- 1位 エドワード・バーネイズ著、中田安彦訳『プロパガンダ[新版]』(成甲書房 2010年)
- 2位 ジグムント・バウマン著、森田典正訳『リキッド・モダニティ――液状化する社会』(大月書店 2001年)
- 3位 ミシェル・ウエルベック著、中村佳子訳『闘争領域の拡大』(角川書店 2004年)
- 4位 ジャン=ポール・サルトル著、伊吹武彦・海老坂武・石崎晴己訳『実存主義とは何か 増補新装版』(人文書院 1996年)
- 5位 浅田彰『逃走論―スキゾ・キッズの冒険』(ちくま文庫 1986年)
- その他
1位 エドワード・バーネイズ著、中田安彦訳『プロパガンダ[新版]』(成甲書房 2010年)
「広報の父」と称されるエドワード・バーネイズが自らプロパガンダの意義と手法を解説した本。完全なエリート主義で、馬鹿な大衆は適切なプロパガンダによって馴致されることが社会を運営するうえで必須という立場。中田安彦さんの解説が丁寧で、自分たちがいかに騙されているかを知れて大変ためになった。2位 ジグムント・バウマン著、森田典正訳『リキッド・モダニティ――液状化する社会』(大月書店 2001年)
今も続く、ネオリベ社会というものがよく分かる。徹底的に公共、社会、共同体を破壊し、個人をひたすら弱く、不安定にする。20年以上前の本だが、いまに続くことはここに全て書かれており、それがさらに悪化して、全員が心を病んでいるのがいまだと思う。
3位 ミシェル・ウエルベック著、中村佳子訳『闘争領域の拡大』(角川書店 2004年)
『リキッド・モダニティ』で描かれた、不安定で個人化した社会を描いた象徴的な小説だと感じた。勝ち組、負け組に分かれ、負け組はパートナーも得られない。
少し前に話題となっていた「インセル問題」を扱った小説の草分けでもあると感じる。
4位 ジャン=ポール・サルトル著、伊吹武彦・海老坂武・石崎晴己訳『実存主義とは何か 増補新装版』(人文書院 1996年)
実存主義とは行動主義。現在の状況を、愚痴をこぼさず、言い訳せず引き受ける(アンガージュ)こと。構造主義や社会的要因は当然ある。そのルサンチマンに安住せず、不幸や不運を引き受けた上でどう行動するか。
一方で諦念(どうせ人は死ぬし、世界は変わり続ける)でもあり、一方で勇気の思想だとも感じた。