マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】中村淳彦『東京貧困女子。―彼女たちはなぜ躓いたのか』(東洋経済新報社 2019年)

2019年4月出版
まえがき
第1章 人生にピリオドを打ちたい
第2章 母親には一生会いたくない
第3章 明日、一緒に死のう。死ねるから……
第4章 あと1年半しか仕事ができない
第5章 45歳、仕事に応募する資格すらありません
第6章 子どもの未来が消えていく
終 章 絶望の淵
 
まえがき
第1章 人生にピリオドを打ちたい
・2006-07年あたりから
・AV女優でも出演料が安すぎて生活できない 生活できるのは上位の一部
・東京の高額な家賃
パパ活は自由恋愛なので違法ではない
・お金と短時間、大学との両立「いくら悩んでも選択肢は風俗しかない」
・水商売=お酒が飲めることとコミュニケーション能力が必要
・部活にお金がかかる
パパ活ハッシュタグでツイート
・どうせ長くない命と投げやりになれば、負債が300万円でも1000万円でもあまり変わらない
 
第2章 母親には一生会いたくない
・風俗嬢=客から必要とされて承認欲求が満たされる部分もある
・月額40-70万稼げて、欲しい物も買い戻れなくなった
・大学の学費と有利子貸与型奨学金が諸悪の根源
・1969年国立大学費年間1万2000円→2019年53万5800円 44倍
・「風俗や水商売に足を踏み入れる年齢は22歳が一番多いと言われている。この現状を見ると、奨学金の影響が大きいと思わずにはいられない。」
・女子大生は風俗へ、男子学生はホストやキャッチ、スカウト、詐欺手伝いなどへ
・東京ひとり暮らし、最低でも手取り20万必要 
・鬱と過食嘔吐心療内科
・ストロングチューハイとアルコール依存
苦学生の範囲を超えている
・かなり重い統合失調症
・副作用の強い薬で頻繁に記憶がなくなる 衝動的に首をつる
統合失調症→陽性症状と陰性症状
・牛丼チェーン、非正規の使い捨て
うつ病などの精神疾患患者の激増
 
第3章 明日、一緒に死のう。死ねるから……
・データに現れない十人十色の貧困
・店舗型→デリヘル 集客がさらに減る
あきらめるとは自分自身の将来や未来になにも期待しないこと。なにも期待しなければ、不安も薄くなる。貧困に飼いならされる、という哀しい自己防衛だ
・介護職の賃金は63業種の中で圧倒的な最下位。
・無料定額宿泊所の生活保護搾取
 
第4章 あと1年半しか仕事ができない
橋本健二『新・日本の階級社会』
可処分所得の中央値=244万 その半分以下の人が相対的貧困 自分は177万6000円
・「結婚すれば生活が変わるみたいなことはよく言われていますが、非正規で低収入な自分にまったく自信ないし、誰かが見初めてくれるとはとても思えない。やっぱり結婚とか出産は、普通以上の収入がある人の特権というか、自分にかかわることとはとても思えないです。」
 
第5章 45歳、仕事に応募する資格すらありません
生活保護、差額をもらえる
・養育費未払い率8割→罰則がない
・2018年3組に1組は離婚
精神疾患のほとんどは実は経済的な問題が原因
うつ病99年44万人→14年111万倍増
鈴木大介貧困に陥る原因「3つの無縁」「家族の無縁、地域の無縁、制度の無縁」
・昔は介護は公務員がやっていた
介護施設の閉鎖性
 
第6章 子どもの未来が消えていく
終 章 絶望の淵
向精神薬の副作用問題
 
あとがきーでも生きていきます
東洋経済 高部知子
8/31読了
 
概要:東京近郊在住貧困女性のインタビュー、ルポ。家庭環境、離婚、虐待。貧困の遺伝。地方は仕事がない、都市は家賃が高い。高すぎる学費、きつい出席と課題。時間がない。女性は水商売と風俗に流れる→病むの悪循環。シングルマザー、ダブルワーク、長時間労働、セクハラ、パワハラ。鬱、徹底的な個人と家族の孤立。
感想:週刊誌の連載をまとめたもので、最低限の背景の説明はあるが、社会学的、歴史的考察はほとんどない。話半分だとしても酷い現状。政治による解決が待たれるが、日本人が自己責任でどんどん他人に厳しくなっているので先行きの見通しは更に暗くなる。