マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【映画メモ】ダヴィッド・デュフレーヌ監督『暴力をめぐる対話』(2020年)

@シネマ・ジャック&ベティ
・原題『Un pays qui se tient sage(聞き分けの良い国)』英題『暴力のモノポリー(独占)』
・国家による目に見えない暴力 増税 富者への優遇 さまざまな規制 マスコミ 嘘 
・ジュネの暴力の話 アスファルトを突き破る植物、卵の殻を破るヒヨコ 生命力
シチュアシオニスト ギー・ドゥボール Détournement(剽窃) = スマホで警察を撮ること

パンフレット

動画撮影は武器なき者たちの武器だ 森千香子(社会学者)

・27人がゴム弾で目を失い、5人が手榴弾で手を失い、2人が命を落とした
・webサイト「Allo Place Beauvau(もしもし、ボーヴォー広場)」 ボーヴォー広場=警察を管轄する内務省の愛称
スマホによる動画撮影が、パノプティコンの「見るもの/見られるもの」の構図を解体した
マックス・ヴェーバー「国家はその利益のために、正当な物理的暴力行使の独占を要求する」
・国家が暴力を独占することの正当性 国家に正当性がなくなったとき 父親によるDVの比喩

”聞き分けの良い国”日本に必要な「死にゆく民主主義」についての記録 林瑞絵(映画ジャーナリスト)

・荒廃した「郊外(バンリュー)」「バンリュー映画」 『憎しみ』(1995年)
・ラジ・リ『レ・ミゼラブル』(2019年)
・郊外は警察による暴力の実験場
・「民主主義とは意見の相違である」

キーワード

・黄色いベスト運動(ジレ・ジョーヌ):2018年11月17日から毎週土曜日 富裕層向けの税金を廃止する一方で燃料税の増税
エマニュエル・マクロン:財務監察院→金融業界→経済・産業・デジタル大臣→新党「前進!」→39歳でフランス大統領

監督インタビュー

・ジガ・ヴェルトフ集団 一人一人の市民の後ろにカメラがある
・「正当な暴力の独占を要求するのですか?それならそれにふさわしくありなさい、正当でありなさい」
・警察の上層部は出演オファーを拒否した
・割れたショー・ウインドーのガラスのかけらは資本主義のかけら
マクロンプーチンの会談 ロシア・中国の予防的権力行使
エリゼ宮=大統領官邸
・経済的、社会的、政治的な見えない暴力 これがデモ隊の暴力行為を誘発している
・マント=ラ=ジョリーの高校生が警察に制圧されている映像
・「人間と市民の権利の保障は、公的な力を必要とする。この力はすべての人の利益のために設けられるのであって、それを委託された者の特定の利益のために設けられるのではない」人間と市民の権利宣言第12条

黄色いベスト運動とは何だったか。なぜ警察は暴力的になったのか 今井佐緒里(ジャーナリスト)

・左派も右派もいた 支持政党なしが多かった 貧富の格差に対しての怒り
・運動について、初期の世論調査 20%が参加 55%が参加はしないが支持 25%が不支持
・2018年12月1日 シャンゼリゼ通りの大暴動
・12月4日新税の導入半年延期が決定 マクロンの少しの譲歩
・伏線にある郊外の移民問題 フランスでもブラック・ライヴズ・マターがある
・武器の高度化 エスカレーション 
・警察も怖い
 
◆感想:とても面白かった。
黄色いベスト運動に大変興味があり、フランスまで見に行きたいと思っていたほどなので、映画であっても見れてよかった。
映像は大変迫力がある。そして、不謹慎だが、パリの街が綺麗。昼でも夜でも暴動が絵になる。ゴム弾や銃で打たれるショッキングな映像もある。
黄色いベストが始まった2018年は68年からちょうど50年。不思議なめぐり合わせを感じる。
このような高度なデモ、運動が起こるフランスは民度が高いと感じた。
映画の中でも誰かが発言していたが、このような暴動も含めて民主主義。暴動や犯罪がなくなったらそれは全体主義ディストピアになる。
その点で日本はかなり終わってると感じる。デモや暴動をする元気も教養もなくて年間3万人が静かに自殺する。個人化・孤立化されて分断されていることもあるが。
フーコードゥルーズギー・ドゥボールなどを生んだ国。
国家や権力についての基礎的な教養レベルが日本と全然違う。日本にも幸徳秋水大杉栄など偉人がいるのだが。
マクロン投資銀行出身という絵に書いたような新自由主義者。ルペンと対比することで自分を中道と言ってるけど。
この映画を観ていて、デヴィッド・ハーヴェイによる「新自由主義とは『上から下へ』の階級闘争なのだ」という超名言が何度も思い浮かんだ。
ケン・ローチの映画を観たり、マーク・フィッシャーの本を読んでも思ったことだが、イギリスもフランスも本当に大変なのだなあと思った。
でも繰り返しになるが、デモや運動や暴動があるだけまし。それが民主主義の一部。
全員が生きながら死んでる日本よりは数倍ましだと思う。こういう映画が作られることも。

【講演メモ】IDEC横浜起業チャレンジセミナー@横浜市中央図書館

■創業のための基礎知識と心構え 講師:IDEC横浜 経営相談員 迫田毅さん

・IDEC横浜=横浜企業経営支援財団 中小企業支援法に基づき、横浜市長から指定を受けた市内唯一の「中小企業支援センター」として、中小企業等の経営基盤の安定・強化をはじめ、経営革新、新事業創出、創業の促進を図るための、総合的かつ継続的な支援事業と産業関連施設の管理運営を実施し、横浜経済の活性化と地域社会の健全な発展に寄与することを目的とした公益財団法人。
・財団法人 鶴見会館、財団法人 横浜工業館、財団法人 横浜市金沢産業振興センター、財団法人 横浜市中小企業振興事業団が統合し、財団法人 横浜産業振興公社として発足。財団法人 横浜産貿ホールを統合

1.創業前に考えておくこと

・創業=手続きとしては、税務署に所定書類を提出するだけ A.個人事業→開業届 B.法人→法人設立届出書
・創業5年で半分以上倒産・廃業 理由の大半が売上不振 
・創業する理由を突き詰めて、覚悟に変えること 掘り下げて、具体的な数値目標に落とす
・①小さく初めて大きく育てる 最初から大規模投資しないこと ②複業 決して事業/収益源を1つだけに限定しないこと 今の仕事を続けながら、始めてみる

2.支援制度の活用方法

・①情報収集 ミラサポplus(経産省中小企業庁)、J-Net21 START UP PORT YOKOHAMA 創業手帳
・②経営知識③事業計画 上記+youtubeストアカ、Schoo
横浜市創業支援等事業計画
・④資金準備 a)制度融資 b)日本政策金融公庫融資 c)民間融資
横浜市の創業融資 日本政策金融公庫の創業融資 
横浜市創業促進助成金 助成率1/2(最大20万円まで)
・⑤何かこまった場合 →一人で悩んでも時間の無駄 IDECなどに相談
・神奈川県よろず支援拠点 横浜商工会議所 中小機構

3.事業計画

・ビジネスモデル=図式化
・ビジネスモデル作成 SONY StartDash
・資金計画 費用見落としがないこと 多めに見込む
・創業計画書 日本政策金融公庫 創業理由 創業者経歴 販売商品・サービス 購入して貰える理由 ターゲット顧客・販売戦略・競合分析 販売予定先・仕入先・外注先 人員計画 借金の状況 資金計画 1年後の事業見込み 自己PR

4.創業時の事業形態・手続き

・課税所得金額
・個人事業か法人か 課税所得金額900万円が分かれ道
・消費税 売上1000万円を超えた2年後から。→法人化するとリセットされる。さらに2年後。 
・株式会社か合同会社か 初期費用、株を発行できるか否か
・許認可に注意 法人設立支援サービス マネーフォワード、freee

5.起業を意識したらやっておくべきこと

・今の会社からノウハウを盗む
・自分の「好き」「嫌い」を理解する。「嫌い」は外注にだす。
・応援してくれる「仲間」を増やすこと
・「自身の選択」の結果が現状であることを認識すること →何事も人のせいにしない
・体が資本 健康第一
・IDEC ワンストップ経営相談窓口 無料

■金融機関から見たポイント 講師:日本政策金融公庫 横浜支店 国民生活事業 上席課長代理 藤原亜希さん

1.日本政策金融公庫の概要

・119万先 平均1000万円

2.日本公庫の創業支援

・新規開業資金 事業開始後7年以内 創業支援
・創業ホットライン
・事業継承マッチング支援で事業売却も出来る
・各種セミナー

3.創業計画書の作り方

・創業計画書(ビジネスプラン)は借り入れのためだけではない
・①協力者(出資者、金融機関、取引先)のため
・②自分自身のため 自分が考える事業構想を整理し、事業化するための課題と「やるべきこと」を明確にする
・ここでも、「小さく生んで大きく育てる」という発想が大事
・相談にのってもらえる
 
◆感想:いろいろ支援がたくさんあることがわかった。

【読書メモ】佐野亨『ディープヨコハマをあるく』(辰巳出版 2022年)

目次

はじめに――ディープヨコハマに分け入る

◆第1章 桜木町・野毛をあるく

場末の自由が息づくまち

・野毛=闇市
平岡正明「ハマ野毛」

カストリ横丁幻視行

・カストリ=密造焼酎
・カストリ横丁、くじら横丁→桜木町デパート、ぴおシティに吸収される

萬里秘宝十九番

・特製中国ランチ

野毛にジャズ喫茶あり

・ちぐさ、ダウンビート

「平民芸術」のまち

大衆演劇 1949年『悲しき口笛美空ひばり 横浜国際劇場

大岡川スラム

・一大貧民窟 『天国と地獄』 ヒロポン→ヘロイン 密売トーチカ 麻薬銀座
・ちょんの間 青線 1970年後半から中国・台湾・タイ人 2004年「バイバイ作戦」

◆第2章 野毛山・戸部をあるく

紅葉坂

高島嘉右衛門 横浜瓦斯会社 工場跡 
有島武郎或る女』 初代横浜駅桜木町駅
・青少年センター、図書館、音楽堂=開港期の神奈川奉行所
・飯岡幸吉<ここの通りを鯨横丁と人呼びて雨にぬれ立つ労働者の群><道行けば鯨肉いたむる匂ひして人は屋台に十円置きて食う>

岩亀横丁〜保土ケ谷道〜藤棚

野毛山の神さん

伊勢山皇大神宮成田山横浜別院(延命院)

野毛の文学者たち

・老松小学校 獅子文六尾崎士郎今東光平野威馬雄平野レミの父、平野悠の叔父)

野毛山の歴史遺産

・子神社と東福寺

◆第3章 関外をあるく

関外の淵――吉田町

・吉田橋関門跡

ソープランド街とコリアタウン――福富町

・キャバレーのメッカ

興行のまち――伊勢佐木町

・芝居小屋と映画館

伊勢佐木書店今昔

牛鍋を喰う

「共通の根」をもつこと――寿町

・中田志郎『はだかのデラシネ』(1983年)デラシネ=根なし草 地主は朝鮮系

中村町の記憶

黒澤明どですかでん
森川信 吉川英治
中村川、掘割川 関東大震災朝鮮人虐殺の歴史

三吉橋・浦舟町

早矢仕有的 市大病院の前身

永真遊郭と曙町

篠田正浩『乾いた花』(1964)山崎洋子『花園の迷宮』
田中英光『曙町』私娼窟

◆第4章 関内をあるく

ガス灯と西洋料理――馬車道

遊郭、魚市場から野球場へ――横浜公園

貿易の中心地――弁天通り〜本町通り

港の歴史とともに――海岸通り〜日本大通り

震災の瓦礫の上に――山下公園

・ホテル・ニューグランド 大佛次郎
マリンタワー 降旗康男『冬の華』(1978) 中平康砂の上の植物群』(1964)
・ホットドッグコーナー「ワトソン」小金丸峰夫 ナポレオン党 クレオパトラ党 キャシー中島 山口小夜子 浅野順子

◆第5章 中華街・元町・山手をあるく

ひし形のラビリンス

横浜における中国人コミュニティの歴史

観光地としての中華街

日清戦争時の悪感情→大幅な職業制限 理髪、洋裁、調理の三把刀 

「落葉帰根」から「落地生根」へ

中華街の裏通り

葉山嘉樹『淫売婦』
・第二次大戦後 外国船員向けの「外人バー」 片桐摩湖(水原リサ)

中村川が隔てるもの

天地真理主演『虹をわたって』(1972) 北林透馬『街の國際娘』

元町の坂

・東洋フィルム会社→大正活映 文芸部顧問谷崎潤一郎
ダンスホール クリフサイド 『上海帰りのリル』(1952)

海を眺める母子

・愛の母子像 1977年横浜米軍機墜落事件 土志田和枝さん

外国人墓地に眠るひとびと

ゲーテ座 陽気さ・快活さ 詩人のゲーテとは関係ない 新劇の外人劇 大佛次郎坪内逍遥、北村透谷、芥川龍之介滝廉太郎らがみる

◆第6章 本牧・根岸・磯子をあるく

トンネル抜ければ……

本牧通り=市電通り 鈴木清順『港の乾杯 勝利をわが手に』(1956)
江川宇礼雄

墓地が語る歴史

本牧の不良文化が生み出した音楽

本牧十二天とチャブ屋

谷崎潤一郎『港の人々』
野坂昭如『浮世一代女』

バブル期の再開発とその後

三渓園本牧埠頭

山本周五郎 旅館間門園

根岸の丘の上

成瀬巳喜男『ひき逃げ』(1966)

堀割川疎開道路

・芦名橋公園 アテネ劇場 美空ひばり 磯子花街

屏風浦〜岡村

失われた梅林と劇場

◆第7章 鎌倉街道・金沢をあるく

日本橋花街

朝鮮人虐殺の犠牲者を弔う

・寶生寺 李誠七

乞食谷戸

・眞葛焼

蒔田・井土ケ谷周辺

・笹田照一 林喜一郎 ブルースカイ事件

弘明寺――横浜最古の寺のまち

島尾敏雄『幼年期』

大久保花街と戦没者慰霊堂

刑務所のある風景

能見台――軍需工場のまちからファミリータウンへ

・大日本兵

富岡の戦跡

竹中直人

シーサイド周遊

金沢八景の今昔

◆第8章 横浜駅・みなとみらいをあるく

横浜西口の盛り場

石油と砂利のあとに

・2016年おでん屋台撤去

平沼周辺

鶴屋橋周辺

東口地下街と出島地区

万里橋〜高島町

・裏横浜
・大きな道路と街の動線の問題。

みなとみらいの「過去」

・横浜船渠→三菱重工業横浜船渠
・1989横浜博覧会(YES'89)

永遠に未完成のまち

新港地区

・新港埠頭1942年横浜港ドイツ軍艦爆発事件

◆第9章 神奈川をあるく

港湾労働者の海とマンハッタン

浅野総一郎
・宿場そば「マンハッタン」チーズカレー南蛮

ポートサイド地区

変わりゆく市場の風景

コットンハーバーと浅野ドック

行きどまりのバー

村雨橋 1972年ベトナム戦争反対戦車闘争
・バー・スターダストとポールスター

高島山

消えた反町の「遊び場」

反町公園『踊る竜宮城』

三ツ沢の慰霊塔

子安・大口――まちにのこる戦時の面影

浦島太郎伝説

子安浜

◆第10章 鶴見をあるく

總持寺花月園

・第2次大戦中には、寺に隣接して東京警備軍横浜警備隊の兵舎が置かれていた。敗戦の直前、佐々木武雄陸軍予備役大尉は母校である横浜高等工業学校の生徒たちを動員して国民神風隊を結成し、首相官邸鈴木貫太郎首相の私邸を襲撃した。
・「西の宝塚、東の花月園」 葉山三千子

獅子ケ谷〜三ツ池公園

豊岡・佃野周辺

・西田書店 新藤兼人『どぶ』(1954)

鶴見三業地

鶴見騒擾事件朝鮮人虐殺への抵抗

・鶴見分署署長大川常吉 朝鮮人を暴徒から匿う

沖縄人コミュニティと青線地帯

森崎東『野良犬』(1973)

米軍の貯油施設

国道駅〜生麦

◆第11章 港北をあるく

日吉にみる「横浜vs川崎」の歴史

大倉山〜菊名

金子修介1999年の夏休み』(1988)

岸根公園と戦争の記憶

在日米軍野戦病院

横浜駅

◆第12章 保土ケ谷・戸塚をあるく

あの頃、保土ケ谷の丘の上で

黒澤明姿三四郎』『天国と地獄』

原節子が無名の少女だった頃

金沢道から久保山へ

・石橋大司さん 少年の日に目撃した一市民

保土ケ谷宿

東戸塚駅周辺

戸塚宿

舞岡〜本郷台

夢の跡

深谷通信所跡地2014年にようやく全面返還
・大阪の千日デパートや千日劇場を創設した昭和の興行王松尾國三によって1964年(昭和39年)に開園した横浜ドリームランドは、総工費200億円を投じた「日本のディズニーランド」とし て一時代を築いた。僕のように現在30代から40代くらいの世代は、子どもの頃に親に連れていかれた記憶があるひとも多いだろう。「キイハンター」などTVドラマのロケ地としても頻繁に使用されたため、在りし日の風景がさまざまな映像にのこされている。恩地日出夫監督の青春映画『めぐりあい』(1968年)では、ヒロインの酒井和歌子がドリームランドで働いている設定で、最盛期のにぎわいを確認することができる。また、クレイジーケンバンドのヴォーカリスト横山剣は中学生の頃、ドリームハイツにくらしていたという。
1983年(昭和58年)の東京ディズニーランド開園などを契機に客足が減少し、バブル崩壊後は辺境の地にある昭和の遺物と化して、2002年(平成14年)に閉園した。跡地は横浜薬科大学のキャンパスのほか、俣野公園として整備され、ランドマークだったホテル・エンパイアは、薬科大附属図書館として利用されている。
・相州春日神

◆巻末特別インタビュー 小野瀬雅生(クレイジーケンバンド)――「混ざりたくなるまち、それがヨコハマだ。」

・戦後なので空き地が多かった
本牧、音楽の街 CHIBOW ブルースハープ
本牧華香亭バンメン

おわりに

★ひとつの場所に何層にも堆積した時間をたどりなおすこと
2023/03/27読了
 
◆感想:面白かった。知っている話と知らない話。
舞台になっている映画の紹介が役に立つ。
能見台、金沢文庫・八景、神奈川、鶴見のあたりは改めて歩いてみたいと思った。
国として斜陽なのでどの街もしょうがない部分はあるが、それでも横浜に健やかな活気とオリジナリティーと好奇心と知性を取り戻したいと思っている。

【読書メモ】『令和4年度版  危険物取扱必携 法令編』(一般財団法人全国危険物安全協会 2022年)

目次

第1章 危険物規制の概要

1.危険物

(1) 消防法上の危険物

・消防法第2条第7項「別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものを言う。」
・一般に、消防法上の危険物は、それ自体が発火又は引火しやすい危険性を有している物質のみでなく、他の物質と混在することによって燃焼を促進させる物品も含む
①第一類 酸化性固体 そのもの自体は燃焼しないが、他の物質を強く酸化させる性質を有する固体であり、可燃物と混合したとき、熱、衝撃、摩擦によって分解し、極めて激しい燃焼を起こさせる危険性を有する。
②第二類 可燃性固体 火炎によって着火しやすい固体又は比較的低温(40度未満)で引火しやすい固体であり、燃焼が速く消化することが困難である。
③第三類 自然発火物質及び禁水性物質 空気にさらされることにより自然に発火する危険性を有し、又は水と接触して発火し若しくは可燃性ガスを発生するもの。
④第四類 引火性液体 液体であって、引火性を有する。
1.特殊引火物 ex.ジエチルエーテル、二硫化炭素 指定数量50L
2.第一石油類 ex.アセトン、ガソリン 指定数量 非水溶性/水溶性 200/400
3.アルコール類 ex.メタノールエタノール 指定数量400
4.第二石油類 ex.灯油、軽油 指定数量 非水溶性/水溶性 1000/2000
5.第三石油類 ex.重油クレオソート油 指定数量 非水溶性/水溶性 2000/4000
6.第四石油類 ex.ギヤー油、シリンダー油 指定数量6000L
7.動植物油類 ex.ヤマニ油 指定数量10000L
⑤第五類 自己反応性物質 固体又は液体であって、加熱分解などにより、比較的低い温度で多量の熱を発生し、又は爆発的に反応が進行する。
⑥第六類 酸化性液体 そのもの自体は燃焼しない液体であるが、混在する他の可燃物の燃焼を促進する性質を有する。

(消防法別表第一)
(2) 危険物の判定 試験の方法と性状

・第四類の場合 引火点測定試験

(3) 指定数量

・法第9条の4 指定数量未満の貯蔵・取扱については、市町村条例で定める

(4) 指定数量の倍数の計算方法

・例えば 軽油2000L なら 2倍
・数種類なら全部たしたもの 13倍とか

(政令別表第三)

2.危険物規制に係る法令体系

(1) 危険物規制の概要

①指定数量以上の危険物の貯蔵又は取扱い/②指定数量未満の危険物の貯蔵又は取扱い/③危険物の運搬

(2)危険物の貯蔵・取扱いの制限、仮貯蔵等

・消防法第10条、11条 許可又は承認が必要

(3) 航空機等への適用除外

・航空機、船舶、鉄道は例外的

3.製造所等の区分

・製造所/貯蔵所/取扱所 
・貯蔵所=屋内、屋外タンク、屋内タンク、地下タンク、簡易タンク、移動タンク、屋外
・取扱所=給油、販売、移送、一般

4.各種申請手続き

・タンクは設置・変更許可制 完成前、完成、定期、臨時検査
・申請先は市町村長等がほとんど、「仮貯蔵・仮取扱い」のみ、所轄消防長又は消防署長

5.設置等の許可申請手続き

・申請→許可→工事着工→完成前検査→工事完了→完成検査、完成検査済証の交付

(1) 設置(変更) 許可申請
(2)完成検査申請
(3) 仮使用承認申請
(4) 完成検査前検査

6.各種届出手続き

・「品名・数量又は指定数量の倍数の変更」だけは10日前 あとは 遅滞なく すべて市町村長あて

7.危険物取扱者制度

・必ず危険物取扱者が行うか立会う

(1) 危険物取扱者

・甲乙丙 責任がある

(2) 危険物取扱者免状の交付等

8.保安講習

(1)継続して危険物の取扱作業に従事している場合

・3年以内に保安講習

(2) 危険物の取扱作業に従事していなかった者が、新たに危険物の取扱作業に従事することとなった場合

・1年以内 3年以内

(3) 従事しなくなった者又は従事していない者

9.危険物施設での災害防止のために

10.危険物保安統括管理者

・対象 敷地内に複数の製造所等を有し、大量の第四類の危険物を取り扱う事業所。
・目的 製造所等ごとの保安管理体制を、事業所全体で連携する。
・選解任 選解任については、遅滞なく、市町村長に届出

(1) 概要
(2) 資格
(3) 選任を必要とする事業所
(4) 業務
(5) 解任命令

11.危険物保安監督者

・資格 甲種または乙種、6ヶ月以上の実務経験

(1) 概要
(2) 資格
(3) 選任を必要とする製造所等
(4) 責務
(5) 業務

・危険物取扱作業の保安業務
・火災等の災害防止のための隣接危険物施設関係者との連絡保持
・危険物施設保安員への必要な指示
・施設の構造、設備の保安業務
・計測、制御、安全装置等の機能維持のための保安管理
・施設の異常発見時の措置
・施設維持のための定期点検、臨時点検及びその記録、保存
・火災等の災害発生時の作業者に対する指揮による応急措置、消防機関等への連絡
・危険物取扱作業者に対する法令、予防規定に照らした監督

(6)解任命令

12.危険物施設保安員

(1) 概要
(2) 資格
(3) 定めることを必要とする製造所等
(4) 業務範囲

・保安監督者への報告連絡 保安監督者と協力する

13.予防規程

・製造所等の火災を予防するため、事業所が守る自主保安基準 認可が義務づけられている

(1) 概要
(2)認可
(3) 変更命令
(4) 遵守義務者
(5) 予防規程を定めなければならない製造所等

・指定数量の倍数100倍(屋外貯蔵所)

(6) 予防規程に定めるべき主な事項

・例えば 危険物保安監督者が休んでいるときの代行
地震津波の際の対応
・組織、消防方法、点検、記録方法など

14.製造所等における設備等の基準維持義務

・製造所等は、常に安全な状態が維持され、災害の防止が図られていなければならない
・法第10条第4項の技術上の基準に適合するように維持する義務がある
・市町村長等は、基準に適合するように修理、改造、移転を命じることができる

15.定期点検

(1) 概要
(2) 実施対象施設

・地下タンク、移動タンク貯蔵所はすべて対象 

(3) 点検事項等

・1年に1回以上
・内部点検13又は15年周期で内部点検 記録の保存期間は倍

(4) 点検記錄事項

16.保安検査

(1)概要
(2) 定期保安検査、臨時保安検査

17.自衛消防組織

(1)概要
(2)設置義務の事業所
(3) 編成

第2章 製造所等の位置・構造・設備の基準

1 製造所の基準

(1)位置

・①保安距離
・②保有空地 3m  5m

(2) 構造

・地階を有しない 壁、柱、床、はり、階段、不燃材料 天井は軽量なもの(放爆構造) 防火設備 網入りガラス 危険物が浸透しない床(コンクリート

(3)設備

・換気 漏れ防止のピット 温度測定器 圧力計 電気設備に注意 アース 1.5倍の圧力に耐えられる強度 腐食の防止 指定数量10倍以上は避雷針

(4)その他

2 屋内貯蔵所の基準

(1) 位置
(2) 構造
(3)設備
(4) その他

3  屋外タンク貯蔵所の基準

(1) 位置
(2) 構造

・厚さ3.2mm以上の鋼板

(3) 設備

・通気管 レベル計 防油堤(容量最大タンクの110%以上) 

(4) その他

4  屋内タンク貯蔵所の基準

(1) 位置
(2)構造
(3) 設備
(4) その他

5 地下タンク貯蔵所の基準

(1)位置
(2) 地下貯蔵タンクの設置方法
(3)設備

・漏えい検査管

(4) その他

6 簡易タンク貯蔵所の基準

(1) 位置
(2) 構造

・600L以下 70kPaの圧力で10分間行う水圧試験

(3) 設備

・通気管 

7 移動タンク貯蔵所の基準

(1) 位置
(2) 構造
(3) 設備

・手動閉鎖装置及び自動閉鎖装置 アース線

(4) その他

8 屋外貯蔵所の基準

(1) 位置
(2) 構造・設備
(3) 貯蔵できる危険物

・引火点0℃以上のもの→ガソリンは引火点がマイナス40℃なのでだめ

(4) その他

9 給油取扱所の基準

・だいたい形が決まっている

(1) 位置
(2) 構造・設備
(3) 屋内給油取扱所の基準
(4) 航空機、船舶、鉄道、圧縮天然ガス等充填設備設置、 圧縮水素充填設備 (燃料電池自動車用) 設置、自家用給油取扱所、メタノール等又はエタノール等を取り扱う給油取扱所の基準
(5) 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所 (セルフスタンド)の基準

・燃料タンクが満量になったときに、危険物の給油を自動的に停止する構造の給油ノズル
・監視、制御卓 消火設備
・ガソリン 容器への詰替販売 本人確認、使用目的の確認、販売記録の作成

10 販売取扱所の基準

(1) 位置
(2) 第一種販売取扱所の構造設備
(3) 第二種販売取扱所の構造設備

11 移送取扱所の基準

(1) 位置
(2) 構造
(3) 設備

12 一般取扱所の基準

(1) 位置・構造・設備
(2) 基準の特例
(3) その他

13 標識・掲示

(1) 標識

・「危」黒地に黄色

(2) 掲示

・危険物の種別 第四類
危険物の品名 第一石油類(ガソリン)
貯蔵最大数量 5000L(25倍)
危険物保安監督者 佐藤太郎(あるいは職名)
・「給油中エンジン停止」
・「禁水」「火気注意」「火気厳禁」
・屋外貯蔵タンク注入口
第四類第一石油類
火気厳禁
・屋外貯蔵タンクポンプ設備
第四類第一石油類
火気厳禁

第3章 消火設備・警報設備・避難設備の基準

1 消火設備

(1) 種類と適応性
(2) 消火の困難性
(3) 所要単位と能力単位

・100m2にい1つとか50m2にひとつとか 耐火構造か否かによる

(規則別表第2)
(4) 消火設備の設置方法

2 警報設備

・指定数量の10倍以上の場合必要

(1) 警報設備の種類
(2) 警報設備の設置基準

3 避難設備

第4章 貯蔵・取扱いの基準

1 共通基準

・許可又は届け出した以上の数量、品名を扱わない
・みだりに火気を使用したり、係員以外の者を出入りさせない
・整理整頓。不必要な物を置かない。
・遮光または換気
・温度・圧力の監視

2 類ごとの共通基準

3 貯蔵の基準

(1) 危険物以外の物品の貯蔵
(2) 異なる類の危険物の貯蔵
(3) 第三類の危険物のうち黄りん等水中に貯蔵する物品と禁水性の物品の同一貯蔵の禁止
(4) その他

4 取扱いの基準

5 施設区分ごとの取扱いの基準

・移動タンク貯蔵所 引火点40度未満の危険物を注入する場合はエンジンを切る。

第5章 運搬及び移送の基準

1 運搬の基準

(1) 運搬容器
(2) 積載方法

・液体98%以下の収納率 55度の温度において漏れないこと
・品名、危険等級、化学名、水溶性、数量、注意事項の表示
・混載禁止のものがある

(3) 運搬方法

・標識 休憩の際注意 消火設備

2 移送の基準

・移動タンク貯蔵所(タンクローリー) 危険物取扱者の資格 免状を携帯 
・長時間の運転の場合2人 
・アルキルアルミニウム等を運ぶ場合、あらかじめ経路を関係消防機関に送付

第6章 行政命令等

1 義務違反に対する措置

(1) 義務違反と措置命令
(2)無許可貯蔵等の危険物に対する措置命令
(3) 許可の取り消しと使用停止命令
(4) 危険物取扱者免状返納命令
(5) 立入検査等
(6) 罰則規定

2 事故時の措置

(1) 事故発生時の応急措置
(2) 事故発見者の通報義務

・直ちに消防署へ連絡

(3) 危険物流出等事故の原因調査

関係条文

第1章 危険物規制の概要

第2章 製造所等の位置・構造・設備の基準

第3章 消火設備・警報設備・避難設備の基準

第4章 貯蔵・取扱いの基準

第5章 運搬及び移送の基準

第6章 行政命令等

条文別索引

11/20読了