マラカスがもし喋ったら

読書メモ、講演メモ中心の自分用記録。

【読書メモ】笠井潔、白井聡『日本劣化論』(ちくま新書 2014年)

福島原発事故は日本近代の歩みの必然的な帰結。
戦後民主主義がもはや完全に死骸となってしまった」
軽武装を旨とする吉田ドクトリン↔積極的平和主義(伊藤憲一、外務省アメリカンスクール日本会議
アメリ対テロ戦争=国連中心主義をかなぐり捨てた。
テロリズムについて付け加えておきたいのですが、テロとは実体でなく関係です。実在するのは政治的動機による暴力だけであって、それがテロか革命的行為なのか愛国的行為なのかは、どのような関係の磁場に置かれているかによって決まります」
「戦後日本は、就職列車で農村部から都市部へ低賃金労働力を大量移送することで高度成長を達成しえた。」
「日本的社会主義は企業を中核とする社会主義となりました。」
「これは堤清二さんみたいに左翼体験後、転向した人たちが非常によく指摘するところですけど共産党の体質と日本の封建制の体質というのはそっくりだと。」
ヨーロッパにおける第一次大戦の衝撃。
日本は明治以降なんでもかんでも欧米から輸入して、近代性を促成栽培した
「ドイツの場合、加害者性に対してはっきりとした罰が下されたわけですね、東西分裂というかたちで。」
反知性主義啓蒙主義(従来的な教養主義)の対立。
「すべては経済が解決してくれるわけはない」
「実利や経済的成功と人格の陶治や道徳性がシームレスな点で、「プロジェクトX」のヒーローたちは修養主義を継承しています。」
「大学の世界でいえば、90年代、様々な学問分野で参照先がドイツやフランスの学問からアメリカの学問に変わってきました。ここも一つの転換点だと思うんですが、そもそもヨーロッパとアメリカでは、学問が前提する人間観が違います。ある意味、アメリカは動物の国で、人間の人間性を認めないため、ヨーロッパ人が想定した人間の人間性を前提としない形で学問ができました。」
「「人間の不在」は、心理学などで特に典型的に見て取れます。また、経済学や政治学にかんしても同様で、計量分析的手法が急速に幅を利かせるようになってきた。計量分析とは一人一人の内面を考えずに、群れとしてとらえるものです。そうした方法が全く無意味だとは思いませんが、それのみが学問であるという傾向が90年代以降強まりました。このことが教養主義の崩壊とどこかで通底しています。つまり、アメリカ的な学問はどんなに極めても教養ある人間にはなれないともいえるわけです。それは、悪く言えば、飼い馴らされた群れを統御するための技術学であり、その技術のマイスター自身もそのような人間観に疑問を抱くことがない。これに対して、教養主義ないし人文主義は、歴史性に依拠してこうした人間性を相対化することを存在意義とするものです。」
国民国家の次。スラヴォイ・ジジェクが賞賛したウィキリークス
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啓蒙主義は息の根を止められてしまった。
すべてが相対化され目指すべき頂はなくなった。
ハシゴ外しのループ。
笠井潔ドラクエ