マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【授業メモ】「西洋哲学の起源 第12回 中世初期の哲学」

放送大学 桑原直己先生

1.中世の世界―政治的多元性とキリスト教のもとでの統一

・中世=「封建社会」。分権的、政治的に多元的な社会。
・そのなかでキリスト教が普遍的な絆として機能。
神聖ローマ皇帝教皇から「戴冠」を受ける。
教皇と皇帝という2つの焦点をもつ楕円社会

2.中世初期の世界

2.1.農業経済とベネディクト型修道院

・6世紀ベネディクトス モンテ・カッシーノ修道院 『戒律』 「祈り」「勉学」「労働」の日課。特に労働(写本と農作業)を重視。

2.2.中世初期の知的世界の担い手としての修道院

・各地で戦争が起こり、聖堂が壊されたり文化が衰退した。そのときに修道院がそれを守った。

3.カロリング・ルネサンス

3.1.アルクイヌスとカロリング・ルネサンス

・9世紀カロリング朝カール大帝 ブリタニアの修道士アルクイヌスを招聘し学問と教育の復興を図る=「カロリング・ルネサンス
・学校制度を整備 神学、教父哲学が中心

3.2.ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ

・『自然について』4つの自然

4.時代の変わり目としての11・12世紀

4.1.都市的中世への変化と12世紀ルネサンス

・農業経済→都市と貨幣経済の発達
・「内向的」な修道院学問→大聖堂付属学校を中心とした「外交的」な学問 「スコラ(学校)学」
・知識人たちの自由な交流。優れた教師を求めて生徒が集まる。私塾的都市学校→のちの大学 この時期におけるこうした知的世界の発展は「12世紀ルネサンス」と呼ばれる

4.2.「修道院神学」対「初期スコラ学」
4.3.ペルトス・アベラルドゥスと普遍論争

・「唯名論存在論」という図式で知られるいわゆる「普遍論争」
・普遍とは、知性が個々の事物から抽象したその本姓に対する普遍的認識を表現する「言葉」である
・善悪とはその行為そのものに属するのではなく、行為者の意志に存する。罪の本質とは神との人格的関係が損なわれることであり、つまり良心に逆らう決断をすること。

4.4.シャルトル学派

・11世紀初頭 フランスのシャルトル司教座聖堂付属学校が名声を集め多くの学者が集まる
・比較的自然科学を重視

4.5.カンタベリーのアンセルムス

・「知解せんがために信ずる」「知解を求める信仰」
・『プロスロギオン』での神の存在証明。神を考えられるということは、神は存在しうる。神は偉大だから存在しうるということは存在する。

4.6.クレルヴォーのベルナルドゥス

・シトー会。修道院神学をとくにその清貧の理想においてもっと厳格に。
・自由の三段階説 「自然本性の自由」「恩恵による自由」「栄光の自由」

4.7.サン=ヴィクトル学派

★ここが重要
フーゴー 学問全体を整理し体系化
哲学
 理論学・・・自然学、数学、神学(形而上学を含む)
 実践学・・・政治学家政学倫理学
 機械学・・・演劇学、医学、狩猟学、農学、通商学、造兵学、機械学
 論理学・・・弁証学、文法学

論理学 すべての学問の「道具」としての予備学
機械学 身体的存在としての人間の必要性に奉仕する
実践学 人間の自由意志を善へと導くことが目的
理論学 人間知性の完成 最高段階の学問
・サン=ヴィクトルのリカルドゥス『三位一体論』『大ベニヤミン』『小ベニヤミン』 
 
◆要約:中世、最初は農業社会。修道院。→ 都市化、貨幣経済化。都市型学校。スコラ学。経済学など実学のようなものが発達。フーゴーの整理は重要。理系と文系。ベクトルの大きさと方向の関係。