マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【映画メモ】ワン・ビン監督『鉄西区』(2003年)@渋谷シアター・イメージフォーラム

第1部:工場 240分
第2部:街  175分
第3部:鉄路 130分

瀋陽市 遼寧省省都 かつての奉天 人口825万
満州族 ヌルハチ 後金→清 盛京 清の副都 → 奉天
・日本の占領 満州国
・11月から3月まで気温マイナス 寒い
鉄西区 国営工場 温家宝2002年より改革政策 鉄西新区
・艶粉街 再開発 立ち退き

・銅 鉛 電解 精錬
・粉塵、健康被害
・人員整理
・街 青春 仕事がない
・料理 土間
・くず鉄屋 警官の汚職密告
・石炭 電気

◆要約:1999年-2001年 瀋陽鉄西区、工場の閉鎖、失業、艶粉街再開発に関わる立ち退き、若者の生態、貨物鉄道の労働者とくず鉄屋親子の話
◆感想:めっちゃ長く疲れたけど面白かった。
第一部で少し寝てしまった。もっと短くしたほうがいい。
第一部は工場好きな人にはたまらないと思う。銅の精製の過程が結構分かる。
休憩所の会話が主。中国将棋とポーカー。
忘年会?のカラオケのシーンが良かった。
工場が閉鎖されて、みんな自宅待機になる。完全な資本主義と微妙に違って、たぶん国の指示を待つ感じだから難しいなと思った。
2000年、ちょうど改革開放の転換期だと思った。
第2部「街」がすごく面白い。鉄西区艶粉街のバラック?に住む住民の実態
若者が恋をしたり青春をしている。
日本ではとうに失われた、ご近所付き合いというかコミュニティというか、街のご近所さんがみんな顔見知りな感じがある
路上がある。路上で物を売ったり、焚き火してあつまったりしてる、麻雀やったりトランプの大貧民やったり
対比して、今の行ききった文明の非人間感が異常だと思った。
冬は雪。立ち退きで電気止められて暗い。一人お母さんが癌になり大変。
だんだん人が減っていく。
最初の宝くじのお祭りのシーン。
物悲しい景色。
第三部は結構蛇足ではないか。
ひたすら鉄道の風景

自分は2009年に初めて中国の上海、無錫、南京に行って、すごく発展してるなと思った。
2016年に敦煌に行ったときもそう思ったが、そのとき「一昔前と全然変わったよ」という声をよく聞いた。
おそらくこの映画後のゼロ年代に一気に中国は成長したのだと思う。日本が落ちるのとクロスして。

風景が総じて綺麗。哀愁がある。
登場人物みなお金ないと思うのだが、食事のシーンはどれも自分からみると豪華に見える。湯気が立って美味しそう。
この時期の中国の風俗がよく分かる、いい映画だった。
でも長すぎるから本当はもっとカットするべきだと思った。