マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【講演メモ】「旧横浜市庁舎売買/土地貸付契約取消 住民訴訟」第9回口頭弁論と報告会

横浜市民の財産を守る会
@横浜地方裁判所
@波止場会館
 
・旧庁舎は日本を代表する建築家・村野藤吾が設計し、1959年に完成した歴史的な建造物
・1991年 当時の高秀秀信市長が市庁舎整備について諮問
・それを受けて1995年「横浜市市庁舎整備審議会」からの答申
・その後バブル崩壊も経て凍結
・2007年、中田宏市長「新市庁舎整備構想素案」が公表。
・2008年3月に同素案に基づき横浜アイランドタワーの西側にある「北仲通南地区」の土地を168億円で購入。
・2000-2002年 市会棟 耐震補強工事 約12.5億円
2007-2009年 行政棟 耐震補強工事 約50億円
・2012年3月林文子市長が市庁舎整備方針についての審議を市会に依頼。自公民およびみんなの党の4党の議員による特別委員会が設けられた。
・市役所移転の理由「施設や設備の老朽化」「執務室の分散化」「市民対応スペースの不足」「社会状況への対応」「災害対策」
・最も大きな問題は「執務室の分散化」で、現在6200人の職員のうち、4300人が20ヶ所の民間ビルに分散しており、毎年20億円の家賃が支出されていることだという。
・2014年3月「新市庁舎整備基本計画」を策定 
・2017年8月着工 
・2020年6月29日全面供用開始
・建設費用:603億円 市債を発行するので市債償還完了時(38年間)までの支出累計額は、利息などを含めるとおよそ1400億円
・しかし、横浜市は最終的にはコスト面でプラスだと試算している。簡単に説明すると、新市庁舎の余剰部分と現市庁舎を民間に貸して、その年間の賃料を19億円の収入と見込んでいるのだ。さらに、現在、借りている毎年20億円の家賃分との合計がおよそ40億円となり、これを市債償還費用(年約37億円)にあてるので、一般財源を使わなくてもよいという計算だ。
・約1万6千平方メートルの旧市役所跡地が再開発
・市は2019年、「国際的な産学連携」と「観光・集客」の二つを条件に再開発の提案を公募。三井不動産を代表とする8社のグループが事業予定者に選ばれた。超高層ビルやライブ発信施設、高速バスの交通結節拠点を設ける計画
三井不動産を代表企業とし、星野リゾートディー・エヌ・エーのほか、鹿島建設京浜急行電鉄第一生命保険竹中工務店、東急が参画する。
旧市庁舎売却(約7,700万円) 土地の賃貸(約1万6,000m2を年約2億1,000万円)
・2020年6月に井上桜市議、太田正孝の2人、今年5月には市民団体「横浜市民の財産を守る会」(高田尚暢代表)がそれぞれ、建物や土地の契約差し止めを求める裁判を起こした。
・2市議は監査請求書で、市が2019年度、約9億2500万円とする現市庁舎の建物評価額に基づき、1階の横浜銀行などの賃料を算出していると指摘。
・通常は固定資産税の3~5倍(年間5億5,000万円~8億8,000万円の賃料)が相場なのに、3分の1から4分の1にすぎない
・1億円以下の契約は議会承認が不要となっているため、77年間という異例の長期土地貸付けを含め議会で議論されずに進んでしまった。
・2019年8月林文子市長、記者会見で一転してIRの誘致を発表
・2021年8月横浜市長選、山中竹春市長当選 応援演説での小川淳也衆院議員「横浜版モリカケ事件」発言にうなづく。
・山中市長、当時不動産鑑定した2社とは別の2社に検討を依頼。価格は妥当だとの結論。2021年9月30日本契約を結んでしまう。
・裁判継続中
 
横浜市財産評価審議会 委員
市川統子 横浜中央法律事務所 弁護士
岩澤誠 合資会社 イワサワ不動産鑑定事務所 不動産鑑定士
坂本圭一 坂本不動産鑑定事務所 不動産鑑定士
佐藤麻子 R&G横浜法律事務所 弁護士
鈴木修【会長】 鈴木不動産鑑定事務所 不動産鑑定士
中山献 一般財団法人日本不動産研究所横浜支所 不動産鑑定士
馬場佳子【会長代理】 よこはま都市未来研究所 不動産鑑定士
都市再生特別措置法
・都市計画審議会 委員
学識経験のある者
森地茂 政策研究大学院大学教授 交通計画
高見沢実 横浜国立大学大学院教授 都市計画
小泉秀樹 東京大学大学院教授 都市計画
齊藤広子 横浜市立大学国際教養学部教授 不動産マネジメント
池邊このみ 千葉大学グランドフェロー 環境デザイン
石川永子 横浜市立大学国際教養学部准教授 都市防災
橋本美芽 東京都立大学大学院准教授 福祉
坂倉徹 横浜商工会議所副会頭 商工業
柳下健一 横浜農業協同組合代表理事組合長 農業
杉原光昭 神奈川県弁護士会 法律
岡田日出則 公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会副会長 不動産
大森義則 一般社団法人横浜市建築士事務所協会理事 建築
横浜市会議員
瀬之間康浩 横浜市会議長 市議
福島直子 横浜市会副議長 市議
横山勇太朗 政策・総務・財政委員会委員長 市議
藤代哲夫 国際・経済・港湾委員会委員長 市議
坂井太 市民・にぎわいスポーツ文化・消防委員会委員長 市議
山浦英太 こども青少年・教育委員会委員長 市議
竹内康洋 健康福祉・医療委員会委員長 市議
磯部圭太 温暖化対策・環境創造・資源循環委員会委員長 市議
高橋のりみ 建築・都市整備・道路委員会委員長 市議
荻原隆宏 水道・交通委員会委員長 市議
横浜市の住民
古屋文雄 自治会・町内会長 市民
大内綾子 横浜のまちづくりに携わった経験のある者 市民
田中隆志 横浜のまちづくりに携わった経験のある者 市民
臨時
藤原徹平 横浜国立大学大学院准教授 建築
小宮美知代 横浜のまちづくりに携わった経験のある者 市民
佐藤陽 神奈川県警察本部交通部交通規制課長
・森地茂 東急電鉄(株)社長懇話会メンバー ホタルのふるさと瀬上沢開発
・高さ制限75m→170m
・再開発の補助金助成金
鎌倉市役所移転 東海道線村岡新駅(仮称) 深沢
神宮外苑再開発
・大手不動産会社、大手デベロッパー、建設会社はもう公共事業に頼る、税金にたかる、公共財産を食いつぶす以外に利益が出せない
・もともと山下ふ頭カジノ誘致との連動。羽田からの高速バスターミナル。
横浜市山下ふ頭再開発検討委員会学識者 寺島実郎 隈研吾 デービッド・アトキンソン
 
◆感想:この問題に前から関心があり、裁判をやっているのも知っていたが、今回ちょうど仕事の休みと重なったため初めて裁判の傍聴というものを体験した。その後報告会にも参加させて頂いた。
公判はあっけなく15分くらいで終了。準備書面というものをお互いにやり取りして、文書で反論し合う形。
2、3の質問とやり取りのみで、あとは次回の日程を決めて終わり。
終了後、原告の辻恵弁護士と井上さくら市議の説明、
その後原告団の報告会が開催された。

自分の感想だと、やはり建物の売却価格も、土地の賃料の価格も安すぎると感じる。
なぜ耐震補強に62.5億かけた建物の価値が7700万円なのか?
そしてはまれぽの記事によると、新市庁舎のテナント賃料と旧市庁舎跡地の賃料で合わせて年19億円必要なのに、
年2.1億円では安すぎる。
しかし、裁判でひっくり返すのは難しい。横浜市もわかってて形式的には瑕疵がないように進めている。

林市長時代に2つの会社から、山中市長時代にも2つの会社から計4社から不動産鑑定を受けている。
その4社の社名を公表するべき。

そして最初の2社の不動産鑑定をもとに、最終的に横浜市に価格を答申した第三者機関である財産評価審議会の委員の人選はどう行われているのか?
国政でもよく見るが、この「審議会政治」が蔓延している。審議会委員の人選の段階から出来レースになっている。

報告会では鎌倉の事例や、神宮外苑の再開発の話も出た。日本全国の再開発で同じような事例が同時多発的に起きている。
公共の財産を大企業に廉価で払い下げる事例。そこにさらに補助金助成金をつける。
再開発については人それぞれ賛否があると思う。開発を望む人と望まない人がいると思う、それは議会で結論を出せば良い。
だけど、市有財産の評価は、どちらに関わらず厳正にやらなければいけないこと。
市民が重税で苦しみ、大企業には利益誘導する政治にしてはいけない。
現状は政治というものが大企業に乗っ取られている状態だと思う。

原告団の皆さんには、負担だけがあり何の報酬もない中、本当に頭が下がる。
だけどこれが本来は民主主義の大事な仕事。市民が政治をウォッチすること。
国民の質と政治の質は比例する。
原告団のみなさんも疲弊されていることがわかったので、
一人でも多くの横浜市民が関心をもってもらえるように、自分もなるべく拡散していくつもり。

参考:
hamarepo.com
www.data-max.co.jp
sakuraline.hatenablog.jp
www.asahi.com