マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

世界ふれあい街歩き

http://www.tvco.tv/interview/index.php?action=detail&id=105
世界ふれあい街歩き


—これまで数々の街をご覧になって、なんとなくの「街の法則」みたいなものって見出せたりしましたか?
男の人が平日昼間からブラブラしてる街は安全で楽しいですね。退職したおじいさんだけじゃなくて、ヨーロッパとか、アメリカでもそうですけど、公園にチェス盤を備え付けたテーブルなんかがあって、昼間っからいい大人が集まってゲームしてるような。いろんな職種の人が住んでいて休日もバラバラだからでしょうね。この場所に行けばチェスができる、この酒場に行けばみんながいる……というたまり場があってオープンにされている。フラッと行っても覗かせてくれる。そういう街って余裕がありますね。お金持ちの住んでいる街のほうが、ガードが堅い場合があるし、田舎だからみんな純朴で人がいいかというと、むしろ閉鎖的なこともある。それは行ってみないとわからないんですけどね。


—一番印象深かった街はどこですか?

一番の街っていうのはないけど……この番組酔っぱらいがよく出てくるんです。この前ひどいな〜って思ったのは——いや、ひどいな〜っていうか面白かったんですけど、これもクロアチアスプリト。番組後半で酒場から出て来るおじさんがいるんですよ。サングラスしててちょっとコワモテで。話しかけると、店の奥の方からものすごくでかい声で聞こえてくる『生きろ、ダルマチア』とかなんとかいう人に向かって『俺が行く!』とか怒鳴ったりして。どういう人なんだろうと思ってると、「この町が気に入ったならいい所に連れてってやる。窓から海が見えるから」って。近くのマンションの3階か4階に連れて行かれて、そこでおじさん、呼び鈴を押すんです。おじさんの家じゃなくて(笑)、おじさんの知り合いの奥さまの家。おじさんは「奥さま、この人たちがお部屋からの景色を見たいと申しています。案内してください」って言い残して帰っちゃうんです。奥さまは70歳ぐらいのすごくおっとりした人で、部屋に招き入れてくれるんですね。テラスから海が見えてすごく綺麗でね。その先に石造りのビルがあるんです。実はそこのオフィスの窓辺で、奥さまのだんなさんが働いてたんですって。もう亡くなっちゃったらしいんですけど。
「この窓に立つと主人が、私のほうを見るのがわかった」って言うんです。「私はお昼休みとか3時とか、夫がこっちを見そうだなって思う時間に、この窓際に立って夫のほうを見てたのよ」って。「夫が私の方を見るのがわかったわ」。


—いい話だなぁ。

だから、自分の家じゃないんだけど、自分の街のいいところだから見せたいっていう気持ちが、そのおじさんにはあった。そういう人がいるのがいい街の特徴かもしれませんね、昼間に暇なおじさんがいるのが(笑)。世界中どこへ行っても、女性って朗らかでフレンドリーなんです。けど、男性は不機嫌な人やらぶっきらぼうな人もいれば、優しい人もいる。お国柄は男性のほうによく出ると思うんです。朗らかで大らかで、“よし、面白いもの見せてやろう”っていう人がいると街の印象はいい方にグッと変わりますね。