙埴谷雄高荒正人 中野重治『村の家』物書きと転向
・権力に負けて転向するような者の書くものはたいしたものでない。それよりも生活が大事だ。先祖から受け継いだ田畑や、家や、苦労して生きてきた者や、今も生きている者の営みのほうが大事だ。敗戦を経ても実はしぶとく生き残っていた「天皇制」とはそういう庶民の感覚の総和で、戦前戦中の命をかけた左翼運動よりはるかに薄っぺらな自分達の思想や運動なぞ、それに対してはまったく屁のようなものにすぎなかったのではないか。そういう反省的な思いだったように記憶する。
だから、運動が後退期を迎えて、流行したのは柳田民俗学だった。フロイト精神分析学、レヴィ=ストロース文化人類学、難解なシュールレアリズム、それに続いて構造主義……。
吉本隆明の『全南島論』についての紀伊國屋ホールでの講演で爆睡。

2.『記・紀』と『南島論』

・『古事記』があまりにもいい加減であったため7年後に『日本書紀』(720年)
津田左右吉欠史八代説」
卑弥呼239年 ワカタケル大王21代天皇471年 埼玉県行田市稲荷山古墳 金錯銘鉄剣(稲荷山鉄剣) 200年余りの空白
・要するに吉本さんは、あとからやってきて「バーッと」共同幻想をからめとってしまった天皇制国家の統治原理を、そのからめとられた側からの視点で見やぶり、統治そのものをひっくり返してしまおうというわけだ。
邪馬台国奄美諸島

3.「国体=象徴天皇制」の歴史化

・『記・紀』の素朴さ。
・古代以降、概ね、天皇は政治的実権を持たなくなった。「象徴」であることが常態化した。しかし例外的に王として実権を持つこともあって「親政」を試みた時期もあったが、それはうまくいかなかった。明治憲法下での、天皇立憲君主とした時代は、もっとも酷くそれが失敗した時代で、それは時代錯誤の祭政一致に政治が迷い込んだからで、天皇が決してふたたび「現人神」とならぬようしっかり予防を怠らないのであれば、国体として、つまりそのような歴史的存在としての王族を象徴として持つという特有な国のかたちとして、天皇制は存続し続けてかまわない。そう僕は思っている。
要するに、二度と再び、国民が「天皇のための死」を強要されたり、「天皇の赤子」であると思わせられたりしなければそれでいいのだ。
べらぼうに古い家系を持つ、生き神様ではなく、生きた歴史のような特殊な人達、そのような存在として国民が自然に天皇家を見ることが常態になれば、天皇制は「無化」されたことになる。天皇制の「歴史化」とはそのようなことだ。

Ⅴ 「サブカル屋」の現場から

1.歴史を描く、ということ

・『ヴイナス戦記』(1989) 文字通り「手のひらを返す」ような業界の冷遇ぶりにキレた
・原田常治『古代日本正史』『上代日本正史』

2.サブカルアナーキズム

・「サブカルチャーと呼ばれるもののなかには、ほとんどゴミでしかないものや、有害なものやグロテスクなものもいっぱい混じっている。もしかするとほとんどがそうなのかもしれない。しかし、それを選別して「良いもの」と「悪いもの』とに色分けしたりしてはいけない。そうするとサブカルの命が失われる。『自由』こそ、サブカルにとってとても大事な命なのだから」。そのようなことを北京大学という特異な場所柄を意識しつつ、僕は話したように思う。
太宰治”選ばれて在ることの恍惚と不安、共に我にあり”
・「アナーキズム」と「ナショナリズムパトリオティズム)」は相反するものではない。ウクライナ、マフノ将軍が例。
アナーキズムは柔軟でなければならない。 雑多で、寛容で、懐疑的で、時にヘソ曲がりで、心情 と欲望にあふれていて、 そして、何よりも自由でなければならない。そういう性質のために、ア ナーキズムはしばしば行儀が悪く、 非常識で、 非生産的で、時にはまったく馬鹿のように見え、 じっさい馬鹿だったりもする。

これはまったくサブカルそのものではないか。

前衛と称する党が批判したように、 アナーキズムが革命を成し遂げたことは未だか つてない。かつてないだけでなく、間違いなくこれからだって、ない。

しかし、それよりも間違いなく言えることとして、 アナーキズム的な多様性や自由さを圧殺した 「革命」 は、歴史上どれも、革命ではなかった。 最も近い経験である社会主義革命も、物理的圧制 をくつがえした後に精神的な圧制の王国を築きあげて終わった。 その冷たい現実とその後の荒廃を 言葉もなく見せつけられているのが現在という時代なのではないだろうか。偉そうに言うようだが、


人は、所詮在るようにしか在ることができない。弱くて、わがままで、嘘つきで、気まぐれで、欲深くて、貴重な体験をしてもすぐに忘れる。

しかし、人はそんな様々なダメさを足場にして先へ進む。弱い者は体を鍛えてもう少し強くなろ うと思い、嘘をついた者はいつか相手にあやまろうと思い、気まぐれは少し反省し、欲深い人はや

はり少し反省しつつ、明日はもっと得をしようと頑張る。

そういう人々を描くことが好きだ。

おわりに――「旅」の総括 編集部・杉山尚次との対談

若松孝二塩見孝也批判 時間の経過、歴史がない

あとがき

【読書メモ】安彦良和 、斉藤光政『原点 THE ORIGIN-戦争を描く、人間を描く』(岩波書店 2017年)

目次

はじめに 安彦良和

本書の成り立ちについて 斉藤光政

第1章 冷戦の落とし子ガンダム

ある学習塾の風景――『虹色のトロツキー

ガンダム作家の“ルーツ”は津軽

人間くさい主人公たち――『アリオン

冷戦が生んだ終末観

・第一希望金沢大学
スタンリー・キューブリック博士の異常な愛情
・1966年パロマレス米軍機墜落事故  1968年チューレ空軍基地米軍機墜落事故

ガンダムのテーマとは

ユーゴ内戦にショック

物語作家としての覚悟――『ヴイナス戦記

なぜ日本はまちがえたのか――『王道の狗』

日清戦争→中国にあなどりの念

寄せる波、返す波

日中間に突き刺さる深いトゲ

・「ほおを叩かれたものは忘れない」=日清戦争

安彦良和 私の原点1》『ガンダム』と「戦争」・「日本」

・安彦1947年生まれ
・50年代 のどかな子供時代
・61年父が亡くなる。 60年代 思春期
・70年弘前大学を除籍となり東京に出てくる 70年代 苦しい生活と仕事の時代
・79年ガンダム開始 80年代 ガンダムの時代、アニメの時代
・90年代 気ままな漫画描きの時代 『虹色のトロツキー』『王道の狗』『ジャンヌ』『イエス』『ナムジ』
・00年代 ガンダムtheオリジンの時代
・10年代 そのアニメ化の時代
・1969アポロ月面着陸が端緒 SFブーム 『スター・ウォーズ』(1977)『宇宙戦艦ヤマト』(1974アニメ、1977映画)
富野由悠季1941年生まれ 安彦の6つ上 60年と70年の間の世代 日大芸術学部 S・キューブリックの信奉者
・原田常治『古代日本正史』

第2章 北辺の地の少年

独学から生まれた天才的タッチ

・北海道北見紋別郡遠軽町 ハッカ農家

マンガ家へのあこがれ

手塚治虫横山光輝、鈴木光明 『少年』『冒険王』

“おもしろさ”へのこだわり

手塚治虫『来るべき世界』→『新人類フウムーン』(1957年) 
・1957年 ソ連と英国で原子力事故 世界初の人工衛星スプートニク1号打ち上げ成功
・手塚=子どもに背伸びをさせる 子供を侮らない

歴史教育のウソっぽさ

・「当時の人のナショナリズムをわれわれはぜったいに笑えないという気がする」 加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
・国民は被害者ではない。加害者。

ベトナム戦争への疑問

・高校3年の文化祭でベトナム戦争の問題提起、研究発表 沢田教一『安全への逃避』の写真
山下達郎坂本龍一

マンガ家を断念し南へ

・「権威に逆らう」親や教師に反抗する ビートルズ世代、ヒッピー・ピープル
・高校生『遥かなるタホ河の流れ』スペイン内戦

安彦良和 私の原点2》オホーツクの地から――父のこと・生い立ちのこと

・祖父 福島半田鉱山→「湧別屯田」→息子と木こり
・父 賀川豊彦(社会事業家)を敬愛
・中学までは漫画家→歴史を教える社会科の先生になろうと志す モデルはI先生 補習授業「中国革命」「マルクス主義の基礎」

第3章 弘前大学での“闘い”

党派への違和感

ベトナムさん」との出会い

弘前大学全共闘の誕生

・民青に入るが、その教条的で画一的な体質にすぐに失望→新左翼になるのは自然の流れ
全共闘=参加も離脱も自由な梁山泊的な寄り合い所帯。ノンセクトの格好の受け皿。
・安彦「ベトナムの平和を願う会」。ベ平連小田実鶴見俊輔から影響を受けて
・早稲田ノンセクト村上春樹「何より精神的に自由でいたかった」 

暴力学生とよばれて

・『「いちご白書」をもう一度』(1975 松任谷由実作詞・作曲)
・1968弘前大学全共闘(準備会)50人ほど
★安彦「戦争ごっこの楽しさがあった」

一方的なアジ演説に反発

・60年安保=「戦後民主主義の正義を守るための戦い」/70年安保=革命を目指す
・「学生先駆性」=しがらみをもたない学生こそが社会の先頭にたって変革しなくてはいけない。正義感(感情)優先。
・当時の学生 お金があれば本を読むのがあたりまえ。知への欲求があった。
・安彦、ヘルメットとタオルは決してしなかった

安彦良和 私の原点3》弘前大学で、あのころ

・「ブラキストン線(ライン)」。北海道はからっと明るい。
・『ドクトル・ジバゴ 』(1965年)反共映画だから観るなといわれる。
・2人で学生新聞『こんみゆん』
・「カウツキー主義」レーニン批判。無知な労働者階級を指導し導くというのは傲慢ではないか。大衆蔑視ではないか。

第4章 怒れる若者たち、その後

「わかりあえない」が出発点

東大安田講堂事件で仲間逮捕

・工藤くん 
・城攻め

いつも雨が降っていた

川本三郎マイ・バック・ページ
・立身出世主義をぶち壊した世代

若者とマンガブーム

寺山修司
・『ガロ』『COM』つげ義春、真崎守 赤塚不二夫

弘前大学本部占拠事件

・梅内恒夫

そして逮捕

・『東奥日報』に顔写真入り逮捕記事
・日大全共闘議長秋田明大「正義感だった」戦争に反対する

長き沈黙の正体

・青砥幹夫、植垣康博
桐野夏生

「山に入る」ことの意味

・「(大義のためには)人を殺していい」が分かれ目
・ニワトリは仲間をいじめ殺す
・「憎しみをバネにした革命の時代は終わったということ。そういう革命は人を幸せにしない。全共闘運動が求めた心情はそれじゃなかったと思うんだよ。われわれは「ウソの平和」をたたくことで「革命の混乱」を望んだけど、その後の状況を見ていると、ある程度問題があっても平穏のほうがいいと思えてくる。憎しみを増やす革命よりもね」

安彦良和 私の原点4》すべての終わり。そこからの「始まり」

・「ヘルメット」と「覆面」の形式主義
・「革命」という言葉は、他の時代ほどに空疎ではなかった。しかし、かつて「達成された」とされていた「革命」への幻滅も、覆うべくもなかった。人々は、特に若者は、「違う革命」を欲していた。
バリケード封鎖という象徴 自己目的化
・立川 砂川闘争 出稼ぎ 国立音大のピアノ
芝浦工大大宮校の生協 第四インター カレーのみ
・逮捕→退学

第5章 サブカルチャーの波

アニメーションの世界へ

虫プロに入社。高校時代の作品が評価された。

マッチラベル描きがルーツ

・『Q都』三上さん
芦田豊雄

宇宙戦艦ヤマト』への挑戦

・西崎義展
・27歳にして絵コンテ担当に抜擢される

宮崎駿という壁

1984年『風の谷のナウシカ』、『超時空要塞マクロス』、『巨人ゴーグ』

青森から照射する日本――『ナムジ』『神武』

日本動漫文化

オタクの功罪

オウム真理教へ影響を与えたヤマト、ガンダム

安彦良和 私の原点5》サブカルで、生きる

・「挫折」というのは「自己卑下」のナルシシズムである。崇高なものや絶対的なものに帰依しえない自分への憐れみであり、同時に、そういう自分の合理化でもある。
・「自分はダメな人間だ」と思いつつ、一方では「でも、これが人間の本質なんだ」と正当化もする、その両者の葛藤に「レベルの高い悩みだ!」と酔いしれるのでなければ「挫折」は恍惚感を生まない。
虫プロニ期生 同期岡田史子
・リミテッドアニメ=制作費用や期間削減のため、動きを簡略化するなどしてコマ数を少なくする制作手法
・「創英社」(後の「サンライズ」)=虫プロ退職組
・玩具メーカのコマーシャルフィルムとしてのロボットアニメ
・政治の季節が去り、挫折しそこねた全共闘世代が沈黙していく中で、早くも次の主役世代が登場していたのだ。「しらけ世代」というふうに、一時世間は彼等のことを呼んだ。が、彼等は決して「しらけて」いたのではなかった。それどころか、彼等は知識や面白さに貪欲で、おしゃれで、精力的だった。何か面白いものはないか、と、彼等は絶えず探し回り、嗅ぎ回っていた。そしてつかみ獲った獲物は放さず、旺盛な自己PRでそれを売りものにした。
・純文学では田中康夫がその代表であり、僕の識る人では、中島梓栗本薫)や夢枕獏、そして、現在も友人でいる高千穂遙等がそうだった。彼等はそれぞれ作家として名を為すのだが、無論、彼等の背後には同世代の、無数のメディアの仕かけ人達がいた。彼等こそが、今日的なサブカルチャーの生みの親だった。

第6章 世界をリアルに見る

アイランちゃんの衝撃

・シリア コバニ 「国なき民」クルド人の拠点都市 ISとの戦争 米軍の空爆 難民1200万人

小林よしのりとの対談

イラク戦争大義なき侵略戦争 
・現在の政界、官界、財界で勢力を誇る親米保守 CSIS関係

国なき民の悲劇――『クルドの星

イラク、シリア、トルコ、イランにまたがる山岳地帯 クルド人 人口3000万人 中東で4番目に大きな民族

イスラム国と戦う少年兵

植民地支配を問う――『天の血脈』

・アジア各国のアジア主義者は日本に期待したのに裏切られた。
日韓併合
・同列の国を植民地化するのは欧米でもありえないこと

東アジア和解への道

従軍慰安婦問題もまだ国連は解決とみなしていない
・韓国にもベトナム戦争で住民虐殺をした暗い歴史が存在

アジアの盟主をめぐる争い

・中国脅威論=「経済格差から生まれた国民の不満を外に向けようとする、典型的な国家の手法。危機の演出。うるおうのは軍需産業だけ」

歴史を知らない若者たち

リアルを見つめているか

・『韃靼タイフーン』PKO自衛隊全滅のエピソード

安彦良和 私の原点6》ふたたび、「社会」を見つめて

宮崎駿は安彦を嫌った?会うことを断る。
手塚治虫の態度は対照的。神様。第一人者としての自覚があった。
・『ヴイナス戦記』=ポストモダン的。大きな物語が終わった虚無感。でも世界はそうじゃなかった。
・歴史漫画の動機→神話まで遡って日本・天皇を考える。
オウム真理教事件ガンダムの悪影響を恐れる→オリジン創作の動機
富野由悠季「ヤスヒコ君。この世界で生きるということはね、そういうことなんだよ」。勝手な解釈だが、この言葉はサブカルチャーという文化の本質を言い当てていると思う。普遍的価値も、オリジナリティーも、矜持も、無くていい。受けて、食わなくてはならない。が、あくまでも創作者(クリエータ)であり続けなければ、その世界に棲み続けることも、いつかは出来なくなってしまう。富野「キミはね、絵が描けるからいいよ」。

あとがき 安彦良和

・不動産取引であれ外食産業であれ、儲けた金は結局投資へと向う。巨大な金融資本と、それを牛耳る一部の人々が世界経済を支配するようになる。マルクス主義陣営が冷戦で敗けようがどうしようが、その真実は変らないし、実際世界はそうなっている。
・戦争の悲惨さもキャンペーンに使われてしまう。

付録――安彦良和エッセイなどなど

山の子・鉄人・横山さん――横山光輝鉄人28号』解説

ユーゴ・栄光と愚行と――坂口尚『石の花』解説

『銀座』とぼく

西田洋文氏に訊く――弘前大学全共闘の記憶と記録

読んできた本、おすすめの本

宮沢賢治詩集』
巖本善治編『海舟座談』
石川啄木時代閉塞の現状
角田房子『甘粕大尉』
山口淑子 藤原作弥李香蘭 私の半生』
子母沢寛新選組始末記』
アルシノフ『マフノ運動史』
浅田次郎『中原の虹』
カー『コミンテルンとスペイン内戦』
山口昌男 『「挫折」の昭和史』他
吉村昭羆嵐
マルクス 『経済学 哲学草稿』『ドイツイデオロギー
ハインライン『宇宙の戦士』
ツルゲーネフ『はつ恋』他
宮崎滔天『三十三年の夢』
中江兆民『三酔人経綸問答」
陸奥宗光『蹇蹇録』
石原莞爾『最終戦争論』
山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍
尾崎秀実『愛情はふる星のごとく』
松本健一北一輝論』他
水木しげる『敗走記』

安彦良和作品リスト

9/2読了
◆要約:安彦良和の半生。歴史漫画を書く動機。
◆感想:著者が弘前大学全共闘のリーダーになる経緯が知れて興味深かった。とにかくベトナム反戦運動。その後の安彦は、「ある程度問題があっても平穏のほうがいい」という生活保守の態度。