マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】大澤真幸編『アキハバラ発―〈00年代〉への問い』(岩波書店 2008年)

・2008年9月
・00年代は「非正規」と「ネット」の時代
竹信三恵子四つの格差(差別)「中小企業と大企業」「女性と男性」「非正規労働と正規労働」「地方と中央」
・母子がこのような「いっしょにいる」という共同作業に没頭するためには、かたわらでこの没頭の時間、母親が母親になるための没頭の過程をサポートする存在が不可欠である。それが父親であり、この役割を果たすことにおいて、父親は父親になることができるのである。
☆いつの時代でも、民衆が現れ、増殖するのは街路においてだった。そしてこの理由から、国家権力は街路を恐れ、犯罪や事故を防止する名目で、街路に秩序を敷こうとしてきた。つまり、民衆の政治的な活動を、「交通問題」として取り締まろうとしてきた。
☆こうして、交通違反の取り締まり強化は、いつしか、民衆から政治的熱狂の感覚を失わせ(さらにはその感覚に罪悪感を抱かせ)、都市の街路は、ただ通り過ぎるためだけの空間、少しでも目立った行為をすれば、不審者扱いされるほど互いが分断された空間になったのである。ここにも、社会的なものによって保護されることを選ぶことによって奪われる<自由>がある。
土井隆義「自己承認への過剰な渇望感」
・トライブ内に存在を示すために、秋葉原でなくてはならなかった。
大きな物語→小さな物語
ポストモダン思想は、革命だの解放だの、あるいは共栄だのといった「大きな物語」の世紀は終わったと言い、そうした大風呂敷を前提とした秩序から自分を切り離し、一人ひとりの生活実感に基づいた「小さな物語」を生きることを良しとした。
・人は「小さな物語」に自足できない。
永山則夫 青森出身 まなざしの地獄 地方出身者は差別された
濱野智史 VIP板誕生のいきさつ
・雌豚「VIP替え歌」「BLUE BIRD」
・「メガビュー」「究改」に偶然たどり着いた
・公共性の領域において場所を確保するためのもっともありふれたやり方は労働であろう。何らかの労働に従事することで人はその領域に参加し、単に生計を立てるだけではなく、尊重・敬意の交換のネットワークに加わることができる。
・正社員は長時間労働の犠牲を払って、それなりに給料をもらう。非正社員は比較的時間の自由はあるが、不安定で低賃金です。双方とも、大きな犠牲をそれぞれに払いながら、別のものを得るような働き方をしている。
その両者では、承認空間が別様になっていて、評価軸が違うわけですが、両者の間では、それぞれ他方が得ているものを羨み、犠牲にしたものを蔑むような状況になっている。正社員の側は非正社員の自由な時間を羨み、低賃金を蔑む。非正社員は正社員の給料を羨み、長い労働時間を蔑む。要するに、相互に承認が生まれない構造になっているのです。企業にとっては、こういう分割統治をしながら、「適材適所」で労働力をそれぞれ別の意味で最大限活用するのが効率的というわけです。
岡田利規 貧しさの中にいる。
8/19読了