マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】中田安彦『世界を動かす人脈』(講談社現代新書 2008年)

目次

序章 誰が本当に世界を動かしているのか

竹中平蔵=日本におけるダヴォス会議の世話役
ウォーラーステイン世界システム論」

第1章 欧州の中心部で今、起きていること

ファッション界の二大巨頭、ピノーとアルノーから、国境を越えて広がるネットワーク探究の旅は始まる

・ヴェルナー・ゾンバルト 資本主義を発達させたもの「ユダヤ人の才能」「戦争」「恋愛と贅沢」
ベルナール・アルノー(LVMH)とフランソワ・ピノー(PPR)
・アントワーヌ・ベルンハイム(ラザード・フレール)
・アルベール・フレール男爵 ベルギー最大の投資会社 GBL → スエズ
>> CNNの株主関係を調べる ワーナー AT&T<<
・フランスのファッション業界が、ベルギーのメディア投資家に繋がり、次にカナダの政財界の実力者であるデスマレー一族に繋がった。これもスモール・ワールドである。

第2章 カナダの巨大金融産業を支配する“パワー・ブローカー”たち

政界とも密接な関係を持ち、勢力を広げるデスマレー一族の姿

・パワー・コーポレーション・オブ・カナダ 巨大金融投資会社 デスマレー一族が支配
トタル
・バリック・ゴールド ピーター・ムンク

第3章 欧州エネルギー共同体とビルダーバーグ会議

欧州エネルギー再編の鍵を握るスエズ社を巡る動き

・GDFスエズ社(現エンジー時価総額約14兆円
・ベルギーはコンゴで植民地開発 天然ゴム、銅、金
・ビルダーバーグ名誉議長 エティエンヌ・ダヴィニオン子爵 欧州委員会(EC)副議長 日欧ビジネスダイアローグ議長 
・ギリアド・サイエンシズ社 「タミフル」 抗HIV
ウォール街 ドイツ帝国牽制という名目でロシア革命に対する資金援助 ナチスも支援
ビルダーバーグ会議の立役者 ポーランド亡命政府の主任顧問 ユゼフ・ヒェロニム・レッティンゲル(Józef Hieronim Retinger)
ビルダーバーグ会議 初代議長 オランダ ベルンハルト殿下 国際ロータリー 世界自然保護基金 (WWF) 初代総裁
・会議の毎年の参加者を決める 運営委員長 多国籍バイオ企業 シンジェンタ会長 ゴールドマン・サックス・インターナショナル国際諮問委員会メンバー マーティン・テイラー

第4章 「新ロシア王朝」の樹立とそれを支える新政商たち

豊富な資源をもとに新王朝を築くプーチンと、彼を取り巻く政商たち

プーチン ガスプロム
・「オリガルヒ(金融貴族)」→ロンドンに亡命 VS 「シロヴィキ(元KGB人脈)」
プーチン VS ボリス・ベレゾフスキー(2013年死去)
・リトビネンコ事件 ゲイリー・カスパロフ(チェス世界チャンピオン)
・現在のプーチン政権の産業政策の推進力になっているのは、基幹産業の国営化である。その背景には民営化という名の私有化によって、西側の財界とネットワークを築いてロシアの国富を外資に売り飛ばそうとした、反政府的なオリガルヒたちに対するプーチンの復讐の念がある。その政策を多くの国民たちも支持している。豊富な石油・天然ガスのエネルギー資源をテコに国富を蓄積し、ロシア帝国のかつての威信を回復しようとしている。
チェチェン・マフィアvsロシア・マフィアの対立 ミハイル・ホドルコフスキー  オレグ・デリパスカ

第5章 進化を続ける21世紀のロスチャイルド家

約2世紀ぶりに欧州の銀行部門を統合し、いまなお金融再編で大きな役割を果たす金融一族

・18世紀 フランクフルト ユダヤ人ゲットー 古銭商マイヤー・アムシェル・バウアー と5人の息子
・フォーブスのリストに載らない 財団や会社所有の財産 あるいは 調査に応じない資産家
・ナイアール・ファーガソンロスチャイルド家の歴史』 デリク・ウィルソン『ロスチャイルド―富と権力の物語』 広瀬隆『赤い楯』
・今は第6~8世代
・81年 フランソワ・ミッテラン 社会主義政策、基幹産業の国有化 
・ロンドン シティ ロンバート街 「ニューコート」 N・M・ロスチャイルド&サンズ
ハーバード大学教授ニーアル・ファーガソン「N・M・ロスチャイルド&サンズは世界の債券市場を支配する国際的な巨大銀行の一つであり、現代で例えると、JPモルガンメリルリンチモルガン・スタンレーに、おそらくゴールドマン・サックスが合わさった感じの―そう、19世紀においては、現在のIMFのように数多くの国家の財政を安定させる役割を担っていた」
エドムンド・ド・ロスチャイルド カナダ「ブリンコ」水力発電プロジェクト"チャーチルの滝" 
・モーリス・ストロングと関係を結ぶ 「地球サミット」「地球温暖化問題」「京都議定書環境保護とビジネスを結びつける
エドムンドの妹 ナオミ・ロスチャイルド IAEA理事長ベルトラン・ゴールドシュミットと結婚
・クリストファー・ホーン ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI) 「モノ言う株主」 → 電源開発に圧力
・2007年オランダABNアムロ銀行分割買収 3人のビルダーバーガー ピーター・サザランド、モーリス・リッペンス、マティアス・ロドリゲス ジェイコブ、ナット ロスチャイルド親子 アッティカス ウィルバー・ロス ブラックストーン・グループ スティーブン・シュワルツマン

第6章 世界を一つにしようとしたロックフェラー家

「マンハッタンの主」ロックフェラーの思想に、今日のグローバリゼーションの動きの鍵が隠されている

・ロックフェラー スタンダード石油 シェア95% →ルーズヴェルト(モルガン財閥)が解体 → エクソン・モービル シェブロン シティバンク チェースマンハッタン
・ロックフェラー、モルガン ロシア革命を支援
・ジョン・D・2世 ウィルソン大統領の国際主義に共感 → グローバリスト
・ジョン・D・3世 世界平和のためには急激な人口爆発の抑制が不可欠だという独特の主張をし、ポピュレーション・カウンシルという団体を設立した
・NY マンハッタンの開発 義弟ネルソン・オルドリッチと協力
JPモルガン商会は1913年に米連邦準備制度が誕生するまで、事実上「最後の貸し手」としての中央銀行の役割を果たし続けてきた。
・モルガン攻撃の極めつけは、29年にウォール街を襲った世界大恐慌直後、33年に制定された「グラス・スティーガル法」の制定である。この法律により、投資銀行業務と一般銀行業務(商業・貯蓄)の分離が規定されて、巨大なJPモルガンは、商業銀行のJPモルガン投資銀行モルガン・スタンレーに分割されてしまった。
外交問題評議会(CFR) モルガン→ロックフェラー→ピーター・ピーターソン(ゲオルギオス・ペトロプーロス)
JPモルガンチェイス モルガンとロックフェラーの"合流"
・ピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics: PIIE) 86年「ラテンアメリカの新しい経済成長に向けて」 ネオリベ政策
・71年「ニクソン・ショック」「金ドル兌換停止」
ニクソン・ショックまでは、ドルは金とリンクしており、通貨発行には限界があったが、国内の完全雇用と財政政策を支えるための金融政策緩和を望んだ当時の米政権により、ドルは金リンクの制約から解き放たれ膨張してしまった。
・新たにオイルダラーが膨張→途上国に高利で貸付→80年代「債務危機
借り主に対して追い込みを掛ける役割を果たしたのが、デヴィッドお気に入りの機関、国際通貨基金IMF)であった。IMFは、債務の猶予や再編成を行う条件として、国内支出の削減や主要国営産業の民営化を、債務国に突きつけた。これが、経済学者スティグリッツなどが批判する「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれるものである。IMFと世銀の利害は、欧米巨大銀行の利益と密接に結びついていた。
>>パラグ・カンナ『ネクスト・ルネサンス』古村治彦訳<<
・1973~ デヴィッド・ロックフェラー(3世) 三極委員会創設 米国大使館近くのホテル・オークラ ブレジンスキー
石油ショック 77年 カーター政権を生み出す 
・ロックフェラー系の巨大石油資本(セブン・シスターズ
サウジアラビア=親米国 イラン モサッデク →53年CIAの工作→ パーレビ → 78年シーア派原理主義革命 ホメイニ
・ドルと石油をリンクしたのが、71年のニクソン・ショック後の世界秩序(第2次ブレトン・ウッズ体制)だが、その秩序を守るためには石油権益や産油国のコントロールが必要だった。
・ロックフェラー流の国際主義は、IMF世界銀行を利用した多国籍企業本位のグローバリズムであり、企業活動の恩恵を庶民が受けることで経済は成長していくのだという新自由主義的な信念に基づいている。
・ロックフェラー流のグローバリズムは、時にグローバル・スタンダードの押しつけに繋がる面があり、金融資本の力で第三諸国や時には先進国までも搾取する
長銀買収「ハゲタカ・ファンド」瑕疵担保条項
・ロックフェラーの言い分 ビジネスの戦争では人は死なない
・対抗「ポピュリズム」=民衆の生活を重視する政治化を尊重する
・デヴィッド自伝「このポピュリストたちは、陰謀によって世界が動かされていると信じている」「その中でも長らく主張されてきた陰謀とは、一般には知られていない一握りの国際銀行家と資本家、それらの子分たちが、世界経済を支配しているというものだ」
・「一世紀以上にわたって、左右両派の過激派たちが、私がこのときにカストロと出会ったような広く報道された出来事をあげつらって、ロックフェラー家が圧倒的な影響力をアメリカの政治経済機構に及ぼしているとして攻撃してきた。その中には、私たち一族が、アメリカの国益に反して暗躍している秘密の陰謀団の一味であると信じている者もいたし、私の一族と私を指して『国際主義者』と呼び、他の世界の有力者と結託して、共同謀議をたくらみ、世界を政治的・経済的に統合して『ワン・ワールド政府』をつくろうとしていると考えている者さえいた。そのように、彼らが批判するのであれば、私は喜んでその追求に対して『有罪である』と認めよう。それどころか、私はそのように言われることを誇りに思っている。」
・「特に合衆国では、国際的な貿易体制や、コミュニケーション技術の進歩、様々な文化を背景に持つ人々の交流が深められることで、多くの利益を得たはずだ。ポピュリストたちは、このような点で得られた利益をほとんど口に出さない」
・「地球規模での相互依存関係というものは、夢物語ではなく、目の前にある現実なのだ。その現実は、今世紀の情報通信革命や技術革命、地政学における進展がそれを避けられないものにしてしまった。資本、モノ、人間が国境を越えて自由に移動できることは、これからも世界経済の発展と民主的統治機構の強化にとって必要不可欠な条件であり続けるだろう」
・最後に彼は、「アメリカは、このグローバルな責任から逃れられないのだ。今日の世界はアメリカのリーダーシップを強く求めている、そして我々はそれに応じなければならない。21世紀においては、孤立主義者であり続ける余地はまったくない。我々はみな国際主義者にならねばならないのだ」と締めくくっている。
世界貿易センタービルフリーダム・タワー

第7章 ウォール街の支配者たちの興亡

ウォール街を舞台に激しく合従連衝を繰り返すプレイヤーたちの姿

・2007年2月 NYマンハッタン あるパーティー 500人近くのゲスト ウォール街のキーパーソン達
・ロイド・ブランクファイン(ゴールドマン・サックス)、ジミー・ケイン(ベア・スターンズ)、スタンレー・オニール(メリルリンチ)、ジェイミー・ダイモン(JPモルガンチェイス)、ジョン・セインNYSEユーロネクスト)、ウィルバー・ロス(WLロス・アンド・カンパニー)、ジョゼフ・ペレラ(ペレラ・ワインバーグ・パートナーズ)、ブルース・ワッサースタイン(ラザール)、デヴィッド・ルービンシュタイン(カーライル)ら。
・主役=スティーヴン・A・シュワルツマン ブラックストーン・グループ会長兼CEO 中国政府からも10%(約30億ドル)の出資
・BSGのような投資会社は、証券取引所に上場している公開会社を買収して非公開にして、その経営を改善することで上がった収益を投資家や自分たちで分配することから、「プライベート・エクイティ・ファンド」(未公開会社投資ファンド、以下、PE)と言われる。
ウォール街の金融機関の生態系は、AIGなどの保険グループを除けば、シティバンクJPモルガンのような商業銀行、GSなどの投資銀行(証券会社)、BSGのようなPE、それから第5章で出てきたアッティカスやTCIのようなヘッジファンド、に大別できる。
・PEは、それ自体が株式を上場していない未公開会社であることが多い。そのため一般の事業会社のような35%の所得税ではなく、軽減税率の15%のキャピタルゲイン課税が適用されることで、巨額の利益を上げていた。いわば、法律の裏をかいくぐった「リミテッド・パートナーシップ」という組織形態を利用した投資会社である。
・資産を預けるためには一定額以上の余裕資金を必要とし、その上で認定を受ける必要がある。運用資産内訳 ファミリーオフィス26%、年金・公的ファンド26%、事業法人16%、ファンドオブファンズ15%、保険会社11%、その他6% ファミリーオフィス=ロックフェラー家のような大富豪の資産運用 
・もともと金融業者は、王族や大富豪の財産を預かって運用するのを仕事にしていた。ロスチャイルドヘッセンの大富豪の資産を運用して成り上がった。
・これらの金融業者にとって、住宅ローン債権の「証券化」による資金調達は、リスクを負わずに安いコストで買収資金を調達することが出来る「打ち出の小づち」のような存在だった。投資銀行は、M&Aのアドバイザリー業務やPEへのローンでまず手数料を稼ぎ、次に、トレーダーたちが、M&A前後の株価変動を利用した裁定取引で利益をあげる。そして、PEが買収した企業が再度上場(IPO)するときには、株式会社のビジネスの恩恵にあずかるのである。今度のM&Aブームでの06年度には、投資銀行が買収関連業務で大きな収益をあげた。
ウォール街「われらの仲間」ゴールドマン・サックス商会、リーマン兄弟会社、クーン・ローブ商会、セリグマン商会
・1933年「グラス・スティーガル法」。例えばモルガン→JPモルガン(商業銀行)とモルガン・スタンレー投資銀行)に分割
・1975年「証券売買手数料の自由化」。熾烈な競争 活動資金の必要性 法人化、株式上場。
・トレーディング部門とバンカー部門の文化の違い
リーマン・ブラザーズ 1969年ロバート・リーマン死去。「バラ戦争」内紛。ピーター・G・ピーターソン招聘。
・ピーターソンのプロフィール。チャールズ・パーシーとの出会いが転機=ロックフェラー家との繋がり。 クリスチャン・サイエンス ニューソート
・このように彼はロックフェラー家とのつながりの恩恵にあずかって、71年にニクソン大統領の「国際経済問題に関するアシスタント」に指名され、次の年に商務長官に抜擢された。ニクソン政権時代には、フレッド・バーグステンとも知り合った。その後バーグステンと共同で81年に、国際経済研究所(IIE)を設立。このシンクタンクは、デヴィッド・ロックフェラーを名誉理事長に迎えており、活動もロックフェラー国際主義をビジネスに結びつけることを目的にしていた。彼はまた85年のプラザ合意の筋書きを書いたことでもよく知られている(日本で郵政民営化を実行した竹中平蔵参議院議員は、この研究所の客員研究員(89年)をしながら、アメリカ仕込みの経済思想を身につけ、ロバート・ゼーリックやバーグステンらとの人脈を築いた)。
・85年には、デヴィッド・ロックフェラーの次の外交問題評議会(CFR)の理事長に就任。
・スティーヴン・A・シュワルツマン 乾物屋の息子 イェール大学 スカル・アンド・ボーンズ 『グッド・シェパード』(2006)
・「ブラックストーン」2人の名前が由来
・「企業買収の天才」サンフォード・ワイル シェアソン、トラベラーズ、ソロモン・ブラザーズ、シティコープを買収
・ウォーカー家 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)=ブッシュファミリーの権力基盤
・ワイル栄光と転落 チャールズ・ガスパリーノ『ウォール街欺瞞の血筋』
・そのシティを救ったのがアブダビ投資ファンド

第8章 グローバリゼーションに参入するアジア、中東の資本家たちと欧米資本

経済発展、資源を背景に新たな「主役」として登場したアジア、中東勢

・前章までは、欧米の権力者、金融財界人のの織りなす、スモール・ワールド・ネットワークの現在の姿を概観してきた。彼らは、ビルダーバーグ会議、三極委員会やダヴォス会議を中核に、さらに網の目のように多国籍企業の重役兼任ネットワーク、シンクタンク、財団の理事会の人脈の中枢に存在し、強力なネットワークを形成しており、それが”事実上の権力”となってきたと説明した。
・「フラット化する世界」 ロシア 中国 インド 中東
・ソヴリン・ウェルス・ファンド(SWF)「政府系ファンド」
田村耕太郎らを中心に「日本版政府投資会社設立のための議員連盟」。同議連には、日本の企業を切り売りしてきた外資の手口を知っている、元外資系金融マンらも集まっているという。約150兆円の膨大な積立金を抱える公的年金資金の運用の多様化を目指すようだ。 
・GS社04年高盛高華証券を設立 方風雷
・「赤い投資家」の先駆け 中国中信集団公司(CITIC)創業者 栄毅仁
・彼は最高実力者・鄧小平に、経済発展の重要性と外資・技術の導入について訴え、内閣直属の国営企業CITICを設立させたことで知られる。後に国家副主席にまで就任した。
・香港、マカオ。もともとの植民地 華僑、華人資本家 李嘉誠リチャード・リー親子。香港のロックフェラーかロスチャイルド
ルパート・マードック 夫人が中国人
ノーベル平和賞ラジェンドラ・パチャウリ(国連気候変動政府間パネル)原発利権
ラクシュミ・ミッタル、ラタン・タタ、ムケシュ・アニル・アンバニ兄弟
・サウジ アル=ワリード・ビン・タラール・アル・サウド王子「アラビアのバフェット」
イスラム金融商品(金利禁止の抜け穴)ヴィーガンみたいな感じ
・ドバイ証券所のOMX(北欧の証券所)買収
・中国の政府系ファンドのでかさ CIC 楼継偉 
リー・クアンユー テマセク・ホールディングス
・ニコラス・ロックフェラー「環太平洋文化財団」中国とのビジネス

終章 スモール・ワールドの行方

トーマス・フリードマン『フラット化する社会』グローバル化を礼賛
IBMサミュエル・パルミサーノ『Globally Integrated Enterprise(CIF)』企業の各機能は、コスト、スキル、環境などにより地球上のどこにでも配置でき、また変更できる。この新しい企業組織では、全てのリソースが結合され、仕事は最適な場所に移動できる。このためには知識・情報などの地球規模での標準化および共有が必要だが、ITによって実現できるとする。
・「国際分業」「相互依存」
ドイツ証券ストラテジスト武者陵司「地球帝国」「差額地代」
・デヴィッド・ロックフェラー「ワン・ワールド」 X「世界統一政府」○「地球規模での相互依存」
・19世紀以降存在してきた「近代国民国家」(ネーション・ステイツ)は、これからも主要なアクターとして存在し続けるが、その上を覆い被さるように、非国家的主体である国連、グローバル企業経営者の「スモール・ワールド」、NGOが網の目のようにネットワークを作っていくだろう。
・CFR会長リチャード・ハース「国家主権(ナショナル・ソヴランティ)の制限」を訴える
田中明彦東大教授(三極委員会メンバー)「新しい中世」
・中国の米国債売却
・「楽観主義」=「ノーマン・エンジェル主義」グローバル化が進むと戦争は起こらなくなると書いた1年後に第一次大戦
レーニン「資本主義が高度に発展した段階=帝国主義
・この先平和か戦争か → 答えは「コロナ」

あとがき

・2008年大統領選 クリントンvsオバマ マケインvsハース
ウォール街民主党
オバマがもし勝ったら、新しいバックがいるとみるべき
 
11/21読了
概要:世界を動かす人脈はスモール・ワールドで、ビルダーバーグ会議、三極委員会やダヴォス会議を中核に、さらに網の目のように多国籍企業の重役兼任ネットワーク、大学、シンクタンク、財団の理事会の人脈の中枢に存在し、強力なネットワークを形成している。グローバル化は善か悪か?
感想:面白かった。デヴィッド・ロックフェラー自伝でのある意味「開き直り」、あけすけ感が面白かった。金本位制ニクソン・ショックでくずれ、その後石油(エネルギー)が貨幣の裏付けになる。オイルダラーが膨張→途上国に高利で貸付→新しい形の植民地支配。実体経済から離れて、資産経済が膨張し、金融資本が国民国家を上から支配している。コロナも当然仕組まれていると感じる。