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【授業メモ】「西洋哲学の起源 第05回 アリストテレスの哲学(1)-その生涯と著作、論理と自然理解」

放送大学 荻野弘之先生
1.アリストテレスの生涯――マケドニアからアテナイ
マケドニアの宮廷医師の息子。17歳でアテナイアカデメイアに留学し20年過ごす。プラトン没後、学園を去り、小アジアを遍歴後マケドニアに戻り、アレクサンドロス王太子の個人教師になる。王即位後再びアテナイに戻り、東の郊外に学園リュケイオンを創設。
アカデメイアに倣い図書や研究資料を蒐集、午前中回廊の遊歩道を散策しながら議論したので「逍遥(ペリパトス)学派」と呼ばれた。
・大王急死後、アテナイを追われ、辺境の島に亡命し翌年死去。62歳。
2.難解な著作の由来
アリストテレスの本はなぜ難解か=自分の授業用の覚え書きで、人に読ませるように書いていないから。
3.学問体系と方法論
・まず前提として論理学 その後を<理論の学>(自然学、数学、神学)と<実践の学>(倫理学政治学)に区別した。実践の学には厳密性を求めず、蓋然性(だいたい)が得られればそれで満足とした。
プラトンのように戯曲でなく、やっと論文のような形をとった
4.形式論理学の確立――推論と論証の構造
形式論理学創始者でありそれはすでに極めて完成度が高い
・論証の方法 原理からの演繹 原理を直覚するのは帰納
5.人間と知識
・曖昧な「経験」ではなく、言葉にできる「技術」や「知識」を重視。普遍性を重視。
・学校[school]の語源はギリシャ語のscholê=ゆとり。知の発現を準備する条件はゆとりがあること。ゆとりのない学校は語義矛盾。
アリストテレスによれば、昔も今も、人は「驚くこと」(thaumazein)によって知を愛求し(philosophein)始めた。月の満ち欠けや天体の蝕、夏至冬至の太陽の回帰、雷鳴や地震など、天文気象の身近な事例から始まって、やがて宇宙の起源(cosmogony)や死後の世界(eschatology)など、「なぜか」を求める人々の関心は広がってゆく。神話もまた不思議な事象の原因譚(aetiology)を含む限り、こうした愛知の一形態に連なるのである。
6.四原因論と初期の自然学
・(1)「何であるか?」(形相因)(2)「何からできているか?」(質料因)(3)運動変化の出発点。(起(始)動因)(4)何のために存在するか?(目的因)
7.<自然>とは何か
8.目的論的自然観
9.カテゴリーの諸相
10.実体と存在論
・形相と質料、類と種、自体性と付帯性、定義における部分と全体、本質と基体、個別と普遍、現実態と可能態といったアリストテレス特有の諸概念

◆要約:アリストテレスはまず前提としての論理学を重視。定義や言語学も重視。自然学では四原因論を重視。科学的な学問の基礎を築いた。