マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】永江朗『批評の事情』(ちくま文庫 2004年)

2001.9単行本
2004.7文庫 
1 社会はどうなる?(宮台真司・90年代がはじまった/宮崎哲弥・アカデミズムとジャーナリズムのあいだで ほか)
2 時代の思考回路(大塚英志・物語の生産と消費をにらんで/岡田斗司夫・オタク批評の真価 ほか)
3 芸術が表わすもの(椹木野衣ポップカルチャーを生きるニヒリズム港千尋・世界を再構築する眼 ほか)
4 ライフスタイルとサブカルチャー伏見憲明・男制・女制/松沢呉一・ばかばかしいもので撃つ快感 ほか)
5 文芸は何を語る(福田和也小林秀雄への道/斎藤美奈子・あなたの固定観念 ほか)
 
まえがき
評論家の条件
1.批評性
2.文章の芸
批評によって、ものの見方・見え方が変わるというのが理想だと私は思います。評論家が言葉をひとつ与えるだけで世界が一変してしまう。そういう評論こそが本物の評論です。
  
1 社会はどうなる?(宮台真司・90年代がはじまった/宮崎哲弥・アカデミズムとジャーナリズムのあいだで ほか)
宮台真司  ネーミングセンス
宮崎哲弥 宮台の3こ下 保守 西部邁 原則論
上野俊哉 『レイヴ力』 上野は遅れてきた左翼青年だった。しかもサブカル少年でもあった。そこでサブカルと政治を結びつけたいと考えた。これはポスト全共闘世代から新人類あたり、世代でいうと1955年から65年ぐらいのあいだに生まれた者に共通の感覚だと思う。 左翼はサブカルチャーを嫌う
根っから貧乏が好き 金持ちになることは悪 いまだに『ボルガの舟唄』とか『友よ』とか『がんばろう』とかをアコーディオンの伴奏で歌うべきだと思ってる。 左翼のファッションセンス ストイックといえばストイックだがマゾヒスティック
92年頃からアムステルダム スクウォッティング ベンヤミン・ペラソヴィッチ(クロアチア社会学者 テクノなど) ミニ ロードスター
和光大学(町田) 粉川哲夫 生井英考 竹田青嗣 『GS たのしい知識』
山形浩生 『新教養主義宣言』 東大SF研 友人 柳下毅一郎 クルーグマン <情報そのものが単独で意味を持つケースというのは、かなり少ない。情報は、何か意思決定して行動するためのツールとしてのみ異議を持つ。価値があるのはその意思決定なのだ。価値を本当に生み出しているのは、その情報と意思決定に基づく行動なのだ。> 教養=コンピュータのOSのようなもの ★しかもそういう人々はクルーグマンにとっては、べつにとんでもなく頭のいいエリートってわけじゃない。ギリシア神話ギリシア哲学に始まる古典的教養をベースにして、その上に構築された現代の人文科学、社会科学、自然科学についての体系的知識が教養なのだ。
田中康夫 宮台の3こ上 小2~高卒まで長野 『いまどき真っ当な料理店』作り手、供し手、食べ手 店が客を選ぶことの正しさ
小林よしのり コミックは雑誌扱いなので、ベストセラーリストに乗らない 89年からの社会主義国崩壊による左翼知識人の自信喪失に歴史修正主義者たちがつけいった 92~95までの『ゴーマニズム宣言』は面白かった 「わかりやすさ」のマイナス面 「イメージ」の問題 それは、たった9%の支持率しかなかった森内閣に対して、政策内容的にはほとんど変わりがないにもかかわらず、たんに新首相のイメージが新鮮で言っていることがわかりやすいからというだけで、小泉内閣が80%もの支持率を得てしまうことと同じなのである
山田昌弘 宮台の2こ上 パラサイト・シングル
森永卓郎 『痛快ビンボー主義』「好きなこと好きな仲間」
日垣隆 ダイオキシン猛毒説の虚構 批評であれ、ルポであれ、文献にあたる、現場を目で見る、人に会うというのは基本中の基本であるが、これが難しい 質と量の関係 土門拳の水道代金 「自動販売機ルポ」 鎌田慧の文章は鎌田慧のファンしか読まず、佐高信の文章は佐高信の意見と相容れない人は読まない。批評のタコツボ化
コラム プレ90年代の批評家たち 大月隆寛浅羽通明
 
2 時代の思考回路(大塚英志・物語の生産と消費をにらんで/岡田斗司夫・オタク批評の真価 ほか)
大塚英志
岡田斗司夫 自由洗脳社会
切通理作 ウルトラマン
武田徹 松沢呉一坪内祐三 『偽満州国論』 清沢洌『自由日本を漁る』 《草津を訪ねて感じるのは、そこが差異を内包する共同体になっているというということだ。療養所とその周囲を含めて草津という地区を一つのミクロコスモスとみなせば、そこでは(元)病者という差異が、すっかりその内部に溶け込んでいる。》《僕の脳裏に浮かんだのは「都市共同体」という言葉だった。療養所は血縁でも、同じ故郷を持つ地縁でもなく、ただそこに住むことになった人達が暮らしている》《生の多様性を、「生きがい」云々の概念で安易に一括りにするのではなく、その個性を尊重すべき前提とした上で緩やかにつなぎ合わせ、共存させている場所――、そんな療養所は、まさに「都市」と呼ばれるに相応しい。そして差異ある人たちが差異を互いに尊重しあい、弱者を助けて行こうとする利害調整のシステムを有しているという点でも、そこはまさに「都市共同体」なのである》(『「隔離」という病い』)
春日武彦
斎藤環 「てるくはのる事件」「新潟監禁事件」「佐賀バスジャック」
鷲田清一 安原顯マリ・クレール』 建築評論飯島洋一 『モードの迷宮』 コム・デ・ギャルソン 川久保玲 「DCブランド」 「聴くこととしての哲学」「人はなぜ話を聴いてもらうだけで安らぐのだろうか」沈黙の中に充溢することば ヨージ・ヤマモト
中島義道 
東浩紀 『郵便的不安たち』『不可視なものの世界』
コラム GSの仲間たち 浅田彰 中沢新一カイエ・ソバージュ』 四方田犬彦 伊藤俊治 生井英孝
 
3 芸術が表わすもの(椹木野衣ポップカルチャーを生きるニヒリズム港千尋・世界を再構築する眼 ほか)
椹木野衣 
港千尋 写真家
セゾン系(佐々木敦 中原昌也 阿部和重) 保坂和志 車谷長吉 辻井喬 田中りえ 永江朗 阿部・青山・黒沢『ロスト・イン・アメリカ
蓮實ズチルドレン(樋口泰人 安井豊) ジム・ジャームッシュ
小沼純一 パルコ文化・セゾン文化
五十嵐太郎 『BRUTUS』集合住宅特集 『POPEYE』インテリア特集 ★建築&インテリア→広告収入 貧乏人を相手にしないクラスマガジン 『カーグラフィック』や『家庭画報』 建築探偵  『劇的ビフォーアフター
コラム マイスターたち 吉本隆明<過激>というイメージ 江藤淳 小室直樹日下公人『太平洋戦争、こうすれば勝てた』 柄谷行人 NAM 思考実験(モデル)として共産主義を試してみる 評論家(批評家、思想家)が、社会に対してどこまで積極的に関与できるかという実験 ★つまり、かつてマルクスが言ったように、状況に対してあくまで受動的にあって、状況を解釈するだけにとどまるのか、それとも状況に積極的に関与して状況を変えるべく手を汚していくのかという問題
 
4 ライフスタイルとサブカルチャー伏見憲明・男制・女制/松沢呉一・ばかばかしいもので撃つ快感 ほか)
伏見憲明 <普通の家庭(家族)>という幻想 LDK 茶の間、食堂、台所 マイホーム破産 宮部みゆき『理由』 「ヘンタイ宣言」規格化から降りる
松沢呉一 中野の書店「タコシェ」 オウム村井刺殺 『新宗教の素敵な神々』 彼のルポ そこがイメクラであれば、店はどんなシステムになっていて、客が払ったカネのうち何割が風俗嬢に渡されるのかとか、イメクラ嬢のルミちゃんはどういう生い立ちでなぜイメクラ嬢になり、毎日どんなことを考えながら働いているのかなんてことを丹念に追っていく
リリー・フランキー 美女研究
夏目房之介 漫画家の許可をとらずにコマを引用
近田春夫 『考えるヒット』
柳下毅一郎 J・G・バラード『クラッシュ』 町山智浩「ファビュラス・バーカー・ボーイズ」 『地獄のアメリカ観光』 80年代後半宝島 町山「この雑誌の読者にはバカとオタクしかいない!」『世界殺人ツアー』 デアゴスティーニ『マーダー・ケースブック』
田中長徳 写真家 カメラ評論家 ライカ
下野康史 自動車評論家 「住宅」
斎藤薫 美容評論家
コラム 吉本ズ・チルドレン 小浜逸郎『「弱者」という呪縛』 芹沢俊介 小室ズ・チルドレン 橋爪大三郎 副島隆彦
 
5 文芸は何を語る(福田和也小林秀雄への道/斎藤美奈子・あなたの固定観念 ほか)
福田和也 1960宮台の1こ下 「パンク右翼」 『作家の値うち』(飛鳥新社)「小林秀雄になりたい」17歳福田志賀高原スキー場 二人のワイン評論家のスタイルの違い 「点数」をつける事 「石原慎太郎に96点つけた男」
斎藤美奈子 『紅一点論』フェミニズム 「もののけ姫」論 
小谷真理 『女性状無意識』 SFフェミニズム評論 巽孝之
小谷野敦 自由な恋愛=結局は恋愛強者と恋愛弱者の格差生む
豊崎由美 
石川忠志 栗原康の師匠 『現代思想パンク仕様』 神山修一
坪内祐三 『20世紀ニッポン異才・異能の100人』 山口昌男と「東京外骨語大学」 徹頭徹尾散歩と本の人 「読書そのものが日常」→『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代』
 
あとがき
栗本慎一郎鉄の処女 血も凍る「現代思想」の総批評』
原書房 大西奈己
渋谷109の2階 カフェ・モーツァルト
2001年7月
文庫版あとがき
2004年7月
トニー谷 家庭の事情 そろばん時事漫談 1週間後アメリ同時多発テロ
8/20読了
 
要約:90年代評論家 批評家の名鑑 
感想:なんとなく概略だけ掴めた セゾン文化人脈 宝島人脈が強い