マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】中畑仁美『絶好調夫婦』(日本テレビ 1990年)

目次
はじめに
●一章 気が付けば野球選手の女房
○貧乏も元気印○夜更けの子守唄○冷たいカレーライス○福島に帰って乳しぼり
●二章 めぐり逢い
○百万本のバラ○神社でプロポーズ○デートは雨の日
●三章 スイートホームは遠い夢
○ぶどう園の少女○裸で対面○松の盆栽
●四章 微笑んだ女神
○運命のコンタクトレンズ○〝お化け屋敷〟の異変○〝絶好調〟誕生○真っ黒こげのサンマ○雨にもめげず、ケガにもめげず
●五章 我が家の子育て日記
○育児上手なお父ちゃん○ほっとけ主義〇長男の大ケガ○シャボンでスキンシップ○涙の平手打ち
●六章 〝絶好調〟の知られざる素顔
○やさしさとユーモアのスパイス ○黄色い旗のお兄さん ○カアちゃん、うちを買っちゃったよ ○カラオケ狂奏曲 〇町内会応援団 〇悩みの種
●七章 さよなら、背番号24
○疲れた蝶○記念写真○二人だけの引退式
●終章 まわれ、季節の風車
○背広に着替えたお父ちゃん○小さなトロフィー
 
・実はA型 根は照れ屋 神経質
・ベン・ゼネラル社(デサント
山梨県勝沼町 果樹園
・「息子を盆栽だと思って欲しい」という父の言葉
・転機になった日米野球の2ラン 78年10月28日
・子牛をマッサージしたエピソード
・小学生の交通誘導 黄色い旗のお兄さん
・「苦しくなってくると、体も動かなくなるんだよ。もうダメだ、動けない、というときに、〝絶好調!〟と大声を出せば、けっこうごまかせるよ。いや、体が動きだすんだ。そういう自己暗示って大切だと思うよ」
・主人がいちばん望んだことは、思いやりのある人間になってほしい、他人の立場に立って物ごとを考えられる子になってほしいということでした。
・最低限のことだけは必ずやること
・どんなときも、人を思いやって、ふりまくサービス精神が、私は好きなのです。そして、この中畑の明るさは、他人を思いやる延長線上にあることを、私は、いまようやくわかったような気がします。
・「お父さんはな、小さい時に、うちがとても貧乏だった。だから、おじいちゃんやおばあちゃんが頑張ってるのを見て、一生懸命に手伝った。そして、お父さんはな、すっごい腕白だった。いたずらもメチャクチャした……。おじいちゃんにな、井戸につるされそうになったこともあった。でもな、親をバカにしたことは、一度もなかったぞ……」
・振り返ってみれば、様々な試練の嵐の中で、主人はひたすら頑張りとおしました。「練習を積み重ねれば、必ず結果が出る。だけど、結果が出ないときに、どうやって練習を続けるか。オレは精神力の勝負だと思う」いつも口ぐせのようにそう言ってました。
・中畑淳さん 仙川「ホルモン家族」
5/22読了
 
◆要約:中畑清の妻、仁美さんによるキヨシ現役引退までの手記。思い出に残るエピソード。
◆感想:とてもいい本だった。感動した。
家庭をもつこと、夫を支えること、妻を支えること
ということがどういうものであるのか?一つの例がここにある。
清の仁美さんへのアプローチのエピソードがいい。スマートさとは程遠いが、ストレートで正直。そして友人の後押しがある。
清も仁美さんも、この年代の人は戦後の復興期を、子供ながらに家族助け合って、たくましく生きた世代。それ故のタフネスと情の深さがある。それがいまの世代にはないもの。
「明るさは、他人を思いやる延長線上」にあるものという部分がとても心に残った。
仁美さんは2012年12月に亡くなってしまった。
清監督1年目の勇姿を見られたことはせめてよかったと思う。
早すぎる死だが、それほど中身が濃い素晴らしい人生だったのではないかと推測する。
この本を読んで、人間とはエピソードの集合体ではないかと思った。
歴史を受け継いでいる人間同士が、縁によって出会い、エピソードを生む。
儚いが、その中で涙と笑顔を生む、人の一生というもののいじらしさを、この本を読んで思った。