マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】永江朗『新・批評の事情――不良のための論壇案内』(ちくま文庫 2010年)

単行本は2007年。

1 この国のゆく道きた道

内田樹 時代は叔父さんを求めている

・バランスを取る 両極端ではなくその中のグラデーション
・「叔父さん」的ポジションの文化人・知識人の系譜
足立和浩の門下生

小熊英二 自明の理の破壊

・『<民主>と<愛国>』=一口に戦争体験、戦後体験といっても、多種多様である
・粉川哲夫の担当編集者

藤原帰一 現実主義ではなくリアリズムを

森達也 戦略的ナイーブで

姜尚中  「どちらでもない」から見えるもの

北田暁大 ネタとベタとアイロニー

アイロニー=「皮肉」「反語」「言わんとすることの逆を述べることによって、言わんとすることをより効果的に伝えるレトリック」

鈴木謙介 「意味から意味への接続」のなかで

酒井隆史 ネオリベラリズムは「自由」か

・自由を差し出して安心・安全を手に入れる。かくして「服従」は「自由」になる。
・人々を孤立した個人に解体し、全体主義を志向させるものこそがネオリベラリズム

2 格差社会の歩き方

湯浅誠 現代日本の貧困を可視化

雨宮処凛 人を鼓舞するアーティスト

・ビジュアルも込

赤木智弘  「誇り」と「自尊心」

・「屈辱」「自尊心」

三浦展 ファスト風土化と下流

・「田舎の人間にはコンプレックスとプライドがある」

玄田有史 仕事に就くということ

・フリーター、自分探しブーム、ニート

斎藤貴男 「自由と平等」のいま

三浦朱門教育課程審議会会長 曽野綾子の夫

矢部史郎と山の手緑 無産大衆は消費のサボタージュを企てる

・「賃金の目安は0円」

稲葉振一郎 経済と倫理のあいだで

小野善康ケインズ論と山形浩生経由でのクルーグマン受容

野口旭とリフレ派の人びと 基本に忠実、だから強力

・『エコノミストミシュラン
・リフレ派=ケインズ派新古典派のハイブリッド
・デフレ期待→インフレ期待(インフレターゲット論)
・リフレ派の肝は竹中平蔵を表面上は批判したこと

金子勝 万人のためのセーフティーネット

・師匠は林健
・父は佐渡島出身で苦学
ケインジアンマルキストのいいとこ取りを狙うアンチ新古典派

3 00年代カルチャー

宇野常寛 ゼロ年代の「サヴァイヴ感」

・95年 エヴァンゲリオン セカイ系→01年 決断主義

前田塁 小説の謎を究明するユニット

前田塁市川真人の批評ユニット 「早稲田文学」→フリーペーパー「WB」川上未映子の発掘

安藤礼二 批評の創造性

折口信夫=探偵小説マニア 
・批評なのか、続編を書く気持ちなのか

岡田暁生 音楽のメタ批評家

菊地成孔 大衆音楽の過去・現在・未来

・『CDは株券ではない』

陣野俊史 日本文学はフランス暴動とつながっている

・「前衛」臭のする若い作家 中原昌也星野智幸舞城王太郎

仲俣暁生 雑誌を編集するように批評する

・「シティロード」編集者

田中和生 高度資本主義下の純文学は

縄田一男 時代小説は「こうであってほしかった過去」

・時代小説は変わってほしくない価値観を書く=保守的

山下裕二 日本美術がヤバイわけ

森川嘉一郎 趣都アキハバラの解読

ササキバラ・ゴウ おたく国策化には都合の悪いこと

本田透 萌えは反恋愛資本主義か?

インセルの初期形態
・自虐的
恋愛資本主義恋愛至上主義
・モテと非モテの格差拡大 恋愛ネオリベラリズム
・恋愛から疎外されている→脱落したものは虚構を求めるしかない→アイドル・二次元

荷宮和子 強者の論理に言いくるめられないために

山崎まどか 乙女カルチャーはリアルクローズ

4 ライフスタイル

ドン小西 「新しい」=「正解」か?

遠山周平 日本人は洋服をどうすればいいのか

赤城耕 カメラから写真を語る

福野礼一郎 「暮しの手帖」的クルマ論

・「暮しの手帖」の日用品テスト

山口淳 バブル以後のモノ語り

松田忠徳 温泉の分節化

犬養裕美子 客と店との幸福度

六本木ヒルズのレストランの値付け問題

単行本あとがき

要約・感想

5/26読了。
◆感想:さくっと読めた。前作同様、批評家・文化人のことを広く浅く知れる。
赤木智弘の章がかなり辛辣なのが驚いた。赤木の「屈辱」や「劣等感」が永江はわからないとのこと。このことに世代差を感じた。
おなじアルバイトだとしても、80年代と00年代では意味が全く違う。右肩上がりの時代と右肩下がりの時代。社会が明るかった時代と、未来に希望がない時代。結局この人はセゾン系、宝島系の根本は一切変わらないのだなと思った。
あとは野口旭の章でこの時期の「リフレ派」に対するスタンスが書かれているのが興味深い。やってみるまではどちらが正しいかわからなかった。ちゃんとケインズ政策をやればリフレ派にも理はあるのかもと思っていた人も多い。しかし各学者の人間性をみれば、やる前から答えは出ていた。
あとは、この時期に一番期待されていたのが宇野常寛だとわかる。