マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】志賀櫻『タックス・ヘイブン――逃げていく税金』(岩波新書 2013年)

序章 市民はこの実態を知らなくてよいのか

所得税負担率のグラフ 所得1億円が一番高く28.3% そこから下がっていく 10億円22.9% 100億円13.5% 累進的→逆進的
・高額所得者の多くは株式の売却益など
・しかしこのグラフは正しく申告したもののグラフで、租税回避を含んでいないので、実際は高額所得者の税負担率はもっと低い
タックス・ヘイブンの3つの特徴
 ①まともな税制がない
 ②固い秘密保持法制がある
 ③金融規制やその他の法規制が欠如している
タックス・ヘイブンを舞台に行われる3つの悪事
 ①高額所得者や大企業による脱税・租税回避
 ②マネー・ロンダリング、テロ資金への関与
 ③巨額投機マネーによる世界経済の大規模な破壊
・ツケを負わされているのが、中所得・低所得の市民である。かつての日本は、分厚い健全な中間層が存在し、それが日本経済の強さの要因と見られていた。ところがいまや、その中間層は長引くデフレで疲弊し、やせ細ってきている。日本社会は現在、富裕層と貧困層とに2極分化しつつある。タックス・ヘイブンを舞台にした悪事は、この傾向に拍車をかける。富める者はますます富み、貧する者はますます貧する。そういう構造が生まれてきている。

第1章 タックス・ヘイブンとは何か

1 どこにあるのか? なぜあるのか?

2 タックス・ヘイブン・リスト

4 タックス・ヘイブンの利用法

第2章 逃げる富裕層

1 節税・租税回避・脱税

2 タックス・ヘイブン事件簿 その一

3 やせ細る中間層

第3章 逃がす企業

1 国境を越えた租税回避の問題

2 タックス・ヘイブン事件簿 その二

3 タックス・ヘイブン対策税制

4 移転価格税制

5 税金争奪戦

第4章 黒い資金の洗浄装置

1 犯罪資金を追え

2 タックス・ヘイブン事件簿 その三

3 テロ資金とのかかわり

第5章 連続して襲来する金融危機

1 マネーの脅威

2 繰り返す金融危機

3 危機の連鎖とリスク

第6章 対抗策の模索

1 仕組みに潜む課題

3 ヘッジ・ファンド退治

4 グローバル・プルーデンシャル・レギュレーション

5 新しい税のあり方

終章 税金は誰のためのものか

あとがき