マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

パースペクティブ 遊びの社会学 カイヨワ

前回の振り返り

それぞれ重なる部分がある
死者からの純粋贈与
レヴィ=ストロース クリスマス 交換の原理と贈与の原理が結ばれた 資本主義の望み
社会学辞典」丸善株式会社 
 
1.遊びの社会学
1)ホイジンガホモ・ルーデンス
①人間は「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)である。
②人間の文化はすべて遊びの精神からうまれた。
遊びという別の意味世界をつくる
2)ロジェ・カイヨワ(1913-1978)
フランスの文芸批評家 社会学者 哲学者 「遊びと人間」(1958)
3)カイヨワの研究 遊びの特徴
①遊びとは、外的な要請や実際的な目的への従属から離れて、ただ楽しみのために、それ自体を目的として、自発的に営まれる活動のことである。
 
2.聖/俗/遊の3次元
1)
・俗:功利主義、実利主義に支配された日常の領域。 労働
・聖:俗から離れて対立する、まじめな宗教的活動の領域。 宗教 理想
・遊:実生活の配慮からも、聖なる義務・拘束からも離れた、楽しみの領域。 遊び
2)遊びの4つのカテゴリー
①競争(アゴン):競技スポーツ 将棋 クイズなど知的ゲーム
②偶然(アレア):じゃんけん さいころ ルーレット 賭け事 うらない
③模擬(ミミクリ):ものまね ごっこ遊び 積み木 コスプレ カラオケ 演劇
④めまい(イリンクス):ぶらんこ ジェットコースター スキー ワルツ お酒
各要素は組み合わさる 麻雀 競技スキーなど
3)4つのカテゴリーと人間の資質
①競争→闘争本能
②偶然→決断力 胆力
③模擬→模倣本能 模倣能力は社会化の基礎 見立ての想像力
④めまい→不快に耐える力 不快・カオスをあえて楽しむ力 忍耐力
※遊びの教育的機能
ルールの修得 フェアプレイの精神 ルールを守る精神
※遊びの非有用性 役に立たないからこそ
4)作田啓一によるカイヨワ理論の解釈
・競争と偶然=脱所属…「平等」
・模擬とめまい=脱自我…「自由」
遊びの中にこそ、自由や平等がある

ヒップホップ

前回 ボブ・マーリー レゲエ ラスタファリ運動
エミネム 8マイル 
1.ニューヨークとヒップホップ
ブロンクスのスラム化
街を横断する高速道路 地域コミュニティの崩壊
1万2000戸以上の低所得者公営住宅
貧しいアフリカ系やヒスパニック系の人たち
オイルショック アメリカの不況
失業 保険金目当ての放火 スラム(貧民街)となる
 
2.ラップの誕生
1)ルーツ
DJクール・ハーク
ジャマイカ音楽の影響
DJがしゃべる
サウンドシステム
いい部分だけをつなぐブレイクビーツ
・トースティング DJがしゃべる
・ダブ エフェクトで曲を加工する
2)展開
①アフリカ
語り部文化 
ポエトリーリーディング
タズンズ →フリースタイルやサイファ
「シグニファイング」ほのめかし 暗示 遠回しに言う
奴隷制下で主人に気づかれないように
②スクラッチ
サンプラー→サンプリング
3)アフリカ・バンバータ
クラフトワーク ヨーロッパ特急
4)ヒップホップ
・ヒップホップの3大要素
①ラップ/DJ
②グラフィティアート
ブレイクダンス
 
3.発展
1)ラップとロックの出会い
RUN DMC
ウォーク・ディス・ウェイ エアロスミス
2)ギャングスタ・ラップ
ロサンゼルス 都市のゲットー・ライフ(暴力 犯罪 ドラッグ 銃)
3)多様な展開
パブリック・エナミー 社会的・政治的
デ・ラ・ソウル ニューヨークロングアイランド まったり 平和
4)白人ラップの展開
ビースティ・ボーイズ
ロックにもラップが レッチリ
 
4.日本語ラップは省略
 
 
楽器が買えない 言語と身体の融合

パースペクティブ 6回目 モースからレヴィ=ストロースへ

参考書 おすすめ
世界思想社 社会学ベーシック
命題コレクション 社会学
 
1.モース「贈与論」ふりかえり
贈与の「力」物の「力」
クラ ポトラッチ
贈与か戦争か
労働という「贈与」に対する「補償」=社会福祉制度
→M.A.U.S.S. 理論→社会運動
 
2.ブラウの社会的交換理論
P.M.ブラウ「交換と権力」
交換、贈与は権力関係を産む
 
3.純粋贈与の不可能性/可能性
1)J・デリダ 「交換と贈与」
純粋贈与の不可能性
2)中沢新一 自然の贈与 「緑の資本論」「愛と経済のロゴス」
志賀直哉小僧の神様
3)国際医療NGOジャパンハート 無償無給の医療活動
吉岡秀人医師
求道的・文化的・感情的・贈与の送り手と同時に受け手
 
3.レヴィ=ストロース(1908-2009)
構造人類学」(1958)構造主義を代表する一人とみなされる
1)浮動するシニフィアン「マルセル・モース著作集への序文」
①マナ(力の観念)の多義性 
マナは「同時にこれらすべてである」のは、「これらすべてではまったくないから」ではないか
②モース批判 原住民の自己理解を追認しているにすぎない
③マナは「浮動するシニフィアン」「ゼロ記号」の機能に相当
④マナは、知覚しえない全体(交換における自他の関係性)を知覚し、その矛盾を超克するもの
⑤思惟を形づくる無意識的全体をレヴィ=ストロースは構造とよぶ→構造主義
2)近親婚の禁止と女性の交換
3)レヴィ=ストロースの解釈
①近親婚の禁止は「女性の交換」の命令である
女性は贈り物と考える
②無意識的構造の規則:女性の贈与(交換)は集団間の互酬的関係を確立する
4)レヴィ=ストロースの理論:現代社会への示唆
①交換理論の一般化
・「交換」は社会生活の基礎
・女性・財・言葉の交換
・限定交換/一般交換
②現代に残存する贈与慣行とその連帯創出機能の指摘
 
4.クリスマス
エスの誕生日ではない
ミトラス教の祝日
冬至の祭り
サンタクロース
人さらい 聖ニコラス 余興を取り仕切る道化役 空を飛ぶオーディン ツリーは呪術的 
日本 1950 占領期の影響 ケーキのおみやげ
1970年代以降 カップルで
キリスト教の行事のように思われているクリスマスを動かしている贈与の原理(祝祭の論理)
宗教を超えて、贈与のイベント

セックス・ピストルズ パンク

1.70年代のロック
1)「ラブ&ピース」の時代の終わり
1970 ジョン「夢は終わった」ジミヘン 70 ジャニス・ジョプリン 70 ジム・モリソン 71
2)ロックの多様化
ハード・ロック、ヘビー・メタル、プログレッシブ・ロック、ジャズ・ロック、グラム・ロック、カントリー・ロック、サザン・ロック
ロックの成熟 
3)ロックの産業化
60年代 レコード売り上げ2.5倍 77年 さらに倍30億ドル
スタジアム、コンサート・ツアー 音楽産業の主力商品 お金儲けの巨大産業
 
2.パンクの歴史
①ロックミュージックの脱構築運動
②ニューヨークパンク パティ・スミス テレビジョン ラモーンズ
マルコム・マクラーレン ネオ・ダダ ブティック「セックス」
④クラッシュ、ダムド、ピストルズ 三大パンク ジャム シャム69 ロンドン・パンク
⑤ニュー・ウェーブ ハードコア・パンクに分化
グランジ メロコア
 
3.セックス・ピストルズ
ジョンの父母はアイルランド人 不良
美術学校 
1976 EMI「アナーキー・イン・ザ・UK」
シド加入
ビル・グランディ事件 炎上狙い
1977 「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」
エリザベス女王戴冠25周年 テムズ川の船
俺たちを作ったのは社会であり、そのシンボルの女王
no future
「そろそろ誰かが立ち上がって発言すべきだと思ったのさ」
ファーストアルバム 勝手にしやがれ never mind the bollocks
1878アメリカツアー直後 ロットン脱退
シド マイウェイ
1979シド ナンシー オーバードーズ
 
セックス・ピストルズはロンドン・パンクの代表的グループであっただけにとどまらず、パンク・ロック総体のイメージを決定した存在である
 
4.否定の力
「俺たちの歌は怒りの爆発より怒りの抑制だった」
「決して他人から完璧に理解されちゃいけない」
 
否定のカリスマ
自己否定、反体制、アウトサイダーとして「セルフ・ラベリング」
→英国階級社会への批判とタブーの侵犯
→「社会の敵」「秩序の外」というイメージ
→否定性のカリスマ(アンチヒーロー)魅力↔嫌悪
 
表現→アート
→政治
→暴力

パースペクティブ 6回目 マルセル・モース「贈与論」

1.マルセル・モース
1)人生
1872年生まれ デュルケームの甥
サンスクリット インド古典文献学
社会主義への共鳴 一種の協同組合主義
1925年「贈与論」
1939 ナチス占領下 ユダヤ人であることを理由に教授職を追われる→ショック 妻の介護 認知症 以後10年学問的業績なし
1950 78歳で没する
 
2)学問スタイル
口頭の講義 断片的 非体系的 一人一人と握手
 
2.「贈与論」
1)問い
「贈与は実は拘束的」
贈与における3つの義務
(1)与える義務 (2)受け取る義務 (3)返戻する義務
贈られた物にはどんな力があって、受け取った人に返礼をなさしめるのか
ポイント
(1)贈り物のもつ「力」に注目
(2)贈与のもつ連帯創出機能に注目
(3)市場経済とは異なる贈与経済の原理を探求
 
2)事例・資料 
3)ニュージーランド先住民マオリ 物の霊「ハウ」
ポイント
(1)一方的提供とみえる贈与は、<霊的な力>を媒介に、互酬的性格をもつ運動となる
(2)贈与は深層において互酬性のシステム(構造)をなしている「全体的給付システム」
(3)レヴィ=ストロースの解釈 限定交換 一般交換
 
4)「クラ」トロブリアンダ諸島の先住民
マリノフスキー(1884-1942)イギリスの人類学者
クラ 大規模な島間貿易 交易ルートは大きな円環
ムワリ(腕輪)ソウラヴァ(首飾り)
人類の知恵 連帯をつくる
 
5)ポトラッチ:アメリカ大陸北西部の先住民
 
6)道徳上の結論
社会主義者としてのモースは「道徳上の結論」で自発的贈与の必要性を論じている
「自己を脱却し、自由に義務的に贈ること」は人類の基本原則である
「われわれは「高貴な消費」の習慣に戻ろうとしているし、戻らなければならない」
②戦争・孤立・停滞の可能性を贈与・交易・協同関係へと変えること
=「知恵と連帯の永遠の秘密のひとつ」
 
7)考察
①クラとポトラッチを区別
②物の生命性 社会の生命性
贈与者の手を離れた場合ですら、その物はなおかれの一部を構成するのである
③贈与か戦争か/友愛と敵対