マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

パースペクティブ 6回目 マルセル・モース「贈与論」

1.マルセル・モース
1)人生
1872年生まれ デュルケームの甥
サンスクリット インド古典文献学
社会主義への共鳴 一種の協同組合主義
1925年「贈与論」
1939 ナチス占領下 ユダヤ人であることを理由に教授職を追われる→ショック 妻の介護 認知症 以後10年学問的業績なし
1950 78歳で没する
 
2)学問スタイル
口頭の講義 断片的 非体系的 一人一人と握手
 
2.「贈与論」
1)問い
「贈与は実は拘束的」
贈与における3つの義務
(1)与える義務 (2)受け取る義務 (3)返戻する義務
贈られた物にはどんな力があって、受け取った人に返礼をなさしめるのか
ポイント
(1)贈り物のもつ「力」に注目
(2)贈与のもつ連帯創出機能に注目
(3)市場経済とは異なる贈与経済の原理を探求
 
2)事例・資料 
3)ニュージーランド先住民マオリ 物の霊「ハウ」
ポイント
(1)一方的提供とみえる贈与は、<霊的な力>を媒介に、互酬的性格をもつ運動となる
(2)贈与は深層において互酬性のシステム(構造)をなしている「全体的給付システム」
(3)レヴィ=ストロースの解釈 限定交換 一般交換
 
4)「クラ」トロブリアンダ諸島の先住民
マリノフスキー(1884-1942)イギリスの人類学者
クラ 大規模な島間貿易 交易ルートは大きな円環
ムワリ(腕輪)ソウラヴァ(首飾り)
人類の知恵 連帯をつくる
 
5)ポトラッチ:アメリカ大陸北西部の先住民
 
6)道徳上の結論
社会主義者としてのモースは「道徳上の結論」で自発的贈与の必要性を論じている
「自己を脱却し、自由に義務的に贈ること」は人類の基本原則である
「われわれは「高貴な消費」の習慣に戻ろうとしているし、戻らなければならない」
②戦争・孤立・停滞の可能性を贈与・交易・協同関係へと変えること
=「知恵と連帯の永遠の秘密のひとつ」
 
7)考察
①クラとポトラッチを区別
②物の生命性 社会の生命性
贈与者の手を離れた場合ですら、その物はなおかれの一部を構成するのである
③贈与か戦争か/友愛と敵対