マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【映画メモ】若松孝二監督『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007年)

早稲田松竹
  
◆感想:5年ぶりくらい2回目。スクリーンでは初。
やはり凄い映画だった。
「政治の季節」。後にも先にも無い時代だったように思う。
運動の盛り上がりは凄かったけど、だんだんしぼんでいった。
社会が「豊か」になっていって、革命の必要がないように思えてきた。(それはもちろん第三世界を踏みつけての豊かさなんだけど。)
この豊かさは、運動が引き出したものなのか、因果関係はわからない。運動が引き出したものなら、運動にはすごい成果があったことになる。
革命の必要性が揺らぐ中で、党がセクト化、カルト化していった。セクト同士の内ゲバも起こるようになってきた。
あるセクトが派手なことをやると、「俺たちも負けていられない」と競争心を煽られた。
だんだん先鋭化していく。
革命が自己目的化していくというか。
本当に純粋な若者が集う。
連合赤軍ができてしまったことは不幸だと思った。
2つが1つになったことで、相手に舐められてはいけないと、もっと潔癖化してしまったように思う。
そして山岳ベース事件。革命戦を戦い抜くために「過ちを総括し、自らを共産化しろ」というパワーワード
オウム真理教に似てると思うけど、彼らは「豊かな社会」に満足できないのだと思う。
宮台真司が「内在系/超越系」という分け方をしてるけど、日常の平穏・小さな幸せでは幸せになれない人間。どうしても超越を求める。
彼らを責めたり非難する気にはなれない。
自分なんかはむしろ彼らの運動のおかげで、引き換えに「豊かさ」を支配層から享受させてもらった世代だと思う。
その後、社会運動が退潮した現在は、支配層が譲歩する必要もないので、やられっぱなし。
改めて話を映画に戻して、役者の演技、ロケーションも含めて凄い映画だったと思う。
勝手な感想を書いたが、自分には知識不足で語る資格もないと思ったので、映画の公式ガイドブックと関連書籍を買った。
それらを読んでもう一度考えようと思う。