マラカスがもし喋ったら

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【読書メモ】佐高信、森功『日本の闇と怪物たち 黒幕、政商、フィクサー』(平凡社新書 2023年)

目次

はじめに 佐高信

第1章 「闇社会の帝王」許永中

・平和相互銀行「闇の紳士の貯金箱」
住友銀行天皇 磯田一郎
許永中 山口組系古川組 東急建設の地上げ
・戦争中から続いているファナティックな企業研修団体の「修養団」 修養団は、三井、三菱、特に住友が後援してきているんです。最初の後援会長が渋沢栄一 若築建設の会長が有田一壽 新自由クラブ 竹井博友『致知』 稲盛和夫、それからSBIの北尾吉孝イエローハット鍵山秀三郎 『致知』は安岡正篤の流れを汲んでいて、安岡はまた修養団の顧問を務めて いた。野村證券田淵節也とか、東京電力平岩外四とかも関わりが深い。

第2章 国家を支配する「フィクサー葛西敬之

瀬島龍三 陸軍参謀本部 シベリア抑留 伊藤忠商事 土光臨調 中曽根のブレーン
三公社五現業 
三公社
1.日本専売公社(専売公社)
2.日本電信電話公社電電公社
3.日本国有鉄道国鉄
現業 
1.郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替及び簡易生命保険の事業
2.国有林野事業
3.日本銀行券、紙幣、国債収入印紙、郵便切手、郵便はがき等の印刷の事業
4.造幣事業
5.アルコール専売事業
・「四季の会」 初めは与謝野馨
・「国鉄は赤字だと言うけれども、じゃあ消防署は赤字だと言うのか 。警察は赤字だと言うか」
新自由主義は公を食い尽くしていく、公を利権にしていく
・葛西によるNHK支配

第3章 中曽根康弘田中角栄の宿縁

・荒井三ノ進
・中曽根の立ち位置をさらっておくと、要するに中曽根は、河野一郎直系の河野派だったわけですよね。日蓮宗の総本山、池上本門寺河野一郎の墓があります。大野伴睦の墓もある。さらに、児玉誉士夫が鐘楼を寄進している。池上本門寺は児玉をめぐる人脈を表しているんです。児玉の墓の向かい側に大映永田雅一、裏側に東声会の町井久之の墓。少し離れて河野と大野伴睦、その隣に太刀川家、政商と呼ばれた萩原吉太郎、そして力道山の墓もある。
東スポ 太刀川恒夫
ナベツネ大野伴睦
城山三郎ー中曽根 海軍
・時の権力というのは検察を握っている
・料亭政治

第4章 竹中平蔵と「総利権化」の構造

宮内義彦小池百合子 関西学院大学
・野田一夫 ニュービジネス協議会 ピーター・ドラッカーの紹介
孫正義澤田秀雄南部靖之 ベンチャー三銃士
・ちょうど規制緩和で人材派遣が導入 日本の伝統的ないわゆる口入れ業とも重なる ヤクザが昔からやっていた口入れ業と同じようなものなんだけど、それをアメリカ流の派遣サービスみたいなものとしてうまくアレンジし、糊塗して時流に乗せた。だから結局、人材派遣業というのはいまでも、ヤクザの稼業と結びついていますものね。たとえば、福島第一原発事故後の除染作業なんかも、やはりヤクザの収入源になっている。派遣というのは、もともとヤクザの収入源だったわけですね。それを現代社会のあらゆる領域に広げていっている。だから彼らは闇の世界との妙なつながりがあるんですね。南部と中江滋樹のつながりにも、それが現れている。
・規制改革会議・議長 宮内ー竹中
・竹中ー木村剛
菅義偉ザ・キャピトルホテル東急 ORIGAMI 竹中と毎週会っている
・今井尚哉 まさに権力の源泉、その闇の核心が電力、原発なんだよね。電力総連と電機連合というのが最大の闇です
・結局、会社にしてはいけない領域を会社にしていくという新自由主義の悪業があぶり出 される。民営化とか自由化と言うけれども、結局のところ、利権化ということなんだよね。

おわりに 森功

 
◆感想:対談形式でサクッと読めた。
葛西敬之の章が印象的。
JR東海の「天皇」とまで呼ばれた。
なぜたかが国鉄の一官僚出身者がこれほどまでに大きな力を握れることになるのか?
国鉄は国民の税金で作ったものなのに、それを私物化してしまう。それを許す論理がわからない。
他の企業にとってもJRは巨大な発注者なので逆らえない。嫌でも忖度して従うしかない。
そして『Wedge』のような偏った雑誌を新幹線のグリーン車に置く。NHKの人事にも手を突っ込む。
JRを私物化し、国を私物化する。
亡くなって、JRが中立的に正常化することを望む。